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このところの読書日記 day64

5/16 (Wed.)
#66日ライラン day64

noteで、本を読むのが好きな方の記事を読むのが好きなので、私も書いてみた。

レビューと呼べるような立派なものではなくて、あくまで、読後の私の印象を書き殴っただけの読書日記。これを読んでくれても他の方の参考にはあまりならないと思う‥。
ちなみに、私は読書は紙派で、ここに挙げた本は、全て図書で借りてきた本です。

◯「旅ドロップ」江國香織 小学館(2019)


今回借りた本の、唯一のエッセイ。
この人の本を何か一冊読みたい…と思ったのは、完全にnoteの影響。今まであまり読んだことがなかったから、note記事で江國さんのことが書かれているのを読むたび、これは読まねば…という気になっていた。
旅行好きな人なんだ!ビールやそのほか美味しそうなものが沢山出てくるのが魅力。世界のあちこちを、しかも同じ街を何度も訪れているなんて憧れしかない。私も移動中に読んでいたので、行ったことのない街の空気やお店、そこに居る人たちの空気を想像して楽しくなる。そんな体験一つひとつを、当たり前だけどきちんと言葉にして伝えられるのが作家という仕事なんだなぁ。
一本のエッセイは400字ちょっとなのに、だらだら1000字、2000字も使わなくたってこんなに人や場所のことを描写できるものなんだと、それもまた感心する。(旅の情報誌に連載していたものらしい)今の私のできないことだ。

◯「アフターダーク」村上春樹 講談社(2004)


村上作品、まだまだ読んでないものがいっぱいあるな。
村上春樹の小説の中でよく出てくる、主人公像(厭世的だったり、文学や音楽にやたら詳しかったり、そして女の人にはよくもてたりする男性)が、この作品では薄い。高橋、という人物がいちばんそれに近いが、高橋は主人公ではない。
主人公は、その年令ならなんら不思議ではない、家族との葛藤やアイデンティティの模索途中の女の子。彼女と出会い、彼女を手助けすることになる、カオルやコオロギ(ともに女性)、そして高橋はみなまともな人間だ。だからこの話はとてもとっつきやすい。
もう一人、白川という男性が出てくる。この人物は…JoJoの第4部に出てくる吉良吉影きらよしかげのような人間だ。(と私は思った。)白川だけ抜き取ってもう少し村上節で読んでみたい気もする。どんな話が生まれてくるんだろう。
どことなく…映画、いや舞台劇のような印象を受ける小説だった。人数と場所とが最小限しか出てこないからだろうか、それとも話が時間軸に沿って少しずつ進められていくからだろうか?


◯「よろず春夏冬あきないちゅう」長野まゆみ 文藝春秋(2004)


生と死、あっちとこっちの境がゆらぐような話が集まった短編集。
そして、主にBLと呼ばれるジャンル。
10代や20代の頃なら、この耽美な虚構の世界にもっとため息ついて酔いしれながら読めたのかもしれないが…今の私はあまりこんな物語を求めていないのかも‥。
でも、その中でも例えば「花の下にて」では、読後感の切なさや、作品に絡む古文のもつ言葉の豊かさ、深さが美しいと思ったし、「雨過天晴」は純粋に面白かった(そう言えば「雨過天晴」には登場人物間の恋愛要素は薄かった)。
「うかてんせい」、と書いて一瞬で漢字に変換されるんだ…この言葉も初めて知った。
そして、今になって初めて気づいたこと、「」なしに続けられる会話の文、私も好んで幾度となくnoteで使ってきたが、もしかしたら長野まゆみさんから影響を受けていたのかも知れない…?初めて読んだのは高校生の時、その後も何冊も読んでいるから、そうと意識はしていなかったけれどその可能性はすごく高い。
最後に。「アパートの鍵」という話に、幾つもの「白」を印象的に描き出した画家とその絵、そしてその白に魅かれ十万円でその絵をった大学生が出てくる。
作品に出てきた「白かさね憎き背中に物書ん」という句は、大島蓼太という江戸時代の俳人のものらしい。また一つ面白そうな人を知った。
ところで、私は「岸辺露伴ルーブルへ行く」を観ている途中なのだ。露伴は今、まさに絵の中の究極の「黒」を求めてフランスへ渡ろうとしているところ。
白と黒。人間って、面白いね。

◯「Secret Garden(秘密の花園)」バーネット 講談社文庫

前回記事にもしたこの本、実は今回、初めて英文で読むのに挑戦した!
児童向け作品であること、そして何度も原作を読んだことがあって頭に日本語訳が入ってることが、選んだ理由。実際、知らない単語も途中沢山出てきたけど、いちいち調べることもなしにとにかく読み進めた。
結果、時間はかかったけど、面白かったー。
英文は原著ままらしいが、内容としてはところどころ削られて短くなっていた。文庫化だからだろうか?
登場人物のヨークシャーの訛りのせいで(あと作品の書かれた時代のせいなのか)慣れるまで人物のセリフがすごく読みにくかった。日本語だと「〜だべ」とか「ほがいなこと」になっていたのだった。翻訳者の仕事って、作品の印象を左右する、すごいことをやっている。

◯「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」大前粟生あお 河出書房新社(2020)


短編4本。最初の2つが好きだった。新しい…今の時代の感性の小説なんだな、と思う。出てくる人たちは誰も悪くないのに。いろいろ考えこんでしまう。
こうして、小説、あるいはnoteの記事や文章を読んでいるときの私は、自分と違うタイプの、あらゆるものごとに対してとっても繊細な受け止め方をしている人たちや、その人たちのものの見方に対しても、とても理解に満ちているつもりで、「自分と違う他者もすべて受け入れ、共に生きやすい社会にしたい!」なんて優等生な答えを自然に口にしてしまうのだけれど、実際に日常生活を送る私は果たしてどうなんだろう。
自分自身の、自分でも気づかなかった偏見や狭い常識に、とらわれ、本当はそれを他の人全てにあてはめようとしているんではないだろうか…と、少し怖くなったことを白状する。

最近になって、noteで読んでいたいくつかの記事は、きっとこういう(対人的な不安や心配というような、一般的には繊細すぎるともとらえられるような)ものを普段から考え込んでしまったり悩んだりしているのだろう、ということ、
そしてそれは当人にとってはとても真剣なもので、他人から理解されるされないに関わらず、簡単に変えたりやめたりできる類のものではないのだろうということ が、少しずつ私にもわかってきた気がする。
だから、私は、きっと今のタイミングでこの本を読んで良かったのだ。
というか、だからこの本を手にとれたのかも知れない。あまり前情報なしに読んだつもりだったけれど、だから、良かったと思う。

うわー、書き慣れないもの書いたら、長くなってしまった‥
もしかしたら、一本ずつにしたら五回分の記事になった?でも一個ずつ記事にするほどの内容でもないから、今回はこれでいいか。
noteの中での読まれやすさ を考えたら、一記事一感想、で切るのが良いのかも知れない。今後考えよう。

本は‥物語、小説が好き。次読もうと思っている本の中にノンフィクションはあるけど、マニュアル本、啓発系、情報系の本は‥私の中であまり読書体験に入らないみたい。

お読みいただき、ありがとうございました。

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