Das Augenlicht

アントン・ウェーベルンやジャン=リュック・ゴダールと同じ12月3日が誕生日で、それと知…

Das Augenlicht

アントン・ウェーベルンやジャン=リュック・ゴダールと同じ12月3日が誕生日で、それと知る前から彼らに惹かれていたのは奇遇に思います。ウィリアム・フォークナーの書き方を模倣します。えっと、北海道在住の田舎者す(自慢)。la lumiere des yeux

最近の記事

インドが舞台の映画を幾つか

 「河」(1951)、ジャン・ルノワール(1894/9/15 - 1979/2/12)のフランス=アメリカ=インド合作作品、若草物語の変奏のようなストーリーで素晴らしいカラー撮影のインドロケが魅力たっぷり。  「大いなる神秘 第一部:王城の掟 第二部:情炎の砂漠」(1958)、フリッツ・ラング(1890/12/5 - 1976/8/2)のドイツ復帰作、97分+101分の豪華カラースペクタクル。彼自身のサイレント期の企画のリメイクってのも驚異。インディ・ジョーンズの元ネタ的な内

    • 時事的問題

       どうしても知らんぷり出来ない報道。カンヌ映画祭等でジュディット・ゴドレーシュがジャック・ドワイヨンやブノワ・ジャコを告発している話は耳にしていた。ただこれは結構な過去の話でこれまでにもあったme tooの流れと軌を一にしてる感じでしたが、ロトの話はほぼ現在進行形の内容で衝撃度が高く、今後への大きな影響は避けられないでしょうね。「マツコ有吉」で鰻の名店を推薦していたW氏を思い出してしまった。

      • ピエール・ローラン=エマール シューベルト: レントラー集

         期待以上の本当に凄い演奏なので皆様にお勧めです。イタリアでの録音って多分初めてか? 1956年製のスタインウェイなんですと。

        • Padmâvatî (1923) その3

          第二幕 シヴァの神殿の中、暗闇  短いですが悲劇的で壮大な前奏曲にて第一幕とは異なる空間に導かれます。第一場、祭司達のシヴァへの祈りの声、パドマヴァーティも加わる。チットール軍の劣勢は明らかでラタン=サンは残兵を率いて絶望的な最後の戦いに向かっている。チットールの民を救うには生贄が必要と言われパドマヴァーティは腰の剣を掲げて覚悟は出来ていると応じるが、一人では足りないのだと続けられ、たじろぎ剣を納める。第二場、深く傷を負ったラタン=サンが戻ってくる。最初で最後の二重唱。サルタ

        インドが舞台の映画を幾つか

          Padmâvatî (1923) その2

           第三場、宮殿のバルコニーにパドマヴァーティ(コントラルト、第三場の間は黙役)とお付きの者ナカムティ(メゾ・ソプラノ)が姿をみせる。バラモンの歌へ呼応するようにナカムティがパドマヴァーティを讃えて歌う。アラウッディンがヴェールを開けて顔を見せるよう懇願しラタン=サンが許してパドマヴァーティはそれに従ったものの軽蔑したように立ち去る。ゴラの合図で皆は平伏し、アラウッディンは引き寄せられたように立ち上がったが、打ちのめされたように深く椅子に沈む。そして和睦の儀式をドタキャンし明日

          Padmâvatî (1923) その2

          Padmâvatî (1923) その1

           1909年に新婚旅行でアルベール・ルーセル(1869/4/5 - 1937/8/23)はインド、セイロン、サイゴンとアンコール•ワットを巡りました。インドの印象が強かった様で触発された作品「エヴォカシオン」作品15(1911)は三人の独唱と合唱、オーケストラのための作品です。「洞窟の影の中の神々」(エローラ)、 「ピンク色の街」(ジャイプル)、「聖なる川の岸辺にて」(ヴァーラーナシー、聞き慣れた名前はベナレスでしょか)の三章から成ります。  インドっぽさ満開でイイね。大

          Padmâvatî (1923) その1

          エネスクのヴァイオリン

           オペラ「エディプス王」、スフィンクスの場の怪しい魅力に誘われてエネスク自身のヴァイオリン演奏を聴き直した。 ベートーヴェン「クロイツェルソナタ」(1952)、技術的衰えからの音程の不安定さだと指摘(誤解)する向きがありますが、私もこれは意図的な表現だという意見に賛成したい。凄い音楽です。めちゃ分かりやすく言う努力をしますと、ピアノがヴァイオリンよりちっさい楽器に感じられる。  音楽表現として音程を少し低めにとったり、逆に高めにとる事で際立たせたり。作曲の際には四分音を使う

          エネスクのヴァイオリン

          ユリシーズの瞳(1995) テオ・アンゲロプロス(1936/4/27 - 2012/1/24)

           バルカン全体を舞台にした映画。いつものように曇りだけどアンゲロプロスには珍しく綺麗な青い帆青い船の北ギリシャのテサロニキ、内陸フロリナ、アルバニアのコルツェ(コリツァ)を経由し雪山を越えてマケドニアのビトラからスコピエへ。ブルガリアを横断してルーマニアのブカレストから生家のあるコンスタンツァ(コスタンザ)。旧友の待つ新ユーゴスラヴィア(現セルビア)のベオグラード(ベルグラード)。ブルガリアのプロブディフ。そしてボスニア・ヘルツェゴヴィナ、戦禍のサラエボへ。  数々の印象的な

          ユリシーズの瞳(1995) テオ・アンゲロプロス(1936/4/27 - 2012/1/24)

          Esprit des Balkan(2012-3), Bal•Kan(2013)

          1 セルビア南地方の舞曲:Borin Cocek 2 ルーマニアの哀歌&民俗舞曲:Doina, hora 3 ギリシャ、ミティリーニ島の伝承歌:『木』&タブーリ・ジェミル・ベイ:歌曲『チェチェンの少女』 4 ブルガリア北西地方のお祭りの舞曲:チコヴァータ (Chichovata) 5 オスマン・トルコのマカーム(伝統音楽):Der makam-i Huseyni Sakil-i Aga Riza(作曲者不詳)~ディミトリエ・カンテミール編纂『文字による音楽の知識の書

          Esprit des Balkan(2012-3), Bal•Kan(2013)

          ジョルジェ・エネスク(1881/8/19 - 1955/5/4) OEdipe(エディプス王)(1936)四幕6場からなる抒情悲劇(tragédie lyrique)

           規格外の巨人が残した怪物級の作品。幼少時にルーマニア国王から贈られたバッハのカンタータ全集を暗譜していたとかヴァイオリン演奏や指揮の録音記録も含め全て伝説の域に達した存在ですが、作曲作品については焦点が定まりにくいのでは。一番ポピュラーなルーマニア狂詩曲と、後年のヴァイオリン独奏曲(ソナタ第三番や「幼時の印象」)のギャップの激しさ、四分音も用いられいまだに得体のしれない曲と感じさせる。正直言ってしまうとどっちの作品も共通していつ終わるんだろと聴いていて思っちまうんだが意味合

          ジョルジェ・エネスク(1881/8/19 - 1955/5/4) OEdipe(エディプス王)(1936)四幕6場からなる抒情悲劇(tragédie lyrique)

          シリーズ“le roi” 番外編 Musique pour les soupers du Roi Ubu(ユビュ王の晩餐のための音楽)(1965)

           わざわざフランス語タイトルらしいんで、ルイ14世時代のミシェル=リシャール・ドラランドの曲集をもじってるんでしょう。引用の織物、さてアナタは何曲聴き取れるでしょか。ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918/3/20 - 1970/8/10)の作品。ベリオの「シンフォニア」あるいはカーペンター版のマーラー「第十番」を思い出す、あ、悪口になるか。って誰への? 今なら簡単にミキシング、コラージュなどできちゃうんでしょうかね。

          シリーズ“le roi” 番外編 Musique pour les soupers du Roi Ubu(ユビュ王の晩餐のための音楽)(1965)

          シリーズ“le roi” その9 Der König Kandaules(カンダウレス王)(1933〜未完)

           アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー(1871/10/14 - 1942/3/15)の最後のオペラ作曲の試みで、全体の構想こそ固まっていたものの細部の改訂、オーケストレーション(未完は第一幕だけだったらしいけど)など完成に至らなかった。アメリカへの亡命やかの地での無理解も大きな邪魔をした事でしょう。完成させればメトロポリタン歌劇場で上演出来るか可能性を探ったそうですが、ストーリーに裸体が分かち難く絡んだ第二幕は(そういう問題か?)当時のアメリカでは無理とされたそうで諦め

          シリーズ“le roi” その9 Der König Kandaules(カンダウレス王)(1933〜未完)

          シリーズ“le roi” その8 Oedipus Rex(エディプス王)(1927)

           20世紀を代表する作曲家のひとりイーゴリ・ストラヴィンスキー(1882/6/17 - 1971/4/6)の、最良の作ではないかもしれませんが有名曲の一つでしょう。ナレーターが筋を説明し歌唱はラテン語、作曲者本人がオペラ=オラトリオとして中間物を名乗っている。かのオットー・クレンペラーがお気に入りの曲で伝説と化したクロル・オペラで上演してた。 録音はない様子ですね残念。1951年にコクトーが演出、美術とナレーターを務めストラヴィンスキーが指揮した公演の録音は残っています。

          シリーズ“le roi” その8 Oedipus Rex(エディプス王)(1927)

          シリーズ“le roi” その7 Król Roger(ロジェ王)(1926)

           今回はフランスではないですが、カロル・シマノフスキ(1882/10/3 - 1937/3/29)の音楽って本当に独特で、ポーランドという枠組みではとらえきれない。このオペラ「ロジェ王」に体現されているような、ギリシア、イタリア、シチリア、北アフリカや中近東、きっと東ローマ帝国、ビザンチン帝国的って括るのが一番しっくりくるか。全三幕が三幅対の様。第一幕はビザンチン様式の教会が舞台で厳格、禁欲的なカトリシズムを体現し、その中で一度は王が羊飼いに死刑を告げる。第二幕は宮廷のオリエ

          シリーズ“le roi” その7 Król Roger(ロジェ王)(1926)

          シリーズ“le roi” その6 Le Roi David(ダヴィデ王)(1921)

           これはオペラではなく、劇伴奏音楽で好評だったことから筋書きを男声朗読で進めながら音楽を通せるようにして更にオリジナルの小編成を通常オーケストラに拡大した作品です。混成合唱にソプラノ、アルト、テノール独唱とともに旧約聖書のダヴィデ王の物語をスピーディにたどる。一曲一曲は短いものが多く飽きさせません。オネゲルの出世作って事になってるみたい。女声朗読の「火刑台のジャンヌ」と対になってるかも。  オネゲル自作自演でジャニーヌ・ミショー独唱なんてのも残されているんですが、わたしの偏っ

          シリーズ“le roi” その6 Le Roi David(ダヴィデ王)(1921)

          シリーズ“le roi” その5 Le Roi Arthus(アルテュス王)(1903)

           エルネスト・ショーソン(1855/1/20 - 1899/6/10)の畢生の大作で、1886年に着手し1895年に完成した三幕六場からなる「叙情的悲劇」です。初演は不慮の事故によるショーソンの死後となってしまいました。アーサー王伝説ですから何かとワーグナーと比較されるのは無理もないけど、一線を画したショーソン独自の作品なのは間違いない。  第一幕第二場などは「トリスタン」が透けて見えるものの決して陶酔に溺れてはいない、不倫の二人の逃避行だがその罪の意識が高く、むしろ裏切られ

          シリーズ“le roi” その5 Le Roi Arthus(アルテュス王)(1903)