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『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』に行ってきました

出不精なので、たまに外出すると記録しておきたくなる。
今回は、4/11に『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』を訪れた時の話。


宇野亜喜良は、耽美で流麗な画風で知られるイラストレーター/グラフィックデザイナーである。

今年1月に『ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市(Bunkamura Gallery 8)』にて、宇野亜喜良の大胆な蛍光カラーのポスターを観て、とても心惹かれた。
その後、春に宇野亜喜良の大回顧展が開かれると知り、「これは絶対に行かねば!」と思っていたから、今回満を持して、開催初日に馳せ参じたのである。

個人的な事情で言うと、子の春休み〜新学期の午前授業が続き、主婦業に疲れていたため、展覧会に出かけることは「ひとりの人間としての自分」を取り戻すための行為でもあった。
たまには好きな物や事に思いっきり触れないと、人間なんてやってらんない。

会場は、東京オペラシティ・アートギャラリー。初めて行く場所だ。
「東京」「オペラ」「シティ」それぞれの単語にビビってしまう。果たして私みたいなクソダサお上り主婦が行っていい場所なのだろうか…などと思いつつ、渋谷と新宿の境目に聳える高層ビルを目指す。
すれ違う若者はなんか私の生活圏内では見ないくらいのオシャレさんだし、建物に一歩入れば、絵に描いたようなビジネスパーソンだらけで、無職の私は気が引ける。

エスカレーターで3階アートギャラリーへ。
予約なしでOKなのが気楽だ。受付でチケットを購入し、入場。

アクィラックス・ウーノ

平日ということもあってか、初日でも待たずに入れた。来場者は女性多め。外国人の姿も目に付く。

ここで嬉しい誤算が。作品は一部を除き撮影可!
(ですが、この記事には会場内の作品の写真は載せません。あしからず。)

序盤に、淡谷のり子コンサートのパンフレットが展示されているのを発見。ついこの前まで朝ドラ『ブギウギ』に夢中だったので嬉しい。
他にも越路吹雪のポスターなど、昭和芸能史を彩る作品がズラリ。

一面の『マックスファクター』の広告群が壮観だった。昭和の化粧品ポスターは、ハイセンスで美術的価値が高いイメージがあるが、その評価は宇野亜喜良が高めたと言ってもいいのかもしれない。

普段ネットで「昭和 化粧品 広告」などのワードで画像を漁っている私にとっては至福の空間だった。
興奮のあまり、バッグが手汗で滑る滑る。

宇野亜喜良の仕事は、広告デザイン・絵本・雑誌の表紙や挿絵など多岐にわたり、絵柄も幅広い。

演劇関係では、特に寺山修司との関わりが深く、10代の頃少しだけ寺山に被れていた私には「あ、この絵見たことある!」とか「昔持ってた本の表紙だ!」という再会が多かった。
絵柄と寺山作品の猥雑さ、空気感との親和性が高い。というより、ビジュアル面で「テラヤマっぽい空気」そのものを醸成していたのが宇野亜喜良だったのかも、なんて思った。
私は「テラヤマが好き」だと思ってたが、きっと半分くらいは「宇野亜喜良が好き」だったんだ。

空間いっぱいのポスター作品、映像作品の上映、サイケなデザインを活かしたブラックライトを使った展示など、時間を忘れて見入ってしまう。

印象として、作品に描かれる人物の裸体率・チクビ率が高い。しかし、全然いやらしくない。
デザイン性が高いと、エロや猥雑は「コケティッシュ」と形容されるのだな。

終盤には、近年の作品群が展示される。

SHAKALABBITSのポスターがあった。UKIさん、昔『zipper』とかの雑誌によく載っていたなあ。
他、BUCK-TICK、椎名林檎などに提供したイラストの原画。ケイタマルヤマのロゴ、化粧品ブランド・マジョリカマジョルカのイラストも。

制作年が2010年代であることに、改めて驚く。驚異的に〝錆びない〟芸術家だ。

大満足で展示を見終え、流れるようにミュージアムショップへ。

私は、展覧会でも旅行でも、自分用のお土産は必ずポストカードと決めている。(集めやすく、規格が決まっていて、管理がしやすいから。)
しかし、ピンクとブルーの色彩が美しいTシャツがどうしても目に入る。「これ欲しいなあ・・・・」と一旦手に取るが、一万円超え。予算オーバーだ。
泣く泣く断念し、同じ柄のポストカードを購入した。

150円+税なり。

今回『宇野亞喜良展』を訪れての大きな収穫は、「私の好きなものはすなわち“宇野亜喜良的なもの”と言い換えられるのかも」という発見があったことだ。
耽美、猥雑、幻想、サイケ、アングラ。漠然と「昭和レトロ好き」であるとも思っていたが、結局私が好きなものはすべて、「宇野亜喜良」という宇宙に内包されているのだな。
この大芸術家と同じ時代を生きられて幸せだ。


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