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忘れなくていい 年会

先日、忘年会に参加した。
リモートではない、リアル飲み会。数十人が一堂に会する、公の(?)職場の親睦会である。

子連れでなく少人数でもない。めちゃめちゃ久しぶりのこの空気。
一体何年ぶりだろう‥と口にしていたら、隣に座っていた同僚が、ここ数年ブランクがあったから、忘年会自体も4年ぶりですよーと教えてくれた。
そう思えば、他の皆さまだってこの空気は久しぶりなはずなのだが、それでも何となく緊張するのは、自分が非常勤の立場だからか、飲み会と言うと記憶にあるのはもう十年以上も前の独身の頃だからか。


この日は、午後にわが家のボーイズが参加している子ども会のクリスマスパーティもあったので、忘年会には開始時刻ギリギリに滑り込んだ。
幸い、近い席の人たちは、普段から関わりがあってよく話をしている顔ぶれ。
隣に誰が来ても当たり障りない雑談ができる自信はあったが、今回はその席で、ありがたく会話と食事を楽しませてもらった。

段々会が盛り上がってきて、隣の人の会話も聞こえづらくなってくる。
皆、若いなぁ。
どんどん若い世代が増えている。自分の年齢を考えれば当たり前なんだけど。
幹事を務めてくれている人も、今年でまだ三年目くらい。そんな時もあったなぁーなんて、遠くから眺めている。
もし仕事のことで何かを相談されたとしても、上に立って教えてあげる自信なんて私にはない。話を聞いて、一緒になって悩んで考えることぐらいだろうな。


向こうのテーブルでは、やや体育会系のノリで盛り上がっている模様。
誰それは前回記憶がなくなるまで飲んだ、だの、コンパで必ず盛り上がるゲームについてだの、武勇伝らしきものが聞こえてくるけど、考えたら私も夫も(二人とも飲むのも飲み会も大好きだけど)、若い時からそう言う飲み方とは無縁で、大人数でパリピみたいに飲むことは、あんまりなかった。


どちらかと言うと、端っこの方でのーんびり飲みながら人の話を聞いているのが好きだ。

そうすると、たまに寝ちゃう人とか自慢話しだす人とかもよく見える。(夫は機嫌良く飲んで寝ちゃう方の人)。
自分がシラフなら、横で管巻かれたら嫌だなぁなんて思うのかも知れないが、こちらもそれなりに飲んでるので、気楽な気持ちで、ほーほーそーですよねー、なんて相槌打ったりしてると、相手は機嫌良く饒舌になったり、満足して聞き相手を代えてくれたり。
かと思うと、職場では聞けない意外な話をポンとしてくれる人もいたりして。
飲み会は人間観察の絶好のチャンスだ。


なんて思っていると、斜め前に座っていたベテラン同僚が「こっちはこっちで、静かに楽しみましょう、無理にビール注ぎに行くこともない、自分の飲みたい物、飲みたいペースで飲んだらいいんやから」と言ってくれたので、何だか和んだ。
たまたま私の近くにいた三人は皆ノンアルコール。
多分、私だって周りの人に観察されてたりするのだろう。私自身は飲んでもあまり変わらないつもりだけど、「この人、いつもより早口でよく喋るな」くらいは思われてるんじゃないだろうか。はい、多分その通りです。


よく笑い、よく食べて。会はお開きとなった。
独身の時なら「◯◯さんも次、行くやろ?」と聞かれ当たり前のように二次会に参加していたが、今は聞かれることもなく(そもそも二次会があったのかも分からない)帰路につく。
九時前には解散したが、それでも家に着く頃はボーイズはもう寝ているだろう。
カラオケは‥今度家族で行けばいいし、ね。

この日、実は夫も親睦会の予定が入っていた。
でも、私が、夫婦二人とも飲み会が理由で、子守りを義父母にお願いすることはさすがに出来ないと言うと、自分は別に、大勢の全体の親睦会で飲みたい訳ではないし、前回も(私と)日がかぶって自分だけ参加したから、今回は気にせんと行っておいで、(ボーイズと)適当に食べてゲームでもしとくよーと、サラッと欠席を決めた。
(夫は)主任なのに親睦会行かなくていいのか?私は別にどっちだっていい立場なのに‥と悩んでいたら、自分は、何人かの気の合う人たちと飲めたらその方がいいんだと笑っていた。


そして今日と明日、忘年会だそうだ。
大学時代の友人との集まりと、職場の親しい内輪での忘年会。二日続けてでごめんなーと言いつつ、早めの仕事納めをしてニコニコ出かけていった。
いいやんいいやん、行ってらっしゃい。楽しんできてね。
大学の時の部活の仲間と、卒業して二十数年経ってからも集まれるなんて、素敵だと思う。職場だって、本当に気の合う人たちとお酒を交えつつの会は絶対楽しい。
人間観察のできる大勢の親睦会も、悪くはないけど。仲のいいメンバーでのリアル飲み会は、次への活力に繋がるに違いない。

今日の夫の帰りは遅くなりそうなので、子どもたちとすごろくをして、ジグソーパズルをして、そして先に寝てしまうことにする。
私は、子連れでなく集まれる、親しい仲間との飲み会‥と聞いても、パッと友人の顔が浮かばなくなってしまったお年頃。
年賀状に「また会いたいです」と書きながら、その〝また〟は一体いつだろうと思いつつ、大きくなった互いの子どもの年齢を確認する。



明後日は、近所の焼き鳥屋さんを予約して我が家の忘年会である。
夫も飲めるし私も飲める。ボーイズも好きな焼き鳥を食べられる。わざわざ忘年会と銘打たなくても、我が家にとってはいつもの風景だけど‥それでいいか‥と思っている。そして、多分大晦日もまた、家で乾杯をして飲む。


忘年会と言いつつ、忘れたいような辛いことや悲しいことなんてなかった気がするのは、幸せなことだ。

しっかり今年を振り返りながら、楽しく飲もう。


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