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新人にしかできないこと

昨日記事を上げようと思いながら寝てしまいました…😅
2年間、ほぼ毎週書いてきたので抜けるとなんだか気持ち悪いですね…(-_- )
そして困った時の空の写真。
日暮れまでが長くなって空を眺められる時間が増えてきました。
とても好きな季節です。

今日のテーマは「新人」。
今春入職された方もそろそろ少し慣れてきたことでしょうか?
五月病はうまく乗り越えられたでしょうか。

このテーマにしたのは、最近うれしいことがあったからなんです。

仕事中のこと。
とある患者さんのリハビリを終えてベッドに戻ってもらった時、まだ入職して間もない看護師さんが来てこう言いました。
「〇〇さん、退院が近いんですけどベッドで寝ていることが多くて何かできることはないかと思って…。
離床(ベッドから起きること)を促したいんですがいい方法はないでしょうか?」
この言葉を聞いてうれしくてうれしくて…。
思わずnoteに書いてしまいました(^^ゞ

何がそんなにうれしかったか、あまりピンと来ないかもしれません。
ちょっと解説したいと思います。

私は急性期病院(病気・ケガをしてすぐ行く病院)で作業療法士をしていますが、いかに離床を促せるかはとても大事な要素です。
一日ベッドに横たわることは様々な弊害が伴います。
筋力が落ちる、夜寝られなくなってしまう、呼吸機能が落ちる、認知機能が落ちる、床ずれが起きやすくなる、起き上がると血圧が下がりやすくなる…などなど。
人の身体は日中起きているように作られています。
ずっと横になっていることは想像以上に辛いものです。

だからこそ離床が大事になってくるのですが、なかなか患者さんにずっと起きていてもらえない事情も多々あります。
そもそも急性期は患者さんの状態が変動しやすいわけです。
それは離床することによるリスクも高いということ。
血圧が下がるかもしれない、立ち上がって転ぶかもしれない、痰がからむかもしれない…。

更には看護師さんを始め、スタッフに余裕がありません。
離床している患者さんをずっと見ているわけにいかないわけです。
そうなるとつい「安全策」を取ってしまいがちなもの。
更に退院が近いとなると、余計無理はしたくなくなってしまうのです。
もし状態悪化してしまうと、せっかく退院が決まっていたのに伸びてしまいますから…。

これは致し方ない面もあります。
急性期病院は常に救急を受け入れる余地を作っておかなくてはなりません。
(そうしないと救急車のたらい回しが起きてしまいます)
そうなると、患者さんが退院できるよう促していなかければならない。
そのために長く入院する方の多い病院は赤字になるよう、国も制度設計しています。
そして退院が近づくとあまり無理をさせたくない…という心理が働くわけです。
制度の是非は置いておくとして、それが現実だということです。

説明が長くなってしまいましたが…そんな中、新人看護師さんが一所懸命に患者さんのことを考えて離床について相談してくれたわけです。
そりゃあもう、うれしくなっちゃいますよね(^^ゞ

もちろん「それじゃ起きていてもらおうか」で、終わらせるわけではありません。
起きておくことのリスクは何なのか。
その方は血圧が下がりやすい傾向にありました。
リハビリが終わる際、血圧は下がっていないかチェック。
その上で一人にならないよう看護師さんに注意を促します。
具合が悪くなったり「何だかおかしい…」と感じたらすぐベッドに戻すようアドバイス。
車いす⇔ベッドの乗り移りが看護師さん一人でできるか確認。
ただ座っていてもつまらないのでぬり絵と色鉛筆を貸出し。
…などなどしっかりフォローします。

結果、無事に離床時間を確保できたのでした。

私が後輩に常々伝えていることは「経験と共に得るものと失うものがある」ということ。
(振り返ると随分前にこんな記事を書いていました
経験と共に失われるもの|自律整体めぐりや

その業界に長くいればいるほど「フツーの感覚」は失われていきます。
医療の場で言うと、自分を精神的ダメージから守るために必要な部分もあります。
でも、やはり一般的な人の感覚を忘れてしまうと本当におかしなことが起きてしまう。
それはなんとなく想像できると思います。
だからこそ、私は何年経っても「フツーの感覚」を持ち続けたセラピストでいたいと思いながら働き続けてきました。
(それでも変わってしまったものもありますが…)

新人は経験では当然ベテランには敵わない。
でも新人だからこそできることもあります。
それは時間をかけて向き合うこと。
まだあれこれできないからこそ時間をかけられるわけです。
先の新人看護師さんも経験を積むごとにできることが増え、結果として業務量が増えて患者さんと向き合える時間は減るでしょう。
だからこそ効率よく業務を遂行する能力を磨く必要がありますし、それと同じくらいに初めの真摯な気持ちを持ち続けることがとても大事だと思います。
それはカンタンなようでとても難しいことです。

これらはどんな仕事にも言えることではないかなと思います。
いまは全く余裕が無いかもしれません。
かく言う私も5年目くらいまでは夢の中で患者さんを転倒させてしまう夢を見ては飛び起きる、ということをしょっちゅう繰り返していたほど余裕がありませんでした😅

新人だからできることがある。

とても大変な日々だと思いますが、ぜひあなただからこそできることを、自分を信じて行動してみてください。
応援しています。

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