父のようになりたい

うちの父の話である。
よく「仙人みたいな人」と言われる。食べる方は大好きなようだが、他は本当に穏やかな悟りきった人だ。
そんな父は、よく言えば人当たりのよい、悪く言えば八方美人。私は父が大好きだが、弟はいい加減な対応をする父が嫌いらしい。私は父に支えられた記憶が多いので、嫌いになる要素があまりないのだが。
読書家で物知りだ。
決して怒らないわけじゃなく、私がナチュモラときちんと別れて、住所を実家に移した時、どうしようもなく泣き喚いたら、不自由な体で私の部屋までやってきてくれた。またナチュモラに泣かされたのかと「もう電話を切りなさい!」と叱ってくれた。

そんな父の、人づきあいのエピソードがある。
八方美人の態度をとる父を、気に食わない人は一定数いる。
とある飲み会で、「わしはあんたの八方美人が嫌いなんじゃ!」と言われたらしい。
父は「わしはあんたのことが好きなんだが」とお酒をついだそうだ。
人の好き嫌いの激しい私にとって、憧れる姿勢である。
なんでこんなこと書いたかというと、職場で嫌いな人に凄まじく不機嫌な応対をされたからだ。
いや、職場であのテンションはないだろう。過去転職してきてあれほどひどい対応されたことない。これが俗にいうフキハラか……
ちなみに、かわいくて若い女の子には優しく、仕事にもたつく同僚にはあたりがかなりきついらしい。
こんな人に対しても、「わしはあんたのことが好きなんだがなあ」と言えるような父の懐の深さを真似できるようになりたい。ここ一、二年できつくなったので、私が知らない間に何かやらかした可能性は高いが……

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