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SNSと希少植物。

今月行う自治会役目の草刈りの下見のために、大山寺周辺の遊歩道を何度も何度も歩いている寿庵オーナーです。毎年6月中旬に一部の登山道の草刈りがあるのですが、ちょうど見ごろをむかえる希少な花などもあるエリア。草刈りなんかで花を刈ってしまっては、とても残念。今年は私が地域の環境部長で草刈り日程を決められるので、出来れば花の時期が終わって、しかも来年の花のために支障のない方法を模索。自然歴史館の館長さんにも相談したうえで、日程を決めました。

ボランティアみたいなもんだから、みなさん早く仕事を終えたい・・。いちいち花を気にしていては作業がはかどらないし、専門家じゃないので、ばっさり機械で刈ってしまう。

だから、ここ連日、遊歩道をじっくり歩き、保護すべき花などを確認。そのおかげで、今まで気づくこともなかった花たちにも出会えました。

ところが・・・・。

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この場所にあった花が先日の土曜日の夜から日曜日の朝にかけて盗掘されていました。

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土曜日にはあったのに、月曜日に行ったらない(日曜日の午前中にはすでになかったと聞いています)!!何度も何度もそこに立ちじっと見るのだけど、目に入らない。※ちょっと神経質になってるんでモザイクかけております。

ショックと悲しさと怒りと、複雑な感情が押し寄せてきてコロナ以上の精神的ダメージを受けたような気がしました。怒りに任せて寿庵のFBに即投稿してやる!と思ったのだけど、冷静に、落ち着いてから対処せねば・・と思い、まずは関係者へ連絡。

この盗掘された花は鳥取県の絶滅危惧種に指定。正直、これを家に持ち帰っても生きることはありません。このエリアにあるからこそ、そしてラン菌と共生して生きる植物なので、庭に植えたとしても生きることはありません。何のため盗掘するのか?自己満足の為?転売目的?ただのコレクション?いずれにしても、もうこの盗掘された花は死んでいるはずです。

タイトルのSNSですが、希少植物と少なからず関連があります。今や誰でもその場ですぐに情報をアップできる時代。純粋に、綺麗な花だね・・と思ってみてくれる人だけではありません。希少植物や珍しい虫など、この情報をもとに、採取乱獲する人たちがいるんです。もちろん、そんな人は少数なですが、そういった盗人に情報提供をしている可能性があるのがSNSです。

私も大山の情報発信をしている手前、つい、珍しい花などをアップしがちです。ただ、かなり気を付けて発信するようにはしています。

色んな情報発信のツールがありますが、今ではGPS機能などと連動し、どこで撮影したのかをピンポイントで知ることも可能。今までは行ってみなければわからなかった情報が、自宅のPCの前でも手に取るようにわかる時代。自分の出した写真と情報がそういった盗掘の手助けをしていること自体は避けたい。そのつもりじゃなくとも盗人の片棒を担いでいる可能性は否定できません。

もし、今このNOTEを見て、自分の投稿に下記の希少植物(※)が含まれているのなら、出来れば削除してほしい。それか、公開するのではなく自分で楽しむだけにしてほしい。どうしても投稿するのであれば、場所が特定できないように配慮してほしい。

そう意識するだけでもずいぶん違ってくるはずです。

もちろん、私自身も反省。過去の投稿(NOTE以前のブログ)はすべて見れなくしました。もちろん、それでも出回っている情報があるかもしれません。でもこれからは無知ではなく、きちんと知識を持ち、大山、もちろん、それ以外の場所でも、植物や虫たち、そして動物たちが危険にさらされることのないように、注意し守っていきたいと思います。

(※)鳥取県が指定している絶滅危惧種に関してHPに記載してあります。盗掘された花はこの中に記載されている守るべき植物でした。

そして環境省のHPにも記載されています。

当然、罰則も定められています。鳥取県希少野生動植物の保護に関する条例についてあれこれ記載されていますが、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する・・と明記されています。もし、今回の盗掘が目撃されていたならばそういった処罰が下されることになります。

私が寿庵を買い取り、ここで商売を始めた時のことですが、国立公園内で不動産を売買、そして商売をするにあたっての様々な規制について、環境省の担当官から教えてもらいました。付帯設備の設置や看板設置、細かいことですがすべて申請をします。自分の敷地内でも外部に設置するものはすべて申請します。皆さん、気づいてると思いますが、大山寺エリアには一般住宅はありません。当然アパートもありません。なぜなら、ここは環境省が管理する大山寺宿舎事業エリアだからです。ただ大山に住みたい・・と言っても出来ないのはこういった特殊エリアに指定されているからです。

あぁ・・本当に悲しい。あの場所にあるからいいのであって、みんなが見て、可憐な姿に感動し癒される。みんなの花だったのに・・。一人の人間のエゴでみんなが悲しんでいる。

SNSで発信する前に、ちょっと考えてみてください。その情報が、誰の手に渡るのかを、よくよく考えてみてくださいね。

寿庵のHPはこちらをクリック!

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