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創作について

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ショートショートや詩を書いてみてます。まだまだ勉強中!
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透明になって。

透明になって。

午前二時 白いカーテンが揺れる
今になって 昼間のコーヒーが喉を渦巻く
光ったスマホに目が眩み あの人の声を思い出す
あの子は今も 貴方の夢を見てるでしょう
戯れるラブシーンのBGM
私は顔すら思い出せなくなったっていうのに

無かったことにするの? 貴方のあの言葉
「彼女ができた。」ですべて消してしまえるの?
読みかけた小説に貴方がちらつくからやめてしまいたい
別に私も好きなんかじゃなかった

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揺蕩う狐火

揺蕩う狐火

錯綜した裏道通り 呪い踊りの狐たち
煙だらけの中華街 集まる僕らの自己嫌悪
誰かの吐き出すアイロニー 今祭りが始まる

踊り狂って 地を這って
祟り目ばらまく少女たち 黒塗りの塀が隠してく
屋形船の紅が 違う目で見つめてくるのだ

守って隠すのが辛いことなら
いっそ壊して隠せばいいじゃん
水面に映る僕の顔は 別の人だ 見えてないの?
飛んで走っても逃げられないなら
疲れて眠たいフリをするのだ
匿っ

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眠る魚

眠る魚

仄暗い夜は嫌いだけど
朝の明るさは辛いから
時間は止まる いつの日か止まる
泳がなきゃ死んでしまうから
寝ても泳ぎを止めないふりをしてるけど
仄暗い夜は嫌い

ギター背負ったら
何か特別なものになれた気がして
年下のままで 可愛いままで
覚えたばかりの言葉を 知ったふりの寝言

ああ
かわいそう、かわいそう
眠ることしか出来ないんだね
いくつになってもその才能信じてさ
別に私には何も関係ないから

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雨色哀唄。

雨色哀唄。

過去のアルバムを漁る。あの頃の僕らは
まるで夏の終わりの風のようで
本当に、怖いものなんてきっとなかった
汗が心地よくて、涙が苦しくて
渇いた喉はすぐソーダが潤してゆく

それは、分からないほうがよかった
ずっと、気付かないほうがよかった
終わってしまったあの頃の
眩しいスカートに揺れた、子守唄
怖くなかったから、辛くても楽しかったから
また、僕はここで。
帰ろう!

切り取った1センチで全部分か

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或る少年の唄

或る少年の唄

例えば明日世界が終わるなら
最後の樹の下で 泥だらけの君の手を取って
ふたり 心臓の音を聞こう

守るべきもののために 失っていくものがある
時間をかけて創ったものの中に 無駄がある
隠された命のはじまりに 人々は目を瞑り
誰かの吐いた憂いを 何処かの少年が拾う

大きい塊を 深く押し込めて
同じ空気を吸って
何の為かなんてくだらない
そんな問いかけをする

変わるな 思いよ
無くすな 力を
誰か

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夏の溺れ方

夏の溺れ方

ねえ、六月の雨に打たれながら
君が言ったこと
ねえ、僕は今も覚えているんだ
今年も夏が来た

ねえ、知らないほうがいんでしょ
溶けた絵の具が空の色じゃないって
言わなくてもいいのに
きっと思い出せないことが
心深く根を張っていて
それにすら気付かないから
いらない枝をのばすふり

だから、今はすべて投げ捨てて
群青の空へ飛び立とう
傷ついた僕の翼は 赤く紅く染まる
そして、夜にぶつかったとき
僕は

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青春が終わる。

青春が終わる。

冷え切った手で 追い越していく背中掴もうと
投げ切ったはずの憂いが
小さな渦を巻いていた

始まりの合図は一緒 いつの間にこんな遠くに
何も間違ったはずはない ただ生きていただけ
辛いことだらけって ヒーローはそんな言葉さえ
やっつけてくれるのかな
日の当たらない部屋の隅で 今日も変わらずギターを弾く
濡れた髪を乾かさないまま
今日が終わる

夢に歌っていた日々は 暗い夜の底に沈んでいった
エピロ

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水眠ラバー

水眠ラバー

今更になって、あの日の空の色を
思い出したいと嘆いて
星屑になって、僕らを照らしてゆく
誰かが落とした涙

今日もソーダはしゅわしゅわ僕の手の中
日焼け止めとはじけて飛んでゆく
ぬくもりを忘れた僕らの肌に
太陽は明るすぎるから

ねえ、在り来たりメーデー
つまらないなんて
赤い傘に包まれた世界で
染まった頬に不安を隠してゆく
なんてそんなの馬鹿みたいでしょ
さよなら笑って
行かないで泣いて
今日も

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花笑う君と水彩

花笑う君と水彩

願いが夜空を舞って 月夜に溶けてゆく
儚い火かりが君に届きますように。

春告げ鳥が鳴いている 僕は夢の君を待つ
涼しい春風 今日も同じ 四拍子を刻んでる
できる子たちが持つシニカルライセンス
錯綜した教室の隅で僕は泣いていた
君の笑顔に似合うのは僕の泣き顔じゃない
そう 住む世界が違うんだ

雲の上の高架線 夜空パレードに連れていって
エピローグが「全部夢だ」って
代わりに哭いてくれればいいのに

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【詩】涼しくて青い

【詩】涼しくて青い

夢心地 いっそ空色に染まってしまいたくて
裏表賭ける 二分の一には柔軟剤を
真っ白なシャツは君の笑顔みたいな
取り込んだ時のお日様の香り 蒼穹

この街の夕暮れは 残酷さえ隠しつつ
溶けてしまった僕の心さえ赤く染める
君に会えない今日は空っぽだな、嗚呼

なんて思わなかったのにさ
キザなことばっかり考えちゃうな
胸の高鳴りに追いつきたいだけ
僕は走っていく
あの群青が落ちてきそうだ、もうわかんない

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【ショートショート】あっけない昨夜の話

【ショートショート】あっけない昨夜の話

 早朝、春の熱気を乗せた始発電車は、思っていたよりも混んでいた。ふらつく頭を抱えつつ、なるべくなんでもないふりをする。誰も私のことなんか見てないけど、何となく居心地が悪くてそうする。
 いつも通りの電車の音に、少し安心する。何気ない顔で窓側の席に座る。隣に座ったサラリーマンの大きな黒に、どすんと椅子が揺れる。

 夜のことを思い出す。久しぶりのオールで、頭がくらくらする。薄暗いいちばん大きなカラオ

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【詩】春と、サヨナラの話。

【詩】春と、サヨナラの話。

高校の卒業式の日に作った詩です🌸
拙いですが、、ぜひ。

花束は誰か 知らない人からの
写真はきっと あの子からの
頭の中には 意味のない歌が
まだ ぐるぐると

あの時のことが 昨日のことだとか思わないさ
ただ 君ともう少しだけ
ただ もう少しだけ
テープで繕った笑顔
隠した涙の跡も
そんなの気づかないくらいの
はやいはやい僕らの春が

重ねた花びらの誘惑が
違う気持ちにも気づかないふりをして

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