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【中南米】バスに乗るとき尻ポケットに入れておくべきもの

中南米に住み始めて早15年になる。
ラテンの人たちはフレンドリーで、国自体も日本にはない「緩さ」がある。
ボクはこの暮らしが結構気に入っている。

ただし、バス以外は、である。
ここではいわゆるチキンバスと呼ばれる大型バスで移動することが多い。

シートは1列あたり、日本だと2人がけの広さだ。
でも、ここでは3人がけが普通。
混んでくると、さらに詰め込み4人座らされる。
相当きついが、まだ窓際ならとりあえずOK。

通路側になってしまうと、バスの時間は半ば拷問の時間となる。
シートに完全に座れず、尻の半分だけかろうじてチョンと乗っけるだけなのだ。
ボクはこれを「半ケツ座り」と呼んでいる。
半ケツ分はシートで体重を支えられるが、もう半分は空気イス状態となる。
2時間も乗っていると、太ももは完全パンプアップ状態だ。

そして、運転が超絶ワイルド。
日光いろは坂など目じゃないくらいの、激しい高低差とキツいコーナーをとんでもないスピード突っ込んでいく。

この国に数年前、ジェットコースターなどがあるテーマパークがオープンした。
絶対に流行らないと思う。
なぜなら、ジェットコースターより、バスに乗ってる方がずっと怖いからだ。

ボクは結構な車酔いをする。
日本でも、他人の運転の時は酔い止め薬を飲まないと青ざめる。
そんなボクがここでバスに乗ったら、どうなるか?

前日の夜からその恐怖に震えて、なかなか眠りつけない。
そして、睡眠不足の体調が良くない中、バスでシェイクされる。
「そんな時」に備えて、ボクはいつもバスで遠出する時はビニール袋をポケットに入れておく。

カラフルなバスは見た目に楽しい

ある朝、やはりしっかりとビニール袋をお尻のポケットに入れてバスに乗った。
家から一時間くらいの村へ行くのだが、標高差800メートルを一気に下るルート、スキンヘッドに筋肉隆々のタンクトップの運転手は果敢にコーナーを攻めていく。

バスに乗る前には、胃がちょっとやられるコーヒーを飲んではいけないというマイルールを忘れ、飲んできてしまっていた。
久しぶりに限界が来た。
「もうダメだ。」
ポケットからビニール袋を目にもとまらぬスピードで取り出し、「虹色」を処理する。

ところがだ、この国のモノというのは、ことごとく品質が悪いことを忘れていた。
ビニール袋も大手外資スーパーのものじゃないと、角がすぐ破れてしまうのだ。
ああ、噴出物の圧力がかかって、角が裂けていく。
そして、見事に周りの人にご迷惑を・・・

しかし、さすが某国である。
みんな、嫌な顔もせず、困ってるヤツを助けるのが当たり前という顔で動いてくれる。
こういう時に備えて持ってきている、トイレットペーパーのロールをそのまま渡して、拭くようにと言ってくれる。
水のペットボトルを渡して、ズボンを洗い流せと言ってくれる。
こちらは日本人、「申し訳ない、申し訳ない。」という言葉しか出ないが、周りの人は優しい目と、半分かわいそうに、という目を浮かべて助けてくれるのみだ。
この優しさに救われる。

この日、改めて、この国の「最悪」と「最高」を味わった。
そして、中南米のバスに乗る時には、ビニール袋の頑丈さを確かめるべきことを。
また明日も、尻ポケットにビニールを入れてバスに乗っていこう。


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