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昔話

中学一年生の掃除当番の時、階段を箒で掃きながら鼻歌を歌っていた。何の曲かは覚えていないけれど、一緒に掃除をしていた同級生が私の鼻歌を聴いて、
「下手くそやな〜」
と、いった。
きっとその同級生は、意味の無い軽口だったのだと思う。ただ、私は傷ついた。
案外私はナイーブなのだ。
その時以来、人前で歌うことができなくなった。

とはいうものの、生来の楽天家なので、歌うことが嫌いにならなかったし、カラオケは大好きだし、ここだけの話、自分では歌は上手いと思っている(ココは笑うところです)

でもね、やっぱりあの時、友達にいわれた言葉は、50年経っても忘れてはいない。あのひとことが原因で、私は選択授業の音楽か美術かを選ぶとき、美術を選んだことも覚えている。
それがその後の人生を決めた遠因のひとつでもあると思うので、結果はそれでよかったのか?

どっちやねん?


私は影響を受けた人の言葉を考えたとき、書物に書かれているような偉人の言葉ではなく、彼の「下手くそやな〜」という言葉を思い出す。疎遠で今はどうしているかもわからないけれど、きっと彼の記憶には残ってはいないだろう言葉。




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