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先生ごめんね!

私は真面目な学生だった。

と思う。

放課後は部活に励み、テスト期間になったら見たいテレビも制限して机に向かい‥
でもまぁ多分、校則違反するようなことには単に興味がない、地味なフツーの中・高校生だった。
普段真面目に学校生活を送っていると、まぁまぁ得する事もある。


当時私は、公立高校の中では一応進学校っぽい学校に通っていた。授業時間は70分×5限。時には0時間授業、何て呼ばれる朝の学習時間がある日もあった。放課後は毎日部活で発声練習をしながら5キロのランニング(この運動音痴の私が)。さらに夜中まで友人から借りた漫画や小説を一気読みしたりして、まぁとにかく忙しくも充実していた日々だったと思う。

それは現代国語の授業でのこと(古文だったかも知れない)。国語の教科書はもらってすぐの段階で、大体もう目を通している。担当の教師は、一度定年退職されて講師で来られていた、厳しくも静かな白髪のおじいさんの先生だった。
午後の授業には穏やかでまったりとした空気が流れている。
そう言えばその日も朝から部活があって、必死で自転車を飛ばしてきたのだった。

今日もまたこの後、5キロのランニングだなぁ‥。

フゥッと意識が遠のいていく‥

突然先生に声をかけられた。
「○○(私の旧姓)、大丈夫か。しんどいのか?」

「は、はい!だ、大丈夫です!!」
思わず反射的に返す。

大丈夫です。
て言うか全然しんどくなんてないです。だって、


私今、寝てただけなので!!

先生はそれ以上何も言わず、また机間巡視しながら静かな授業を続けたが、私は心配されたことが申し訳なくて、「大丈夫だけどほんのちょっとしんどいかも‥」というフリをして残りの授業を受けた。
先生、ごめんね。

それにしても、高校生の時は眠かった。
しんどいのかと心配されたのは後にも先にもそれきりだが、ひどい時には、数学の時間で始まったと同時にウトウトしてしまい、終わりのチャイムで目を覚ましたこともある(70分寝てたってこと?!)。先生もさすがに気づいていたと思うが、声もかけられなかった。あれ、真面目だと思ってたけど、呆れられていたのかも知れない。今思うと。


高校の時には、今に至るまで私が恩師と思っている先生にも出逢った。部活で顧問をしてくれていた先生。大人になってからもずっとお世話になっていて、私が教員試験を受ける時も、その後社会人となって演劇を続けていた時も。もう30年弱も「先生」と呼び続けさせてもらっている。
そんなにお世話になっているのに、授業を受け持ってもらったのは実は1年間だけだった。
その時の先生の担当は「政治経済」。高校一年生には、面白みと言うか学ぶ必要性をなかなか実感させにくい教科だったと思う。今となってはもっとしっかり聞いておけばよかったと思うのだが。でも学生時代の勉強ってそんなものですよね。

先生は、70分という長丁場を、ちょうど生徒たちの集中が切れてくる真ん中辺りで「ちょっとここで心理クイズ」などと言って、毎回ブレイクを挟んでくれた。藁半紙を小さくメモサイズにしたものを配って、選択肢から選ばせたり、雑学を教えてくれたり。その時は生徒たちもちょっとワイワイして、授業に積極的に参加して、次はどんなネタをしてくれるのだろうと、楽しみにしていた。

その時は。

いや、他の生徒はその時以外もちゃんと授業聞いていたと思いますが。

私には、ブレイクタイム以外の、政治経済の授業の記憶がほとんどない‥


私ずっと、寝てたので!!


当然、先生も気づいていましたが。
先生、ごめんね!!


その後、無事に教員となりましたが、寝ている生徒にはあまり怒りませんでした。
て言うか、怒れませんでした。眠いものは眠いもんね。
ただ、音楽の時間に寝てる子ってあまり居なかったなぁ。鑑賞以外。



きっともっと恥ずかしい歴史や消したい過去はあるのでしょうけど‥
都合の悪い記憶は自動的に消してしまうらしく、記事になるようなものは出てきませんでした 笑
もしくは、墓場まで持っていくんだと思います。知らんけど‥。

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