独りで過ごしたGW日記。人間にはタガが必要だ
この連休、夫と子は2人で旅行に出かけた。共通の趣味のための遠征である。私は興味がないので留守番することにした。
昼頃に夫と子を送り出し、3日間+αのひとり時間が始まった。
前夜祭
○スープ生活①
自分しか食べないとなると、わざわざご飯を炊きたくないし、買い物にも行きたくない。
というわけで、冷蔵庫の食材だけでやり過ごすことに。
ひき肉、もやし、キャベツ、きのこがあったので、夕食は担担風スープ。
○マンガを読む
夜、以前から読みたかった卯月妙子『人間仮免中』を読む。
幻覚・妄想や飛び降りシーンなど、個人的にキツイなぁと思う描写が多々あるため、「これ体力ある時じゃないと読めないな」と先延ばしにしていた。
やはり体力使ったが、感動した。熱い愛情の物語。
1日目
○お寺に行く
早起きして、招き猫発祥の地として有名な豪徳寺へ。
外国人観光客に混じって、大量の招き猫たちの写真を撮る。
一人旅のアジア系女性に、「テイク・ア・ピクチャー」と撮影を頼まれる。
私はスマホを受け取る。
咄嗟に「はいチーズという日本語は通じるのか?」と不安になり、「さんにーいち、はいっ」という変な掛け声でシャッターボタンを押した。
帰り道、大きなアゲハ蝶が飛んでいた。なんだか縁起がいい気がする。
○スープ生活②
3時間に及ぶ昼寝の後、夕方になって起きる。
冷凍庫のストック野菜を何でもかんでも入れ、ミネストローネを作る。
○アマプラで映画を観る
お酒を飲みながら、プライムビデオで『うる星やつら ビューティフルドリーマー』を観る。なんか怖くなって、半分くらいで再生を止めた。いつものラムちゃんたちじゃなかった。
『劇場版トリック』を観て寝る。
2日目
○夢日記を書く
6時ごろ起床。
久しぶりにしっかり夢を見たので、イメージが鮮明なうちに記事化する。
夢日記用のお絵描きアプリを、「color」から「ibis paint」に変えた。操作に戸惑って時間がかかる。
洗濯したりカフェオレ飲んだりしながらダラダラ作業。記事を書き終えたら、もうお昼。
○家電量販店に行く
「キッズカメラは何でもエモい感じに撮れる」とネットで読み、早速近所の家電量販店に探しに行く。
しかし目当ての品は見つからなかった。ただの散歩になってしまったな。
○本を読む
テレビで『劇場版トリック2』を流しつつ本を読む。
文章術、ジャーナリズム系、伝記など、何冊かをパラパラと。
飽きて電子書籍を読む。森林セラピーのことを読んで、「明日は早朝の公園でボケーっとしよう」と決める。
○つけ麺を食べる
夫と子が、ラーメンやつけ麺の食べ歩きをしている画像を送りつけてくる。
私もつられて、つけ麺を作って食べた。
○そして夜が訪れる
徐々に、気持ちの変化が現れる。
あまりに自由な時間が続くので、怖くなってきたのだ。
他者と関わらず、会話もせず、どこまでも自分の都合で動ける。
子にガミガミ言いながら朝の支度をさせなくてもいいし、下校時間を気にして慌てて外出を切り上げなくても良い。夫の帰宅に合わせて風呂を沸かさなくても良いし、一汁三菜を作らなくてもいい。
何時ともなく、自分勝手にご飯を食べてお風呂に入る。部屋には私の好きな映画や音楽だけが流れている。
自由だ。楽しい。だけど怖い。
今の私、『どくさいスイッチ』の回ののび太みたいじゃないか?
底知れぬ孤独と不安。寂しい。気が狂いそうだ。
なかなか眠れない。
不安を和らげるハーブのサプリ(セントジョーンズワート)を飲んで布団に入る。
3日目
○公園を散歩する
あまり長く眠れず、早朝に覚醒。
「昨日の不安感はきっと自堕落にゴロゴロしていたせいだ。今日は、朝の光を浴びて体動かさねば!」と思う。
バスに乗って、大きな公園へ。
イヤホンで聴くのは、田村芽実『MAY』。谷山浩子が作って斉藤由貴が歌った曲のカバー。
まだ早朝なのに、公園はそこそこ賑わっていた。太極拳老人軍団、おさんぽワンちゃん、大木に抱きついて何らかのパワーを得ているおばさん。
私は、昨日読んだ森林セラピーのやり方を思い出し、瞑想法を試す。
といっても、ベンチに座ってボーっとするだけだ。
目ではなく、背中の辺りから景色を見るように意識する。あとは何も考えない。自然に溶ける感じ、透明になる感じ。少しわかる気がする。
気づくと2時間くらい公園で過ごしていた。
○ドン・キホーテに行く
せっかく瞑想で清らかな気持ちになったのに、帰り道、俗世の権化とも呼べる「ドン・キホーテ」に立ち寄った。
気になっていたオルビスのヘアミルクを買う。
ファンシーなデザインに心射抜かれた。私の心にはまだ、平成女児が住んでいる。
○つけ麺②
帰宅。
昨日のつけ麺が2食セットだったので、残りのもう一食を食べる。
モチモチタイプの麺。食べていると胃が苦しくなる。「エガちゃんねる」のラーメン大食い回を観ながら、なんとか食べ切る。そこまでするか。
○昼寝から覚める
昨晩あまり眠れていないので、睡眠時間を補うために昼寝。
目を覚ます。午後3時半。
また『MAY』を聴く。胸が締め付けられる。
谷山浩子の曲は中学の不登校時代によく聴いていたから、あの頃の感覚が蘇ってくる。
そういえば、思い出した。私はなぜ不登校を脱し、高校進学を決意したのか。
学校に通わず、何の制限も受けない毎日に、取り止めがなさすぎて、怖くなったからだ。
日々時間がきちっと決まっていて、早起きして決められた勉強をして、他人と会って…という日々に息苦しさがあって、学校に行きたくなくなったのに、いざそれらのストレス源から遠ざかると、あまりにも時間がフワフワサラサラと不定形の流れ方をするので、キリがなくて、怖くて、耐えられなくなったのだ。
今回ひとりの時間を過ごしてみて、やっぱり同じことを思った。
人間には最低限、学校とか仕事とか家事育児とか、あるいは趣味とか、何らかの「タガ」が必要なのだろう。
しかしそのことは、徹底的に自由を味わって、不安と孤独と焦りを感じるまでわからないのだ。
最終日
○100円ショップに行く
午後には家族が帰ってくるので、あまり遠出はできない。
スーパーへ買い出しに行く。最後の悪あがきとして、併設の100円ショップで、心行くまで買い物してみることにする。
ケアベアのトリートメントを買ってみてわかった。たまには自分の中の「平成女児心」を満たしてやる必要がある。
そういうわけで、特に実用性とかを考えず、「かわいい」以外の語彙を持たないことにして、無心で買い物した。
帰宅し、私が「宝箱」と呼んでいる、ガチャポンやキャラクター雑貨類の入った缶に、買ったものを納める。ぷっくりオーロラシール。私の普段の服装には似合いそうもない、フリルとお花の靴下。
物といっしょに、「女児心」も封印する。
これを以って、私のGWは終わるのである。
ほどなくして、でっかいスーツケースをガラガラ引いて、夫と子が帰ってきた。
3日間ひとりで広々使っていた部屋が、一気に狭くなる。空間が「野郎」的な雰囲気に満ちていく。なんと鬱陶しいことか。
家族が無事に帰ってきたうれしさを、苛立ちがみるみる上回っていくのを感じた。
大量の洗濯物を捌きつつ、「家族と居るイライラと、一人で居る孤独と、どっちがマシだろう」と考える。
この連休で、私はその答えに、すでに気付いているはずなのだが。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?