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#ダースの音楽話 #44 脳が幻視を見せるなら、僕はリオ・デ・ジャネイロ

Cartola/Cartola (1976)

今日は雨が少し降った。
そして止んだ。
自転車のサドルにはまだ雨粒があるが、構わずに乗る。
玄関から自転車で漕ぎ出す。
空は曇っているが、しかし。
AirPodsからは違った風景が脳に伝達されている。
1976年の、晴れた空の、喧騒の街の、開いた窓の。
そこはブラジルで。リオ・デ・ジャネイロで。
不敵な笑みを浮かべたサングラスの男が外を眺めている。
ギターはリズムを刻みながらも光の粒のような音を撒き散らしていき、ホーンはふんわりとのんびりと。
そこにポルトガル語のあの、ポルトガル語にしか出せない表現が。柔らかく、温かく、苦く、甘い歌。
近年は僕らが体験してることは全て脳が見せている幻視とも言えると研究者は語る。
ならば、曇った雨上がりの東京の住宅街をリオ・デ・ジャネイロに変えることも可能ではないか?
少なくとも今日、自転車で僕はリオの路地を走っていた。

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