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POLA APEX広告の考察




スキンケアブランドのPOLAが新しく開発した、業界初の肌分析からその人に合ったスキンケア商品を提供するサービス「POLA APEX」の広告。

1. なぜアイデアとして優れているか?

美容広告の表現としてあまりない「顔の歪ませる」ことでチャートを作るという表現の新しさが面白い。

従来の美容業界の広告イメージは、芸能人やモデルを使うことが多く、「この俳優さんのようになりたい」という憧れの感情を抱かせるような綺麗なものが多い。まして美容業界は「美しさを惹き出す」立場にあるため、「顔を崩す」という行為は美しさに反する事象である。

しかし、このサービスの最も訴求したいことは、美しさを惹き出すことではなく、「個人に最適化する美容」という、新しい価値提供部分にある。

「肌診断をするとこんな芸能人にあなたもなれますよ!」という広告では、本当のサービス価値への訴求として弱い。

なので、「チャート」で分析を表現し、「人の顔」を使うことによってスキンケアや美容を想起させつつ、業界の通説とはあえて真逆の手法を使うことで、広告としても業界初というサービスとしてもチャレンジングなので、非常に尖った訴求になり得ている。




2. ビジュアル表現のよさは何か

歪んだ顔を大きく配置し、その後キャッチコピー、ボディコピーという順に視線誘導されるシンプルな構図。

フォントはキャッチコピーに鉛筆書きのようなものを使っている。崩しすぎず、かといって固くなりすぎない、強さとしなやかさを兼ね備えたタイポグラフィとなっていることで命令口調でも嫌な雰囲気を感じない。
かつ顔と文字の変形という意味で親和性のあるフォントとなっている。




3.批判的視点

・認知度の高い芸能人であれば、もっとチャレンジングでSNSのシェアも増えた可能性がある。
(が、美容広告に出てくるような女優さんや俳優さんは、レギュレーションがあり、顔の変形はNGで起用が難しかったものと想像する)

・チャートの項目にもそれぞれに色がついていたらもう少しチャートの項目が浮き出て、見る側の理解が早くなる可能性もある。


4.個人的感想

業界の広告として「ありえない」と言われそうなものにチャレンジする広告は、新しいサービス、業界初のサービスの訴求としてかなりインパクトがある英断だと思う。
普通を認識し、常識を疑うことで逆説的な表現を生み出すことができるということを教えてもらったいい事例である。

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