笹井 譚 - ダン -

詩作家

笹井 譚 - ダン -

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最近の記事

わたしは誰だ。

5月26日(日) わたしは誰だ。 詩人としての自分と現実世界の平凡な自分が曖昧になる時がある。 「だんさん」「〇〇さん」「だんちゃん」「〇〇ちゃん」 あぁ、自分は誰なんだろう。 どちらもわたしでわたしは切り離せなくて細胞まで結合して、過去も未来も現在も混じり合う番なのだろう。 わたしは誰だ。 怖くなる。 いつかぐちゃぐちゃに砕かれて自分が分からなくなるかもしれない。 どれもわたしじゃなくなるかもしれない。 わたしは曇り空が一番好きだ。 一番は目が痛くならない。 そして、影が

    • 日々の背骨

      5月23日(木) 18:30 空に浮かぶ雲が背骨に見える。 右から左に流れる背骨は見えない速度でわたしの視界から消えていった。 コンクリートのひび割れが心電図に見える。 微弱な鼓動が耳のそばで脈打っている。 「あーあ、今日も生きてるな」なんて、認められない思考が脳を侵す。 頭上を風に乗って自由に飛ぶ鳥たちが羨ましい。 わたしの指先より温かいコンクリートが羨ましい。 シティーポップを聴いても本物のシティーガールにはなれない。 今日をただ横切るだけ。 違う背骨がわたしの視界に入

      • 雨と音符

        魚眼レンズたちが散らばる電車の窓 風に耐えきれずに流れる透明 水玉模様なんて言うには ずっとずっと悲しげで たくさんの粒たちは 孤独を引き連れていく 見知った町並み コンクリートの湿り気を帯びた匂い 傘を打つ水の妖精 手を差し出せば 躊躇いもなく握ってくれる 繋がれたわたしたちの手のひら 冷たくて温かくて優しい わたしの弱さを抱きしめてくれた だからわたしは空を見上げて 泣く空の楽譜に音符を乗せた そしたら空は大粒の涙を溢し 詩を詠った

        • 不完全なわたしたち

          雲の切れ間から覗く 不完全な満月 痛ましい姿 怖がらないで 青白い残りの欠片を 僕が包み込んであげるから だから星を無理して照らさなくてもいいよ 悪夢を見なくてもいいよ 僕がそっと抱きしめてあげるから 不完全な満月は 僕の薄らとした 雲で隠してあげるから 手を繋いで 夜の街を散歩でもしようか 一緒にどこか遠くへ 旅にでも出ようか 僕たちのことなんて 誰も見てないから大丈夫 君を見つめるのは 僕だけで 僕だけが 君の存在は嘘じゃないって 嘘じゃないってそう唱えるから 側で聴いて

          泣き虫な少女

          明けない悲しみの向こう側で 手を振るのは誰 . . . 4月30日(火) 最近泣いてばかりだ。 元々泣き虫なわたしは涙が止まらなくなる時がある。 言葉を発したいのに、言葉の前に涙がぽろぽろと零れ落ちてしまうのだ。 言いたいことはたくさん、たくさんあるのに涙がそれを遮ってしまう。 言葉はわたしにとって大事で大切なのに、どうしても難しいのである。 文章にするのは好きなのに、言葉にするとなるとどうしても黙ってしまうのだ。 そんなわたしを誰が愛してくれるのだろうか。 誰が手を握って、

          真珠の首飾り

          真珠の誘いがわたしを惑わす ここで身を沈めるのだろうか . . . 4月28日深夜(日) 過去と現在が交差する。 トラウマなのだろうか。 わたしはいったい誰なのだろうか。 薬が全部真珠に見える。 首飾りにしたらどれほど美しいのだろう。 わたしの中で繋ぎ合わせてあげたい。

          聞いて、聞こえて、聞かないで

          最後まで素直になれないわたしの姿を つつじの花はそっと見つめる . . . 4月26日(金) 今日は学校で大泣きした。 しっかりできない自分と悔しさ、自分のことを他人がどう思っているのか分からない怖さ、これからどうしたらいいのかという不安。 -------------------- 実を言うとわたしは就労移行支援事業所というところに通っている。 ここは精神障害者や発達障害、その他の疾患がある方を受け入れ、就労に向けて支援してくれる場所だ。 まだまだ、就労移行支援というとこ

          聞いて、聞こえて、聞かないで

          雨と透明人間

          横殴りの雨が わたしを連れ去ってしまいそうで 暴力的で傲慢で怖かった 必死に傘にしがみつき 怯えるわたしは地面を見据え 人々の足音が消える空間の アスファルトしか見えない視界の 傘の中は狭い狭い宇宙 ひとりぼっちを閉じ込めた 寂しい寂しい宇宙 ここにわたしはいるのに ここにわたしはいるのに 駅のアナウンスが 申し訳なさそうに告げる 人を運ぶ箱の遅れ 特急なんて乗ったら最期 私が私じゃなくなってしまう 各駅停車が運ぶ天使の風 曇り硝子は外と内とを曖昧にさせ 私の手のひらを優

          傘のない日の、

          言葉足らずの雨は、わたしの真ん中を知っているのかも . . . 3月29日(金) 最近アラームをかけないようにしている。 働いている人からは怒られるかもしれないが、朝早く起きても体が動かず、学校に遅刻するか、欠席する日々が続いている。 からだがどんどん腐っていく感覚に陥る。 それでも、そんな中でもそっと自分の真ん中の機嫌を窺っているようで、タイミングを計っているようにも思う。 今日は雨のち晴れ。 午前中はざあざあぶりで風もうるさいくらいに吹いていた。 傘はカフェに忘れたっき

          祝日の中の惰性

          祝日の晴天が、わたしを伏目がちにさせる正午 . . . 3月20日(水) 今日は祝日。 起きたのは午前8時すぎ。 流し台には洗われていない食器と調理器具。 部屋の中には、日頃積み重ねた、床に散らばる資料や郵便物、本の山。 案外、この惰性に塗れた部屋が好きだったりする。 部屋と外の世界を隔てるカーテンは、お気に入りのモスグリーン。 カーテンと窓を少し開ければ、遮光カーテンが顔を出して風に乗ってわたしを手招きした。 誘われるまま外に出て煙草に火をつけると、真っ青な空に、わたし

          独白

          わたしの手のひらと、春の体温がそっと重なった。 . . . 3月17日(日) 普段は書かない、長い文章(自分から見て)を書こうとしている。 春風が背中を押したのか、友人たちとの口約束がそうさせたのか。 どちらにせよ、わたしは今、スマホを見つめながら文章を打っている。 不思議な感じがする。 いつもは詩を書いているのに、こっそりと、なんだか隠したい事があるかのようにこの文章を書いている。 秘密のノートのような。 交換日記というより、わたしの独白のような。 今日はここまでにしてお