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メタバースのアバターは人類初の馬鹿につける薬となるか

私は受け入れるつもりなんてないのに、誰にでも愛想を振りまいて周って、色んな人を好きにさせているらしい。反論するつもりはないけれどあたかも私だけが悪いみたいに言われ鼻白んだことが少し癪で、筆を執ってみたら
思いのほかすんなりと書けたので投稿してみる。



何の努力もせずに人に好かれる経験は毒になる

私は性別を含む多くの現実世界の情報を秘匿(フェイクを織り交ぜ)に無言勢として活動してきた。実際、始めてから3ヶ月程度で10人以上から好きだと言ってもらえていたので、相手の言い分は正しいのだろう。
私の言い分は『何も情報がないのにどこを好きになったの?』だ。

アバターは個性として捉えることが出来ても、何の努力も要らずに変えることが出来るし。無言勢で声は出してない。それなら人間性?たった1~2週間で分かった気にならないで欲しい。
見た目はとても重要だ、しかしその「好き」がアバターに向いているなら。アニメなどの2次元キャラクターに恋していることと変わりがない。
私は改変が好きだ、自分なりの可愛いを表現して改変したアバターを可愛いと褒めてくれるのは純粋にとても嬉しい。

しかしアバターは恋愛的魅力を上げるものでは無い。
現実世界で人に好意を持たれる経験が無ければ、可愛いアバターに寄ってくる力が自分の魅力だと勘違いしてしまうだろう。しかしそれらは人のコンプレックスにつけこんだ誇大広告のように盲信させるもので、本質的には自身の商品価値に全く関係がない(センスを測る指標程度にはなるけど)。

アバターは竜舞ではなく、"いやなおと"だ。相手の恋愛強度を下げることであたかも自分の魅力であるように錯覚させ、自身に妄信させる行為は悪か、虎の威を借る狐か。

色眼鏡で贔屓される人を妬み・嫌う日本人が、未だに可愛いアバターというフィルターでろ過された評価に、文句をつけている所に出会ったことがない

今この気持ちを表現する言葉を知らないのがとても残念に思う。
利用規約と最低限のモラルを守ればどんなアバターを使うも個人の自由だ。しかしメタバースにおいて対面し、交流しているアバターはAIではなく同じ人間だ。みんなおしとやかに隠した内面を認められたいと思っている。
見た目が10割のこの世界で、あなたはそれにどう向き合うか


VRChatのお砂糖文化について

私はVRChatを始めたての人には恋愛を推奨しない(およそ3ヶ月か500時間を目安として)。メタバースの世界でのチュートリアルを終えていないからだ。
メタバースには現実世界と離れた独自の文化が存在する。

かつて私が始めたばかり(前述した目安以前)に、1番仲良くしてくれていた人と深夜テンションで貴重なVR体験をして。好きになって。脳がとろけた状態でお砂糖を申し込んで断られたことがある。
私はあたかも現実において身体をつなぐ様な高揚感と既成事実が出来た気になっていたのでショックを受けたが、今では早々にVRChatの洗礼をお見舞いし、毎日24時に寝るきっかけをくれた相手にとても感謝している

VRChatで多くの人が脳を焼かれてきた原因として、この独自の文化を理解しきれていない精神的成熟不足だと私は考える。
自分から話しかけてフレンドを作る経験、親しいフレンドが突然ログインしなくなる喪失感、初めて1人で参加するイベント、培ったUnityの知識を次の初心者に伝える過程など。それらの通過儀礼を終える事で、メタバースでの過ごし方、人との関わり方が分かってくる。
VRChatの文化を理解しないまま、その世界で恋愛を始める行為は横断歩道も信号機も知らずに、車を運転するようなもので事故を起こすのは必然だ。


イニシエーションラブについて

それなら3ヶ月経ったら良いの?って言われると。どうだろう…貴方は恋愛における通過儀礼(イニシエーション)を終えているだろうか?

「そう。子供から大人になるための儀式。私たちの恋愛なんてそんなもんだよって、彼は別れ際に私にそう言ったの。初めて恋愛を経験したときには誰でも、この愛は絶対だって思い込む。絶対って言葉を使っちゃう。でも人間には──この世の中には、絶対なんてことはないんだよって、いつかわかるときがくる。それがわかるようになって初めて大人になるっていうのかな。それをわからせてくれる恋愛のことを、彼はイニシエーションって言葉で表現してたの。それを私ふうにアレンジすると──文法的には間違ってるかもしれないけど、カッコ良く言えば──イニシエーション・ラブって感じかな」
               著者:乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

この世の中には絶対なんてないんだっていつか理解する。その精神的成熟が通過儀礼であり、その儀式の介助役として選ばれたのが、貴方が絶対の愛を誓った相手である。つまるところ失敗だったと思える恋愛は、貴方にとって必要な儀式だった。若しくは意味がなかったと思える恋愛は恋人の通過儀礼に選ばれた介助役だった。

これらは人生において必要な過程で、運命の人と幸せになれなかったと思うのは、貴方の痛々しい自惚れで全く気に病む必要がないということ。
初めての恋愛を仮想現実ですることはいわば、ジェネリック・イニシエーションとも呼べるかもしれないが。私は肯定的だし、この考えを理解しておくことで丸焦げになるはずだった脳を熱中症くらいにはしてくれると思う…


最後までお読みいただきありがとうございました。
このnoteは決して、誰かの生き方や価値観を批判するために書いたものではないし、今回私を咎めてくれた大切な友だちにも感謝しています。
 あなたが人間関係に情緒を乱されることなく、素晴らしいVR体験が出来ること心より願っています

最後に…これらは私の4ヶ月の実体験(n=1)で書いたものだから、それは違うと言われても、黙れよ。としか言えないことは予め伝えておきたい。


あとがき

ここまで読んでくれたお兄さん、お姉さんへ本当にありがとう。
ある程度ネット社会で生きてきた私たちには発展途上のVRChatはどこか懐かしく、それでいて沢山の可能性に満ちた楽しい世界になっていると思う。
私たちが子供の頃に体験したものとは、全く別の世界がここにある。

かつてオンラインゲームで晒しといえば2ちゃんねるくらいで、ゲーム廃人しか棲んでいない、見る価値もない正真正銘のクソ溜めだった。
それに引き換えて、今では誰もがTwitterを利用している。叩きやすいものであれば別の界隈までもが便乗してくる。
コミュニケーションツールの発展が。シャーデンフロイデに飢えた世界が。誰かが失敗するのを待ち焦がれている。

『恋と酒は一度の失敗で人生を大きく狂わす』
できるだけ若いうちに失敗しておくべきだと思うけれど、未成年が貞操や人生を失うまではしなくても良いと思う。この世界に来て既に3人の少女が、初めて会う相手とお泊まりする予定があるんだ。と話してくれた。

怪我のない社会を作るのか、怪我をして覚えさせて重大な事故を防ぐのか、どちらが良いか一個人が答えを求めても仕方がない。
人生にいくつもある、たった1つ失敗を。未然に防ぐことがその人のためになるなんてエゴだし、恋愛中の少女を止めることなんて不可能だ。

それでも大切な友人が少し危ない橋を渡ろうとしているのなら、機嫌を損ねさせる覚悟をしてまで諭す必要はないけれど。「あなたを心配しています」と誠実な思いで伝えることはして欲しいと思う。
その人がなにか親にも、友達にも、相談できない失敗をしてしまった時に。
最後の日の前日に。SOSを届けたいと思うのは貴方かもしれない。

慕情より母性にこそ、この世界の光があると、私は思う

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