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写真展 60(1954-2014)+8

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2022年9月23日〜10月23日に開催した私の写真展に向けたメッセージと、期間中に個展に関連して気ままに書いたものです。
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遠くない60

遠くない60

 この話は、遠くない未来に開催されるであろう私の写真展に向けたメッセージです。開催場所だけは決まっています。

 日時が決まり次第お知らせします。きっとそう遠くない未来の予定です。
開催まで不定期に連載しますが、不確実な未来の予想は、とても面白いものだと思います。一緒に面白がっていただければ幸いです。

dandysmile

今更の60(1954-2014)

 実は私、高校時代からずっと写真を

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写真の中にある私の物語

写真の中にある私の物語

 60枚の写真について、順不同に想い出を書き記します。
ことばにできないこともあるので、60の文章にはならないと思います。ことばにできない理由のひとつは、単純にことばにするほどのことがない場合です。案外頭の中は空っぽです。
 もうひとつは、心に秘めておきたいことがあるからです。そういうことも含めて人の目に晒したいと思ってはいるのですが、勇気がありません。もしかすると、いつかそういうときが来るのかも

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写真の中にある私の物語-2

写真の中にある私の物語-2

オレンジロード―マーシャル諸島共和国・マジュロ島

 海岸に座ってボーッと眺めていた。島の先端、観光地でもないし、人が住んでいるわけでもない。当然街の灯りは見えない。気がつけば星明かりだけだった。歩んできた人生や、これからの人生について考えるよりも、人恋しさが勝った瞬間。

無題―マーシャル諸島共和国・マジュロ島

 墓地。そんな意識もなく風景として撮影した。何処にでも、青い空と白い雲と椰子の木が

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写真の中にある私の物語-3

写真の中にある私の物語-3

正月―自宅玄関

 正月はやってくる。ただし、この写真はしめ縄を飾った翌日の朝だ。正確にはまだ年が明けていない。早々にスズメに突っつかれて、なるほどなと感心してしまった。それにしてもよく見つけたものだ。飾った本人が作り物だと思っていた稲穂。実は本物だったと、スズメに教えてもらった年の瀬。

つづく

写真の中にある私の物語-4

写真の中にある私の物語-4

ひかりの回廊―京都

 暗い会場にひかりが渦巻く。真夏の夜の京都は暑かった。とは書いてみたが、それほど暑かった体感が蘇ってこない。この夜は案外過ごしやすかったのかも知れない。或いは、昼間の暑さから解放されて、暑くはないと感じているだけだったともいえる。

夕暮れ―マーシャル諸島共和国・マジュロ島

 ホテルの前のビーチ。といっても、周りは全部海。近くに住んでいる子供たちが遊んでいる。夕飯を待ってい

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写真の中にある私の物語-5

写真の中にある私の物語-5

しずく―庭

 珍しく積もった雪を撮ろうと思って、カメラを持ち出したが、案外写欲が沸かなかった。見回した木の枝の雪は溶けていて、そのしずくだけが残っていた。これでは雨と変わらない。でもこのしずくには雪の想い出が残っている。

つづく

写真の中にある私の物語-6

写真の中にある私の物語-6

狛狐―伏見稲荷大社

 話し声が聞こえた。内容は分からない。幻聴なのか誑かされたか。幾度となく訪れているが、その度に何か聞こえるし、彼らの表情も違う気がする。きっと違っているのは自分の心の方だと思う。良いときもあれば悪いときもある。

坂の途中―東京都

 私が傾いているわけではない。坂道の途中に置いてあった椅子。誰が座るのか不思議だった。座ろうかと考えたが、人目を気にしてやめた。きっともうないと

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写真の中にある私の物語-7

写真の中にある私の物語-7

モクレンの花―庭

 特に何の特徴もない普通のモクレン。昼間も好きだが、夜に見る花も好きだ。暗くなって帰ってきたときに見上げると光って見える。もちろん本当に光っているわけではないが、優しく出迎えているように感じるのは気のせいか。

喧噪が聞こえた―京都

 通りかかったら喧噪が聞こえた。もちろんそんなことはなかったが、そういう時間もあるのだろうか。静かだった。そこには存在しないものを撮りたい。叶え

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写真の中にある私の物語-8

写真の中にある私の物語-8

分かる人には分かる―東京都

 繋がっている電線は、私の思考回路よりも複雑な気がするが、きっと分かる人には分かるんだろうな。私の思考も、分かる人には分かってもらえると思う。だけど、そんな人たちも、本当のところは分かっていない。自分でもわからないことがあるんだから。

捨てるな―マーシャル諸島共和国・マジュロ島

 確証はないけれど、流れ着いたものではないと思う。誰かがこのあたりで飲んだ空き缶。確か

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写真の中にある私の物語-9

写真の中にある私の物語-9

ブランコ―ニューヨークセントラルパーク

 どうってことない場所だけど、こういう風景は絵になるな、と、自己満足。秋の深まったセントラルパークで撮影。ニューヨークだということを忘れるくらい、人通りがなくて静かだった。

ベンチ―ニューヨークセントラルパーク

 コートの襟を立てて、このベンチに座り、読書でもすれば土産話になるんだろう。でも12月のニューヨークは寒かった。半袖Tシャツで颯爽と歩くニュー

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写真の中にある私の物語-10

写真の中にある私の物語-10

冷たかった―京都

 冷たかった。だけど、この日はそれほど気温が下がらなかったので、氷ることはなかったようだ。真っ白な世界で、水の流れる音と、遠くで枝から落ちる雪の音が響いていた。

雪の狂騒曲―東京都

 早起きして行った近くの公園。既にたくさんの轍があった雪の朝。太陽の位置を考えると、それほど早起きでもなかった。僕はとても楽しめた大雪だったが、東京では狂騒曲が、しばらく鳴り止まなかった。

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写真の中にある私の物語-11

写真の中にある私の物語-11

夜明け―北海道

 黄金色に輝いていた浮きが印象的で、ただただ、綺麗だなと思いながら見ていた。静かな波の音を聞きながら、僕も輝きたいなぁなんて、思ったかどうかは記憶にない。そういう人生を考えるような性格でもないし、きっと朝飯はどうしようとか考えていたと思う。

この先トンネル―青森県

 念のため記します。線路内には入っていません。三脚も使用していません。人もいません。列車はまだまだ来ないから、の

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写真の中にある私の物語-12

写真の中にある私の物語-12

影―京都

 当時のマイブーム。影。ひたすら影を探して歩き回っていた。何がそうさせたのかは、よくわからない。ブームが去った今でも、影を見るとなぜか心がざわつく。ただ、今では当時のような一心不乱になることはなくなってしまった。

影―京都

 光と影というべきなのか。どちらを撮っていたんだろう。性格を考えると、光を撮りたかったのだとは思うが、実は、案外、見かけによらず、影だったのかも知れない。それは

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写真の中にある私の物語-13

写真の中にある私の物語-13

公園のベンチ―ニュージーランド

 ベンチの写真はたくさん撮った。理由はよく分からないけれど、存在感に惹かれたのは確かだ。多くの人たちの人生を知っているであろうベンチ。そのベンチから発せられる情念のようなものが、僕の琴線に触れたのかも知れない。問題なのは、最近その琴線がすり減ってきていることだ。

ショーウインドー―京都

 通りの雪景色が、ショーウインドーに写って、とても綺麗で不思議な印象だった

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