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【本の感想】『スカートはかなきゃダメですか?ジャージで学校』

今回、紹介する本は名取寛人さんが書いた『スカートはかなきゃダメですか?ジャージで学校』です。

あらすじ

N.Y.を拠点に世界各国で公演している男性だけのバレエ団、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団。
初の日本人ダンサー名取寛人。
実は生まれた時は女だったことを告白。
スカートが嫌でジャージで通っていた中学高校時代から、男性ダンサーとして活躍し、手術を受けて戸籍を男性に変えたこと。
夢を叶えてほしくて、文章を綴りました。

本の感想

自分の性に疑問にもった著者は中学の時は、スカートではなくジャージで登校していたと告白する。

今はランドセルの色がカラフルになり、自分の好きな色を選べるようになっている。
昔は、赤と黒しかなく自然と女の子は赤、男の子は黒と決まっていた。
それをからって通学する子どもに聞かれることもなく、当たり前に手渡されていた。
私はそういうものだと思って受け取っていたけれど、中には「なんで男の子は黒、女の子は赤って決めつけられるのだろう」と不思議に思っていた子もいたかもしれない。

スカートしかはく選択しかない人にとって、着たくない物を着るってどんな気持ちだったのだろうかと思う。
大人が決めた型にはまるしかできない。
著者はジャージを着る選択をし、どうにか自分らしくいられる格好を考え付いたのだろう。
小学校の時に比べ、中学・高校になると校則が厳しくなる。
きまりがあるのは仕方がないとして、着たくないと言っても今ほど理解が得られにくかったのではないかと思う。

自分らしく振舞える職業として、最初に選んだのが女子プロレス。
女の子らしさを求められないものを考えた時にそれしか職業が思いつかなかったと語っている。

そんな最中、ダンスに出会えたのは奇跡に近いだろう。

自分のなりたいものを女だから、男だからで諦めるのではなく、自分が自分らしく振舞える選択をしてもいいのだと教えてくれる。

印象に残った言葉

プロレスがしたかったわけではなく、自分らしくいられる将来の選択肢として、女子プロしか思いつかなかったのだ。

39P

現実を受け入れるために悩み、苦しみもがく気持ちがにじみ出ている言葉、そして美しい絵。16歳ながら感動して泣いてしまった記憶がある。

45P

僕にとっての高校時代は、「悩まなくてもいい」と自分自身に与えた猶予期間だったのかもしれない。

51P

夢は捨てるな。夢だけ見るな

88P

ケンカをしたり、イジメもあったりするけれど、いいことも悪いことも、同じ気持ちを共感できる仲間がいるのは、幸せなことだし宝物だと思っていた。

121P

肝心なことは、自分を見失わないで「今」を一生懸命に生きること。落ち着いていることなのかもしれない。行くべきところには必ず辿り着くものなんだ。

157p

奇跡は守りからは起こらない。行きたい方向に攻めていく!!

163p

『決めたこと』
本当に自分がしたいことは何なのか?
結論を心にとどめ
横道に外れることなく
ゴールをめざせ!!

170p

物事には悪い面があっても、同じくらい良い面もある。悪い部分も自分にとって都合の良い見方をすることで、いい面を発見することができると思う。

173p

最後に

自分の性に疑問を持ち、女性から男性へ手術をした著者。

こういう生き方もあるのだと子どもたちに示せたと思う。
自分の未来は一つではない。
自分で選択していくことで、いくらでも広がる。諦めなければ。

自分自身が感じている生きづらさをこの本をきっかけに取り除ければいいと思う。

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