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「小学一年生」周年記念の広告



小学一年生向けのコンテンツ雑誌「小学一年生」の周年記念広告。

1. なぜアイデアとして優れているか?

昭和時代を思わせる家族写真の体裁で、全世代がそれぞれの時代の雑誌を持つことによって90年の長さを感じさせる表現に落とし込んでいるところに面白さがある。

まず、家族写真にすることで、本来持っているはずのない雑誌を手に持つことで目を惹く。そして、それぞれの時代の雑誌を持っていることによって、90年の時代の移り変わりが想起され、まさに周年記念の広告らしさが演出できている。



2. ビジュアル表現のよさは何か

この表現で重要なことは、家族写真の型を徹底的に再現することである例えば。無地の背景に立っている人と座っている人がいて、スーツや和装、タキシードといったかっちりとした服装をしているなどである。
構図も写真館に沿った撮り方となっている。

このビジュアルは、その体裁が守られているため、ひと目見て「家族写真」と認識できる。

コピーなどには少し手書きの要素が入っている明朝体フォントを使うことによって、90周年の伝統を感じさせるフォントである。



4. 批判的視点

人物の肩書きが少し多い印象も受けたので、年齢や属性(祖父など)はなくしてシンプルにするか、左上のコピーを取るなどして、もう少し想像の余白ができる広告となって面白かったかもしれない。

情報がなければ、例えば「曾祖母の雑誌は右から左に読むという、戦後の文字の読み方であることが認識できるので、一番古いかもしれない」など、謎解き要素にもなり、面白くなったかもしれないとも思う。

祖父と母の年齢をもう少し下げることによって、曾祖母と祖父の差がわかりやすくなり、年齢を入れないという選択肢もできた可能性がある。


5. 個人的な感想

家族写真のような一般的なイメージがある題材を使う場合は、徹底的に型を守ることで、目立たせたいものへの違和感をつくることができるといういい例だと思う。


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