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ザリライフ。

アメリカザリガニ。それは幼年期の思い出。お堀にうじゃうじゃいるアメリカザリガニを釣って遊んだ幼い日の記憶。

しかし、日本の原風景に棲みついた条件付特定外来生物ことアメリカザリガニは、生態系の破壊神であった。アメリカザリガニが定着した池からは水草や水棲昆虫が消滅し、濁った水とザリガニ天国だけが残るのであった。

暇つぶしにザリガニ釣りをしようと思い立った5月末。駒場キャンパスの端っこにある一二郎池に降り立ってスルメイカのついた竿を振り回したが、水温が低くて何も食い付かなかった。だが、その2週間後、ザリガニが大量発生しているとの報せを受け、ザリガニ捕獲祭を始めたのである。

ザリガニで炊き込みご飯を作り、味噌汁を作り、中華風ザリガニを作り、ザリガニラーメンを作り、そして死んでしまったザリガニやザリガニの食べカスでザリガニ堆肥を作り……等々ザリガニ利用はかなり頑張った。しかし、もう主宰はザリガニに飽き始めていたのである。

だが、我々はもんどり網を導入し、ザリガニの乱獲を続けた(ブルーギルハゼも捕まえた)。しかし、一向にザリガニはいなくならなかった。アメリカザリガニの生命力の強さには驚かされるばかりである。

実は当会は環境保護を目的とした団体ではない。主宰がザリガニを食べてみたかっただけである。中国でザリガニブームらしいので、中華ザリガニ料理を作ってみたかっただけなのだ。しかし、もはや主宰がザリガニを食べたいだけという理由では説明がつかないほどザリガニの捕獲が続いていた。どうしよう。

なんかみんなザリガニ釣りに本気になっているので、一二郎池を拠点として生物多様性を守る活動を続けているということにした。東大には環境保護サークルが他にあるが、別にたくさんあって困るものでもなかろう。それに、主宰は美味しい魚が食べたいのだ。ザリガニの駆除が完了すれば在来種のドジョウやハゼが増え、食っても文句を言われなくなるに違いない。アメリカザリガニには申し訳ないが、生物多様性というのは人間中心主義に基づいたものなのである。

ザリザリザリザリ

追記:主宰に美味しい川魚を食べさせてください。

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