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放課後等デイサービスを始めたかった

まず初めに、今回この立ち上げ案件に親切に関わって様々な助言や応援、協力して下さった関係者の皆様に心からお詫び申し上げます。

きっかけは、福祉関連の友人からの「高齢者や障害者福祉の法改正で数年後には業務が立ち行かなくなる」という話でした。
そこで、例えば友人本人の資格などが開業条件を満たしているなら放課後等デイサービスなどはどうだろう?と提案したのです。

私は10年ほど前、ある出版社からの児童向けの福祉サービスを取材して記事にする仕事で放課後等デイサービスを知りました。放課後等デイサービスは障害児の学童のようなものです。当時始まったばかりのサービスでしたが、これから需要もどんどん伸びていくだろうと予想されていました。
月日が経ち、当時取材させてもらった事業所のほか、たくさんの放課後等デイサービスが立ち上がり経営も順調。それだけ必要とされていたということです。

そんな経緯を見てきていたので高齢者から児童への転換は経営的に悪くない選択だろうと紹介したわけです。
ただし、まずは本人の資格や施設の場所や建物の条件が放課後等デイサービスを始めるのに問題ないかをしっかり確認しなければなりません。
福祉系のしっかりした資格を持っているし、普段から業務で役所との連携も取れているから任せて!ということだったので、まずは開業に必要な条件を確認してもらったところ、問題なし!ということで開業の準備を始めることになりました。

私は福祉系の資格は持っていないため、立ち上げの際の広告(パンフレットやホームページなど)を担当させてもらうつもりでいたのですが、事業主である友人(以下Aさん)によると「管理者であれば資格は必要ない。月給30万で働いてほしい」と打診がありました。その時点で「開業していきなり30万の根拠とは?」と思いましたが、まさか適当な数字を具体的に言うはずがないからAさんがおおよその売上を試算した上でのことだろうと考えていたのですが、後にそうでないことが判明します。

開業に必要な管理ソフトの選定や、建物の内装をどうするか、利用者を増やすためのコンセプト作り、補助金の選定など福祉についての専門知識がなくてもできる準備を重ねていたところ、予想外のことが起こってしまいました。

Aさん本人が児童発達支援管理者の資格要件を満たしていないことが判明したのです。
たしかに福祉系の仕組みは非常にややこしく、しつこく市役所の窓口で確認しないとわからないような内容も多いのです。ネットの情報は法改正前のものだったりするので、とにかく聞きに行くしかない。
ですが、行ってなかったんですね。
そしてさらにスタッフとして打診していた方々も資格要件を満たしていなかったことが判明。
さらに建物も用途変更が必要ということが判明。
そして私も無資格のため働けないことが判明。

この時点で当初の開業費の予算をとんでもなく上回っているのは計算しなくてもわかります。用途変更だけで数十万かかるわけで。
こうなると、まずは一旦白紙に戻して計画から練り直すべきなんです。
しかし、Aさん的にはこのまま続行したいと。

修正可能ならいいんです。
しかし、一番最初に確認しておかなければならなかった人員配置をミスってしまったわけだから、根本的にやり直さないと難しい。
さらに資金繰りについても、銀行からの融資手続きや助成金申請のための事業計画も完成していない状態で見通し不明と。
計画段階で「銀行はすぐ貸してくれるから」と言っていたので、営業さんとある程度の話ができているんだと思っていたんですが。
やっておかなければならない最低限のことを「多分大丈夫」「まだ大丈夫」と後回しにしてしまった結果なので仕方ないのです。

準備を進めているときに、補助金の申請のように締切があるものは遅れたら終わりだからと口を酸っぱくして話していたのですが、その都度進捗については答えず「忙しくてまだ」「言われたらできるんだけど」などの返答しかないため、再度確認すると「ごめんさない」と謝罪されるというパターンが続き、聞く方も辛くなるわけです。謝られたらなんか悪いことをしてるんじゃないとか感じてしまうじゃないですか。
その結果非常に大きい補助金は逃してしまいました。

そもそも自身の事業立て直しのための新規参入なわけです。
しかも私は働けないことがはっきりしているわけです。
さすがに軌道修正が効かないこの状態で、手伝いレベルでなにかしたところで傷は悪化するだけなのです。
有資格者を雇用して、さらに事務員や雑用を雇ったら利用者を定員めいっぱい入れても赤字ですから。

本人は頑張ると言っていたので、その言葉を信じて私も様々な知人に協力をお願いして応援してもらいました。
しかし私にはどうしようもできない想定外のミスや締切を厳守できないということが頻発しすぎて修正がきかない。
私も働く予定だった人たちも、この計画からはもう降りるしかないのです。

私の娘が小学生だったころに不登校を経験し、フリースクールや母子支援施設に助けられ命を救われました。
だから、同様に困っている親や子が利用できる福祉につながってほしい、という強い願いがあります。
いじめや不登校などでつらい思いをして精神的に不安定になっている子どもたちや、発達に遅れや凹凸がある子どもたちが療育をはじめとする福祉につながれば、親もあんなにしんどい思いをしなくて済むのです。

今回は経営というものに対する考えの甘さを見抜けなかった私にも大きな原因があります。
どんな形になるかわからないけれど、いつか恩返しができるようコツコツ頑張ろうと思います。

つらい思いをしている親と子が少しでも救われますように。

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