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「マーケティングを、もっと身近に。」するということ〜カイロスマーケティングのミッション

ある地方に住む小学生が抱いていた願いがありました。

  「人々の暮らしをもっと良くしたい」

これが物語のはじまりでした。


当時の公立小学校では、社会の教科書とともに副読本が用意されていました。この副読本には、地域の人々が何世代にもわたり、思考し、努力し、地域の問題を解決し、人々の暮らしを向上させてきた歴史が記されていました。

この小学生は歴代の人々の努力に感銘を受け、何度も副読本を読み返しました。人々の長年にわたる努力が自分の暮らす街のために役立っているという事実に、強い関心を抱いていました。


彼は小さな商店を営む両親の一人息子でした。一人っ子だったため、休日はよく両親の店で過ごしていました。

ある日、店の常連客が商品を受け取り、「ありがとう」と言って笑顔で帰っていくようすを目の当たりにしました。

商品を購入した人から「ありがとう」と言われるのは、不思議な感覚です。通常は販売側が「ありがとう」言うものですが、商品提供が人々の役に立っていることを、彼はこの経験から学びました。

彼は働くことの意味を深く理解しました。働くこととは、人の役に立つことが核心であり、その地域の人々の生活の質を向上させることにつながるということでした。


月日が流れ、彼は、カイロスマーケティング株式会社を設立しました。



かつての日本は、ものづくりは得意。でも、マーケティングは下請けピラミッドの頂点の仕事だった。

「メイド・イン・ジャパン」として世界中にその名を知られていた日本企業は、かつてものづくりに長けていました。ものづくり企業が日本各地にあり、その大半が大企業の下請けとなる中小企業でした。

成功する事業に不可欠な要素を「イノベーション」と「マーケティング」の2つに分類することができます。イノベーションは世の中の役に立つものをつくること、マーケティングは製品を知ってもらい購入してもらうプロセスになります。

日本の多くの中小企業はイノベーションには優れているものの、長年にわたる下請けの役割から、マーケティングは苦手としています。

過去、マーケティングはテレビCMなどのマス広告が中心で、莫大な費用が必要でした。この領域の専門家は主に大企業に所属していました。大企業によるマーケティングの成果により、下請けの中小企業はそのイノベーション力を活かして、ただ製品をつくり続けるだけで事業を維持できました。

これが「メイド・イン・ジャパン」の背後にある社会的構造でした。

しかし、時代の変化とともに、大企業の事業構造も変化しました。たとえば、家電メーカーがITソリューションの提供へと変革し、自動車業界でも電気自動車の取り組みが進んでいます。大企業の方針が変わると、それに依存する下請けの中小企業も変化を迫られます。

大企業が事業構造を変えると、多くの下請け中小企業が方向性を見失い、影響を受けます。イノベーション力を持っていても、マーケティングの専門知識がなく、高額な広告宣伝費用を支払う能力がない中小企業にとっては、事業の持続が難しくなります。

中小企業はマーケティング能力に欠けがちであり、広告宣伝の費用と手法は大企業向けに最適化されています。

しかし、本当にマーケティングは大企業だけのものであるべきでしょうか?


「マーケティングを、もっと身近に。」したいと思ったきっかけ

インターネットの普及により、マーケティング手法はデジタル化の波に乗り、従来のマス型のマーケティングからコスト効率の高い方法へと変化してきました。ウェブサイトやメルマガは、その代表例です。

多くの企業が展示会で名刺を集め、メルマガを配信し、ウェブサイトで製品を紹介することで、マス型のマーケティングに頼らずに費用対効果の高い効果的なマーケティングができるようになりました。


しかしカイロスマーケティングを創業した当時は、展示会で交換したお客さま名刺は外部業者がExcelに転記し、メルマガは配信業者に委託されていました。ウェブサイトの訪問者を特定することができませんでしたが、訪問者数のみを把握していました。

それぞれの活動のために専門のITツールが個別に存在し、それぞれのツールを使う専門性も求められていたため、社内で別の担当者が運用していました。ITツール間のデータの連携もなく、企業のデジタルマーケティング活動は分断されており、担当者個人の勘や経験、度胸に依存する属人的なものでした。

そこで、数千万円ものコストを要するマーケティングシステムを中小企業間で共有できれば、コスト削減が可能という考えにいたりました。これは現在のSaaSの基本的な考えかたです。

このアイデアがカイロスマーケティング株式会社を設立するきっかけとなり、それは2012年のことでした。

しかし、SaaSの提供だけでは不十分であると考えました。中小企業がマーケティングを手軽に、かつ効果的に行えるよう、マーケティング能力と販売力の向上も必要だと考えました。SaaS提供に加え、人材育成を行うことで、「マーケティングを、もっと身近に。」することが可能になります。

ものづくりに長けた日本の中小企業の売上を向上させることで日本の経済に貢献できるだけでなく、雇用創出に貢献し、動労人口の減少という社会問題にも対応できると信じています。

これがカイロスマーケティングのミッションである「マーケティングを、もっと身近に。」の始まりでした。創立から10年を超えたいまでも、このミッションは変わっていません。

「マーケティング」はイノベーション以外のすべてを包含し、販売促進や営業活動も含む講義の意味を持ちます。「身近に」とは、製品の提供だけでなく、中小企業におけるマーケティング人材の育成を指しています。


理念に支えられた創業期のつらい時

会社を立ち上げるときに重要なのは、市場の大きさとその成長スピードです。市場が急速に成長するタイミングで事業を始めることが成功のカギです。

カイロスマーケティングの設立は、市場に大波が到来する前でした。そのため、市場が拡大するまでに数多くの困難に直面しました。

資金が限られていた最初の数年間、年間100本以上ブログ記事を書き、月間25万PVに達することもありました。しかしながら、どれだけ努力しても、売上は人件費とサーバー代に消え、2年近く自分の給料は出ませんでした。

 「マーケティングを、もっと身近に。」

この力強くシンプルな理念があったからこそ、がんばることができたと思っています。


お客さまに、仲間に、そして製品に支えられている、いま。

時が経つにつれ、お客さまが増え、一緒に働く仲間も増えました。製品ラインナップも拡大し、MAツール、SFA/CRM、スケジュール調整ツールに加えてコンサルティングも提供するようになりました。

苦難を経て学んだ重要な教訓は、「自分たちの行動が他者や社会に良い影響を与え続けることの大切さ」でした。お客さまや社会のために努力すれば、結果は必ずついてきます。

過去10年間は、お客さまとカイロスマーケティングの仲間に支えられた時期でした。それでも、「マーケティングを、もっと身近に。」というミッションはまだ完遂できていません。

「マーケティングを、もっと身近に。」という取り組みは、新たな章の始まりを迎えています。製品に加えて、コンサルティングやマーケティング・営業の人材を育成することも手掛けていきたいと考えています。


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