「寿庵マウンテンナイト2023」
毎年この季節に開催の山のお話会。今までいろいろな方に出演していただきました。国際山岳ガイドに屋久島のガイドさん、寿庵に集う海外遠征経験のあるお客さんなど、普段聞けそうできけない山にまつわる話を聞く「寿庵マウンテンナイト」今回は第4回目の開催でした。
まずは、前座でこばガイドが登場。2023年のツアーの話をみなさんと食事をしながら楽しみました。
軽快なトークで時には笑いも起こる。2017年にスタートの寿庵登山学校の話題もあり、懐かしい写真がいくつか登場。みなさんと歩んだ寿庵の歴史も垣間見れました。
そして今回のメインは「大山の遭難救助」実際に救助現場で対応される神庭さんに『リスク管理こそ山の楽しみ』と題して話をしていただきました。
参加の皆さんは、山の経験も豊富。冬山をする方が多かったのですが、実際に救助する話を聞く機会はほとんどありません。現場で起こっていること、そしてどういった状況で救助をしているのか‥。神庭さんの話が始まると、こばガイドの時とは雰囲気ががらりと変わりみなさん真剣に耳を傾けました。
山でのリスクをいかに回避するか、どこで判断するのか‥。どんなタイミングで救助要請するのか‥。これは誰でも迷うところではありますが、捜索する側の立場からの助言はとても参考になりました。
そして、興味深かったのは、昭和の時代からの令和にかけての救助要請の年齢層の移り変わりについての話。植村直己のような冒険家が未踏峰を狙った昭和の時代は、比較的若い年代の遭難が多い。平成に入ると山ブームが落ち着き、捜索回数もぐっと減る。そして、再び登山ブーム到来。平成には、遭難が、若者から高齢者の幅広い年代になっていたのは興味深いデータでした。つまり、登山というものが多くの世代に受け入れられるようになった‥ということを物語るようですね。もちろん、昭和の時代に若者だった登山者が今は70代~80代であることも影響するでしょう。私が北アルプスへ行きだしたのは平成5年。ちょうどブームのはざまで、登山人口が底辺になった時。山の会に所属した時に、同世代はほとんどなく、山へ行く=変な奴と言われていました。山小屋で働いていた平成10年ごろにはテレビの影響で中高年の登山ブームがじわじわ来ていたころ。百名山などという言葉も私はそのころ知りました。山へ行っても中高年にしか会わない時代。遭難者が中高年にまで及ぶようになったのはそんなテレビなどの影響もあるかもしれませんね。
今ではスマホでも簡単に出せるようになった登山届ですが、届けを出す理由や必要性についてのお話もありました。当たり前のことなのですが、救助する側にとって、唯一の手掛かりです。何も情報がなければ、この広大な大山の全エリアをくまなく探すようになり、時間も当然お金もかかるようになります。救助してもらうこと以上に、待っている家族のためにも登山届は出してほしいと強く思いました。
救助する方の苦労や実際の冬山での救助活動の大変さなどを知ることで、参加者の皆さんは山に対する意識が変わったのではないでしょうか?
長く大山にいる私ですが、こういう話を聞く機会はほとんどなかったので、本当に深く考えさせられました。
一つ一つ言葉をかみしめるように、そして、救助に関しては個人情報も絡む繊細な部分もあるため、関係者に配慮をしながらやさしい口調で話をしていただいたのですが、実際の現場では命のかかわる過酷な状況下。厳しい中での救助現場を、きっと実際のことを思い出されながらお話をされたのではないかな?と感じたお話会でした。
お話の後はお楽しみタイム~~。今回1品持ちよりだったので、寿庵はクリスマスケーキを用意。安くておいしいヤマザキのケーキにコンビニスイーツ。開催日はクリスマスイブイブだったので、テッパンアイテムですね~~。
また、ご縁がありましたら寿庵でお話会をしていただけたら‥そして大山を楽しむ多くのみなさんに聞いてほしいと思うマウンテンナイトでした。参加の皆さん、そして神庭さん!ありがとうございました。もちろん、こばガイドもありがとう!
寿庵のHPはこちらをクリック!
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