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VIII-2 応響・応地 -不思議な脱力への実践稽古(2)-緊張と弛緩を身体の左右で交互に繰り返す/四方向へ強く短い呼気と手首の動き

3)「応響」-身体を180度回転して真後ろへ 左右から同じ目標まで目を運ぶ-

次は右手を胸の高さで、身体の側面をぐるりと回して、自分の真後ろへ。
真後ろで手首が伸びて後方へ放りだす感覚である。
呼吸は同じように吐きながら回して、最後に放り出す時に吐ききる。

次に向きを反対側に換えながら息を吸い、まず腰部が回りながら腕の回転がそれを追いかけ、最後の目標まで回したら手首を伸ばして、後方に放り出して息を吐ききる。

これを左右各10回ぐらい、合計20回行う。
西野先生は、この応響の動作は気に入っておられたのか。三冊の本の表紙に御自身の応響が使われている。「気の発見(1989)」、「“気”知的身体の創造(1990)」、「気の奥義(1992)」などである。
大切な事は、無目的に後方へ回転するのではなく、右から回しても左から回しても、遠方に定めた目標まで毎回目を届けることだ。

同時にこの動作も、腕を回している側の筋肉群が緊張し、反対側の腕は緩んでいる。
身体の半身ずつが緊張と弛緩をリズミカルに繰り返している事は変わらない。

4)「応地」-半身ごとの脱力の繰り返し 実感する脱力-

最後は自分の身体軸に沿って、まず右手をゆっくりと上に揚げてゆく。
背中から右上肢に続く腱が気持ちよく伸びきったところで、力を抜いて自分の中心軸に沿って、ストーンと右手を下方へ落とす。
今度は少し左を向いて、左手をゆっくりと揚げてゆき、背中から上肢へつながる長い腱が伸びきったところで力を抜いて、自分の中心軸の中をストーンと左手を落とす。

これは先ほどから説明してきた、半身ごとの緊張・弛緩の繰り返し動作だが、最も脱力が実感できる典型的なものである。
身体半側の緊張から弛緩への切り替え!
この「ストーン」という刺激、緊張から弛緩への急な切り替え感覚はMMC/LMCの連携(肩の力が抜けた脱力)に重要である予感がしている。
さらに医学的解析の必要な動作である。

稽古を数ヶ月続けて、気が付くと、持ち揚げている腕の反対側の腕は体の横でブラブラ振られている(リンクhttps://www.youtube.com/watch?v=dGHZb9KfkIE)。別にこの腕を振ろうという意図はない。
肩関節から下は力が抜けている。自然に弛緩状態になっている。

しかも左右交互に20回も繰り返すのに、もっといつまでも続けたい気分になるほど不思議に気持ちが良い。
脱力感が実感される気持ち良さとでもいおうか。

日常生活でも、例えばエレベータを待ちながら、「応地」をやる。
日常にそのまま応用できる稽古である。


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