ハネネズミと死――ミステリとしての石黒達昌
「平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士.並びに,」は、石黒達昌の短篇です。正確に言えば短篇そのものは無題で、「平成3年……」は、その冒頭の文章となります。
以下の文章は「平成3年……」のネタバレを含む……というか、ネタバレそのものです。
「平成3年……」は、第110回芥川賞候補に挙げられたことでも知られています。
長らく手に入れにくい短篇でしたが、2021年、伴名練が編纂した『日本SFの臨界点 石黒達昌 冬至草/雪女』(ハヤカワ文庫)に収録さ