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【詩】たしかなことは、

わたしは
今日、こうしてあなたの姿を
今日、こうして
わたしの思惑のフレームのなかにのこして
わたしの記憶のなかで
生きることを強いたこともいつかは忘れてしまい
ふり返る、あの季節たちの
途方もなく積みかさなった
ある一日のうちの、どこかに埋もれてしまい
いつか
ああ、あの日のあなただと
見とめることも叶わなくなり
わたしのフレームのなかで
わたしの記憶のなかで
消費していくんだ
今日のこの日が過去になり
迎えた明日は今日となり
そうして、よりにもよって
ごく平凡に、消費していくのだけれど
わかってもらえたらいいな
わたしは
あなたに出会えてうれしかった
きれいだと思った
ため息ひとつともに、敬いのこころをもって
わたしの記憶の一部に、招き入れた
方便か、矛盾か
入り混じった感情か、都合のいい記憶の書き換えか
今となってはわかるすべもないけれど
たしかにわたしは
あなたに出会えてうれしかった
きれいだと思った
わたしの記憶のなかで
生きてほしいと思った


『たしかなことは、』




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