ディスクゴルフ用ディスクができるまで

フリスビーの製造がこんなに大がかりだと知っているかたは少ないのではないでしょうか。機械で量産するといっても、材料のマネジメントやマシンの微調整など、大変で手間がかかることが多いのですね。

ディスクゴルフ界のマッドサイエンティスト(とわたしが勝手に呼んでいる)、「トラッシュパンダ・ディスクゴルフ」のジェシーの新しいビデオです。

彼は2020年に自宅ガレージでリサイクルプラスティックディスクの製造実験を始めました。そのビデオシリーズがとても話題になり、コミュニティからたくさんの支持を得て、一人前のディスクブランドに成長しました。

いままではディスク製造を提携工場に委託していましたが、最近ついに自前のインジェクションモールドマシン(射出成形機)を揃え、ネクストレベルへと進んでいます。

ビデオの内容をざっくり和訳解説します。工業好きのかたは楽しめるのではないかとおもいます。

材料:
トラッシュパンダが使うプラスティックはすべて100%リサイクル材。このビデオの中で使っているのは「TPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)」素材。

材料の乾燥:
TPUは素材の状態だと吸湿性があるため、使用前に4時間ほど、専用ヒーターで乾燥させる。乾燥させずに使うと、ざっくり言うと、沸騰して焦げてしまう。「ガレージで実験してたころはトースターで乾燥作業をやったな、懐かしいよな」とのこと。

マシン:
プラスティックを溶かして金型に注入し成形する「射出成形機」がメインマシン。ただしそれだけで動くわけではなく、冷却水用のマシン、金型の温度調整用のマシン、などなど、関連機械がいくつも必要。

金型:
プラスティックをディスクのかたちに成形する型(モールド)。分厚い金属の塊でできているため、モールドユニットだけで330kgあるとのこと(これは別のビデオでそう言っていました)。

マシンのプログラミング:
射出の圧力や速度などを自由自在に調整できるが、素材や金型ごとにベストな調整を探らなければならず、非常に複雑な作業になる。「少なくとも一日一回はすべてを投げ出したくなる」「カンペキなプログラムを見つけたときはほんとに達成感がある」とのこと。

ディスクの完成:
ベストなプログラミングできれいに成形されたディスクは、金型から外されたあと、テーブルの上で20分ほど冷却され、中心のバリを切り取り(バリは再度リサイクルされる)、重量を計り、最終品質チェックをして、完成!

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