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セネガルの文化あれこれ~ダンス編②

セネガルの文化あれこれ~ダンス編①」では、様々な機会にセネガルの人々は踊るとお伝えしましたが、そのイベントのほとんどが、日常的に使用されている人が行き交う路上(生活道路)で開催されています。
開催の時間帯によっては、道路を使用するために警察の許可が必要になりますが、昼間の場合は特に必要ではありません。

セネガルのサバールダンスイベントを語るうえで代表的なのが、タンヌベール(Tànnibéer)と呼ばれるパーティです。
これは、深夜0時頃から始まるもので、もちろん路上でおこなわれます。
真夜中に、遠くまで響く太鼓の生演奏。マイクを使ったMC。着飾った女性たちが集まり、踊り、歓声が響く…(日本だったら、即警察に通報されてしまいますね笑)

ある女性ダンサーの誕生日タンヌベール
(2013年5月1日ダカール市内 撮影:菅野淑)

こうした公共の場でダンスを踊るのは、若い女性であり、ダンスイベントを開催するもの、基本的に女性です。
年齢があがり、結婚や出産した女性は、公共の場では踊らないようになります。
セネガル、特にサバールを踊るウォロフ(民族)の社会において、地位は性別と年齢によって定義されるため、社会的地位の低い若い女性が積極的に踊ります。そして太鼓を演奏するのは、低いカーストに属するグリオとなるのです。
(セネガルのカースト制度は、植民地政府からの独立以後、廃止されていますが、それでも社会には根強く残っています)

タンヌベールは、多くが、誕生日や結婚式の二次会(または前夜祭)などお祝い事のために開かれます。
招待された出席者は、華やかな衣装を着て、その色味に合わせたメイクを施し、良い匂いのする香水をまとい会場に現れます。

華やかに装った女性たち
(2013年5月1日 撮影:菅野淑)


美しく着飾ることは、出席するイベントの価値を高めるために重要なことなのです。
もしセネガルでタンヌベールに招待されたら、着飾って出席しましょう。普段着で行くと、周りがとても華やかで、恥ずかしい思いをしますよ。

タンヌベールは、だいたい3時間から長くて4時間ほど続きます。
演奏されるダンスリズムとその順番は決まっていますが、人気のあるリズムは繰り返し演奏されることもあります。
踊りたい人は、ドラマーの前に飛び出し、即興的に20秒ほど踊ります。
出席者は、それに歓声をあげ、踊り手を称えます。
女性たちにとって、楽しい時間となります。

下記の動画は、有名ダンサーらが集うタンヌベール映像。
プロのダンサーらが集うタンヌベールは、その規模も大きく、TVで放送されたり、このようにYouTubeにupされたりします。
参加者が踊り楽しむというよりは、ショーパフォーマンスのような要素が強いです。
また、男性ダンサーや男性の出席者の姿も見受けられます。
そして年齢を重ねた有名ダンサーは、あまり踊りません。踊ったとしてもほんの少しです。

また次の回では、他のサバールイベントについて触れていきたいと思います。

<参考文献>
菅野淑 2024 「カーイ・フェチ/来て踊ろうー日本におけるセネガルのサバールダンス実践」 春風社

(文責:菅野淑)


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