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法務大臣は知っていた。

2023年5月23日、米国児童問題局「国際的児童誘拐に関する下院公聴会」が開催された。
パネラー(出席者)は Ms. Michelle Bernier-Toth,Mr. Jeffery Morehouse,Dr. Noelle Hunter,Ms. Patricia Apy、そして、米国下院議員で共和党のChris Smith議員だ。

ご存知の方も多いと思うが、クリス・スミス議員はショーン・デイヴィット & ゴールドマン リターン アクト 通称ゴールドマン法を成立させた,ニュージャージー選出の米国会議員だ。

参考:https://chrissmith.house.gov/lawsandresolutions/the-sean-and-david-goldman-intl-child-abduction-prevention-and-return-act.htm

スミス議員は以前から日本の実子誘拐問題を非常に重く受け止めており、日本人の配偶者によってわが子を連れ去られたり、親子関係を断絶させられた米国民の被害者(主に父親)を救う為の尽力を続けている。米国の被害者からしても非常に信頼が厚い議員であり、私と親交のある米国の当事者達は口を揃えて
「スミス議員は本当に良い議員だ。彼の事は心から信頼できる」と言う。
ちなみに、私のXの投稿をご覧頂いている方はご存知かもしれないが、カナダのHenrik Teton氏も、過去にスミス議員の公聴会に出席した。今回の記事の内容とは異なるが、Teton氏は日本人妻に連れ去られた息子“鷹弥君“との再会を願っている。何か情報があればTeton氏のXにDMをして欲しい。ぜひご協力をお願いしたい。詳細はTeton氏のX参照↓

Henrik Teton氏 Xアカウント 

話がそれてしまったが、2023年5月23日に開催された公聴会でスミス議員は次のように述べている。

「条約加盟国、または条約加盟前の未解決の拉致事例がある。その中でも日本は飛びぬけています。なぜ、このような国々ともっと多くのMOを結ばないのでしょうか?なぜ、日本のような国との補足的な二国間協定をもっと追求しないのでしょうか?私は数年前に日本への出張を率い、彼らがハーグに調印する前にこの話をしました。そして、苦い甘い考えの1つとして、彼らが批准に向けて動いていることを嬉しく思いました。しかし、批准に先立つすべてのケースは、焦点から外れ、解決への道筋から外れてしまう可能性がありました。そして、M O Uは、この問題を解決しよう、遅れは否定になる、不正は永遠に続く必要はない、と言ってくれる大きな助けとなるはずです。このような家族にとって、日本は、非準拠とされていないにもかかわらず、このような事件に関して実に不穏な実績があります。最近の国務省の報告書によると、米国政府が追跡調査を始めた1994年以降、日本で誘拐された子どもは500人以上にのぼります。日本は、特にそれ以前の事件については、ほとんど進展していません。先ほど申し上げたように、2014年にハーグ条約に署名し、その後、片親の親権に関する法律の改正が遅々として進まず、まもなく証言するジェフリー・モーハウスのような親や他の多くの人々が、何年も何年も待たされ、何もできずにいます。国務省は、あらゆる手段を駆使して最終的にこれを正し、より強く返還を求めて追求しなければなりません。そのため、私は、この「拉致された子供を家に帰すための議会改正法」を議会に提出し、再提案する予定です。この法案は、ゴールドマン法の主要な部分を強化するものであり、例えば、州ごとに異なるデータの要求や透明性の向上、取り残された家族へのより多くのリソースの提供、連邦法執行機関の協力の強化などが挙げられます。取り残された家族は、あまりにも長い間待っていたのです。」

“There are unresolved abduction cases in countries that are signatories to the Convention or that have not yet acceded to the Convention. Among these countries, Japan is by far the most prominent. Why don't we have more MOs with these countries? Why are we not pursuing more supplemental bilateral agreements with countries like Japan? I led a trip to Japan a few years ago and we talked about this before they signed the Hague. And one of the bitter sweet thoughts was that I was glad they were moving toward ratification. But every case that preceded ratification was out of focus and potentially out of the path to resolution. And the M O U should be a great help in saying, let's solve this problem, delay is negation, and injustice need not continue forever. For these families, Japan has a truly disturbing track record with regard to such incidents, even though it is not considered non-compliant. According to a recent State Department report, more than 500 children have been abducted in Japan since 1994, when the U.S. government began tracking the cases. Japan has made little progress, especially with regard to earlier cases. As I mentioned earlier, the country signed the Hague Convention in 2014 and has been slow to revise its laws regarding single-parent custody since then, leaving parents like Jeffrey Morehouse, who will testify shortly, and many others waiting years and years to get anything done. The State Department must finally make this right by all means possible and pursue it more strongly for restitution. To that end, I will be submitting and reintroducing to Congress this "Congressional Amendments to Bring Abducted Children Home Act". This bill would strengthen key parts of the Goldman Act, such as state-by-state data requirements, increased transparency, more resources for families left behind, and increased cooperation between federal law enforcement agencies. The families left behind have waited too long.“

参考資料:

つまり、ゴールドマン法の適用条件のハードルを下げ、若干の改正を行い、ハーグ条約履行国の規定水準に達していないのにも関わらず、不履行国認定を解除された日本の骨抜きハーグ条約締約条件に対して、日本をゴールドマン法の適用国にしようという事だ。

もし私がスミス議員の立場なら、日本政府に対して「誤魔化すんじゃねーよ!」と言いたいところだ。
以下の参考資料は2023年の各国のハーグ条約履行率を米国政府が調査したものである。日本は先進国と比べ、特段に低率なのが分かる。

参考資料:2023 U.S. Annual Report on International Child Abduction

そして、同年5月26日の共同養育議員連盟と斎藤大臣との面談の際に、前述した公聴会の内容は斎藤大臣に伝わっている。当然、柴山氏も把握している。

さて、ここで思うのは、正式な通告ではないものの、前述したスミス議員の発言や公聴会の内容は非常に重要な事であり、今まで以上の国際問題に発展する確率は高い。仮にゴールドマン法が日本に適用されれば、二等国扱いになり経済にも打撃を受ける。二等国扱いになるという事は具体的にどうなるのかは、ここでは省略するが、米国からしてみれば日本は子供の誘拐や拉致を法律で認めている無秩序な国家であり、人権など存在しない下劣な国だと法的に認めようという事だ。普通の感覚であれば、日本がそんなレッテルを正式に貼られるとなれば、日本国民である私のような一般市民でも非常に恥じる事であるが、国会議員の立場なら尚更であろう。しかし、彼ら自民党国会議員の対応はどうだろう。百歩譲って、斎藤法相は自身の任期中に家族法改正が成立しないと見越して沈黙したとしても、柴山氏は法案成立に最も尽力しなければならない立場からすると、簡単に無視できる案件ではないはずだ。
しかし、スミス議員の発言を伝えた後でも彼らは気にする事なく“偽共同親権制度“を成立させようとしているのは確実だ。仮に気にしているとしても、悪びれる事なく他国を誤魔化すための法改正に従事しているのであろう。

果たして、このまま家族法改正が“ニセモノ“で終わり、トランプ大統領が返り咲き、共和党政権が発足した場合、同じく共和党のスミス議員も黙っているのだろうか。現在の日本政府はリベラル政党である民主党にしかコネクションもないだろう。
公聴会に出席したMorehouse氏も今年、日本に来日している。私も含め、これまで米国をはじめ各国に陳情してきた被害者の成果が出る時が来るタイミングを虎視眈々と狙う。時は来た、と思える日は近いかもしれない。

次は、なぜ外圧が必要なのか、上川陽子氏が家族法制部の立ち上げを指示した経緯を書く。

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