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2018年の所謂”徴用工”大法院判決に見る韓国の非近代性

扉の画像は韓国で建てられた”徴用工像”。(周囲に4本の柱状のモニュメントが立つが、内側の2本には日本人の写真が使われている。)


◆韓国で新たな”徴用工”本出版

産業遺産国民会議が2021年に出版した『朝鮮人戦時労働の実態』(西岡力 編)が、最近韓国語に翻訳されて出版されました。タイトルは『徴用工問題、日本の歴史認識を語る』(副題:日本はなぜ韓国最高裁判決を受け入れられないのか?
韓国ネット書店商品ページ:징용공 문제, 일본의 역사인식을 말한다(일본은 왜 한국 대법원 판결을 받아들일 수 없는가)

この本の出版社でもある韓国の保守系ネットメディア『メディアウォッチ』に、『反日種族主義』の著者である李栄薫(イ・ヨンフン)博士が推薦文をお書きになっていますが、その中でこのように仰っています。機械翻訳でご紹介します。

私はこの翻訳書の推薦の言葉を依頼され、特にこの二つの法律専門家の論文を精読した。 そんな中、ひどい戸惑いと羞恥心を感じた。 2人の日本の法律家は、上品な口調で韓国最高裁の判決の問題点を指摘しているが、法律に非専門家である私が見ても、その指摘された法理の矛盾は深刻である。

メディアウォッチ:https://www.mediawatch.kr/news/article.html?no=257119

この2つの法律専門家の論文とは、以下の論文です。(敬称略)

  • 『日本での徴用工裁判と韓国大法院判決』 (和田 衞)

  • 『韓国大法院「徴用工」判決――韓国司法の歴史的汚点』(岡島 実)


◆法の遡及がまかり通る国

李栄薫博士が戸惑いと羞恥心を感じたのは何故でしょうか。再びメディアウォッチの推薦文より引用します。

このような韓国最高裁の判決は、日本社会に大きな衝撃を与えた。 1965年、両国間で困難に結ばれた国交正常化のための基本条約や請求権協定を事実上否定する内容だからだ。 判決文の通りなら、1965年の条約と協定は破棄されたも同然だ。 最高裁判所がそのような途方もない判決を下したことにおいて、主な根拠となったのは1948年に制定されたこの国の憲法だった。 憲法前文は、大韓民国は1919年に起きた3·1運動の精神を継承した国だと言った。 最高裁判所はこれを根拠に1919~1945年間、日帝の韓半島支配は不法だと判定した。 日本の2人の法律家は、「どうして1948年に制定された憲法を遡及適用して、以前の歴史の不法性を判示できるのか」と驚きを隠さずにいる

メディアウォッチ:https://www.mediawatch.kr/news/article.html?no=257119


◆最高裁判決は文在寅政権だから出たのではない

2018年10月に大法院(最高裁)で原告勝訴の判決がでましたが、多くの日本人は、反日の文在寅政権だからだと思っています。しかし、それは誤りです。
この裁判は、元々日本で自称”元徴用工”4人が裁判を起こし、最高裁で上告が棄却され(2007年)たので新たに韓国国内で提訴したもので、韓国では地裁(2007)、高裁(2009)共に棄却されました。
しかし、2012年に最高裁で「原審差し戻し」の判断がなされました。

2017年8月放送BSフジ『プライムニュース』より

上記画像はまだ大法院判決が出る前の2017年に放送された『プライムニュース』のフリップですが、差し戻しの理由が「韓国憲法の規定に照らすと... 」と、既に憲法を根拠にしています。
つまり、この時点で、2018年の大法院判決は予想されるものでした。
 
この時は朴槿恵政権でした。
さすがに朴槿恵大統領はこれでは不味いと思ったのか、大法院に意見書を出して、審理をストップさせるのですが... 。


◆何故韓国人は約束を守らないのか

「韓国人は何故約束を守らないのか?」という命題は、韓国関連の記事や書籍では重要なテーマの一つとして論じられますが、韓国人自身でその答えを書いた記事があります。

中央日報日本語版(2019.07.24):【中央時評】理の韓国、法の日本
... 日本は武力を基礎に社会の秩序を築いた。武力の前で民は問いただすよりも、与えられた秩序に順応するのが長く生きる秘訣だ。日本の幕府の基本法である武家諸法度によると、「法で理致を破ることはできるが、理致で法を破ることはできない」として権力者が作った法が理致よりも優位にあることを明示している。すなわち日本は法に定められれば、好むかどうかはともかくそれが終わりにならなければいけない社会だ。韓国と日本の文化の違いは「士農工商」という身分体系で「士」の意味が異なる点にも見える。朝鮮で「士」はソンビ(学識がある高潔な人)を表す半面、日本は武士を意味する。朝鮮は理致を最も重視したが、日本では法令守護が最も重要だった。

日帝強占期の朝鮮人強制徴用問題は「理」と「法」の衝突を象徴的に見せている。韓国人は理致に合わなければ国家間の合意も見直すことができると信じる。人権を強調する法の流れから、1965年の韓日請求権協定も見直すことができるという主張だ。一方、日本人にとって協定は法と同一であり、これで問題が終結したという立場だ。日本政府の輸出規制を日本人の多数が支持するのも、日本人の文化コードでは最終権威である法まで再解釈しようという韓国を理解しがたいためだろう。

中央日報日本語版(2019.07.24):【中央時評】理の韓国、法の日本
https://s.japanese.joins.com/JArticle/255869?sectcode=120&servcode=100

朝鮮社会では法令遵守よりは理致が重要だと言っています。
ここで言う「理(理致)」とは、朱子学の「理」であり、その意味は「道理」です。
つまり、韓国人は、道理... 規範や世の中の常識が変われば、それに合わない約束(条約)は破っても良いと考えます。
慰安婦問題でも、当時は合法であった管理売春に対して、現在の価値観の「女性の人権」を持ち出す事に何等疑問を感じないのはその為です。

もう一つ(もうお一方)の説明を追加します。小倉紀蔵(おぐら・きぞう)京都大教授の『心で知る、韓国』を引用した『産経新聞』の記事です。

「約束を守ることが正しい」とする日本人には到底許されない。だが、くだんの知人によれば、韓国人は約束を守ることよりも、その約束が韓国語でいう「オルバルダ(正しい)」かを重視する。韓国人は、この「オルバルダ」を基準に歴史もみているという。
ソウル在住の通訳者に聞いたところ、「オルバルダ」は「道徳的に正しい」「人間として正しい」といったニュアンスがあるという。

産経新聞(2019/1/20):韓国はなぜ約束守れない 「遡及法」がまかり通る国
https://www.sankei.com/article/20190120-GY7AUNBUVZJZNIYK2XTKHINPSY/2/


つまり、韓国人は未だに李氏朝鮮時代の朱子学(性理学)の論理で行動しています。現代人にはなりきれていないのです。


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