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【不思議体験】私のドッペルゲンガーが2度も目撃された話。


いずれも10年以上前の話になる。

はじめに「私でない私」を見たのは、祖母だった。

祖母はその日、東京に帰る親戚の見送りのため、早朝の新幹線駅に居た。
その際、待合室で、スーツ姿の私を見たというのだ。
「なんでこんな所に◯子(私)が居るんだろう」と思ったものの、なぜか声は掛けずにスルーしたそうだ。

その当時私は高校生だったので、スーツを着て新幹線に乗る機会などない。
しかもその時間、私は家で寝ていた。

駅から帰った祖母は、昼近くなって部屋から起き出してきた私を見て、狐につままれたような気分になったという。

祖母いわく、駅に居た私は、青白い顔で一点を見つめ、疲れ切った様子だったらしい。

二度目は19か20歳の頃。
目撃者は、私が当時好きだった人である。

夜8時ごろ、コンビニで待ち合わせしていた。私は、駐車場に停めた車の中で、携帯をいじりながら彼を待っていた。
一方彼は、店の中で私を待っていた。

しばらくしてから車内で合流し、その話をされた。
彼は「さっき店の中に○子(私)が居たんだけど、なんか声を掛けちゃいけない感じがして・・・・」と言っていた。

現実的に考えると、私はありふれた顔をしているから、地元に「私そっくりな誰か」が住んでいた説が濃厚である。2人はたまたま、私に似た人を見かけたのだ。

しかしそうなると、目撃者が共通して証言している「なぜか声を掛けてはいけない気がした」というのが引っかかる。
「青白い顔をして、疲れ切った雰囲気だったので、声を掛けづらかった」というその私は、一体何者だったのだろう。

それぞれの状況を掘り下げてみる。

まず、駅の新幹線乗り場に居たという、祖母の見た私。

当時の私は、進路に悩む18歳。「東京に行きたいなあ」などと考えながら、大学の資料を眺めたりしていた時期だ。
仮に「私でない私」の正体が、眠っている間に「私から抜け出た私」だとしたら。
東京の学校の入学式にスーツを着て向かう、「願望の姿」の実体化だとしたら――。

非現実的な説ではあるが、妙にしっくり来る。

ドッペルゲンガー=私から抜け出た願望の姿と仮定すると、好きだった人に目撃された時の状況も納得できる。
「一刻も早く彼に会いたい」という気持ちが私から抜け出して、実体化したのではないか。

いずれにしても、それぞれ別の人に2度目撃された「私でない私」の正体は、今となっては知る由もないので、こうしてあれこれ推測するしかない。

ただ一つ言えるのは、「ドッペルゲンガーを見られた者は死ぬ」という俗説は嘘だということだ。
だって私は、目撃から10年以上経った今も、ピンピン生きているからだ。

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