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カジュアルに生きる3人の男女【女は女である】映画♯068

 ドーナツを食べながら見るお気楽なミュージカルコメディ。
だけど冷やかしのミュージカルっていう斬新さも楽しんで。



女は女である   1961年/フランス・イタリア



【ストーリー】

デンマークからパリへやって来たばかりの
ダンサーのアンジェラ(アンナ・カリーナ)は、
書店に勤めるエミール(ジャン=クロード・ブルアリ)と同棲している。

ある日、仕事帰りのアンジェラは
24時間以内に赤ちゃんが欲しいと思い出す。
それをエミールに打ち明けたが、
突然すぎる彼女の告白に意見が合わず喧嘩に発展。
アンジェラは他の男に頼むとつい勢いで言ってしまう。
そこに近所に住んでいるアルフレード(ジャン=ポール・ベルモント)が顔を出してくる。



【解説】


決して別れる気がないのに
アンジェラとエミールは喧嘩ばかり。
意地の悪い事を言って困らせるのは、
相手の反応を見て愛情を計ってるんだな。
成熟しきらない振る舞いが
なんて可愛らしいカップルなんでしょ。

当時、婚姻関係にあったゴダールとアンナ・カリーナとの関係性を
作品にしたんではなかろうか。
結局のところ、その2人のおのろけ物語なんだけど、
生活の中にある何気ない滑稽なシーンや
洒落たシーンを切り抜いたみたいな作風が
やっぱりフランス。お洒落なんだ。

なんでこう、おフランスってのは
どこもかしこもお洒落なんだろう。

ゴダールの映画には欠かせないアンナ・カリーナの
着こなすファッションが画面で映える事ばえる事。
動くファッション誌だと思ってただただ
うっとり眺めいていたら、
ところどころの会話劇にエスプリがきいてて
とても面白い。

ゴダールの特徴である、
場面が飛ぶジャンプカットは正に雑誌のページをパラパラめくるあの感じ。
あなたがYouTubeネイティブのZ世代だったら、
切り抜き動画っぽいと感じるかもしれない。
もしかしたら今後、“切り抜き映画“なんてものが
流行るかも。

Vive la France!

赤を基調としたヴィジュアルデザインが特徴的





【シネマジェンヌmemo】

今年の9月に自殺幇助(スイスでは認められている安楽死)
で死去したゴダール。
今活躍するたくさんの有名映画監督に大きな
影響を与え、映画のルールをも書き換えた天才。
91年の人生に自ら幕を下ろしたゴダールに仏の大統領は、
“フランス映画界の幻で巨匠、毅然として現代的、
強烈に自由な芸術を発明した国の宝“
とTwitterで追悼した。

ゴダールは映画批評家として出発。
その後『勝手にしやがれ』で映画監督に移行した人物。
それまでの映画の古いスタイルに
“楽しいルール破り“という方法でキッパリ別れを告げる。
才能が爆発したゴダールはそうやって映画界に革命をもたらした。

現在、全国のミニシアターでゴダールの作品が多数
再上映されています。
本作はAmazonプライムで見放題中だけど、(2022年10月時点)
スクリーンでゴダールを体験したい人はお近くの映画館をチェック
して下さいね。

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