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パンケーキを毒見する 菅義偉を調査分析した政治バラエティドキュメンタリー映画


世間では、官房長官時代の“令和おじさん”や東京新聞記者・望月衣塑子氏との会見でのバトルが有名だが、政治家として総理大臣・菅義偉がこれまでどのようなことを行い、何を考えているのかは意外に知られていない。
秋田のイチゴ農家の出身で上京後、段ボール工場で働き、国会議員の秘書として政治の道へ。
横浜市議会議員を経て衆議院議員に当選すると、自民党では派閥に縛られず、様々な人物を担ぎ上げ、“勝負師”とも“裏切り者”とも呼ばれた。
世襲議員ではない叩き上げの首相の誕生ということもあり、“令和の田中角栄”と評されることも。
しかし、首相就任後は携帯料金値下げ、ハンコ廃止、デジタル庁の新設など一般受けする政策を行う一方で、学術会議の任命拒否や中小企業改革などを断行。
安倍政権下では官房長官として人事権を駆使した官僚掌握や独自の情報網でメディアをコントロールする影の支配者として君臨したことから、いつの間にか日本中が彼の思惑通りに管理・支配されるのではないかという不安がよぎる。
就任早々実施した大手メディアの政治担当記者とのパンケーキ懇談会がその第一歩かと注目され、“パンケーキを食べるかどうか?”に、権力に対するメディアの姿勢が問われた。
果たして、菅首相は一体何を考えているのか?安倍政権との違いは?
コロナ対策で国民の命を預けるに値する人物なのか?
石破茂、江田憲司ら政治家や前川喜平などの元官僚、その他ジャーナリスト、各界の専門家が菅義偉という人物、そして菅政権が何を目指し、日本がどこへ進むのかを語り尽くす。
叩き上げの苦労人から首相にまで登りつめたその実力、見た目からは分からない凄みや怖さ。これまでの国会答弁を徹底的に検証し、菅首相のポーカーフェイスの裏に隠れたものを探る。
ブラックユーモアや風刺アニメを交えたバラエティ要素を盛り込みつつ、様々な角度から菅政権の実態を浮き彫りにする政治ドキュメンタリー。

菅総理支持派グループ「ガネーシャの会」の若手議員から菅総理行きつけのパンケーキ屋まで、軒並み取材拒否された。
貧しいイチゴ農家から苦学してのし上がった叩き上げ政治家。実際のところはブランド品のイチゴで財を成した地元セレブの息子である。
そして様々な記者や政治家の証言から見えてくる、市民の要求を汲み取る都会派政治家と利権に鼻が利く旧来の自民党議員、果断な有言実行と威圧感の2面性。
アクアラインの使用料や携帯電話料金などの値下げに着手するなど庶民向けの政策を断行する一方で、内閣人事局で人事権を握って官僚をコントロールして官房機密費を資金源にマスコミに圧力をかけたり持ち前の人たらしぶりを駆使して懐柔して官邸の政策に対する批判を封じ込める強権を振るった。
「ごはん論法」というワードとNHKなどでの編集された国会中継ではないものを見て欲しいという国会パブリックビューイングの活動で名を馳せた上西充子が、学術会議任命拒否問題についての菅首相と共産党の小池議員の質疑応答で、菅首相がいかに相手の追求をはぐらかすために「言葉を変えながら同じことを言う事で、ちゃんと答弁してるように見せる」「担当ではない大臣に答弁させて、菅首相が後追いでおうむ返しする」というゴマカシ答弁してるのかを分析し、何故話が噛み合わない答弁を続けるのかまで考察しているパートは、なぜ官邸の一見するとその場しのぎの政策や答弁を続けるのかが見えた。
安倍晋三と菅総理の政治姿勢と人心掌握術は、分断することで敵を作り対立させて権力を強化する。内閣人事局や官房副長官に抜擢したのが、官僚の出世争いからはぐれた官僚だったり、エリートへの嫉妬や反感を利用して権力を強化している。
加計学園建設が安倍首相案件であることを国会で暴露した前田喜平さんが、杉田官房副長官や和泉総理補佐官から前田さんが出会い系バーに出入りしていることをネタに圧力を受けたことなど、官邸による圧力を総理の政策に批判する者や官邸の疑惑を告発する者などに圧力をかける例が続出していることを、前田喜平さんなどの証言から見えてくる。
大手新聞社などのマスコミは、ネタを逃すのを恐れて、官邸が開く懇親会や記者会見などに参加したりして、記者会見の内容を横流しして官邸の広報に堕ちてしまうマスコミの大本営発表機関化が進んでいる現状。
平均賃金、幸福度、相対貧困率、男女平等、自殺死亡率、新型コロナPCR検査の普及率、G7最下位の日本の現状。
政治に対する無気力が蔓延する大衆の無関心、調査報道によるマスコミの政治に対するチェック、そしてこういう政治に対する無関心に甘えてその場しのぎの政策に終始する政治家、甘くてふわふわのパンケーキのようにやわになってしまった国民やマスコミや政治の現状に、じわじわと背筋が凍りつく一方で政治にちゃんと関心を持っていくことが痛切に感じた政治バラエティ・ドキュメンタリー映画。
「羊の国家は、狼の政府を生む」byエドワード・R・マロ

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