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ポール・サイモン "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" ♫ 〜 歌詞和訳

邦題は「君の天井は僕の床」だったけれど、思いきりストレートに訳して邦題をつけるなら「ある人の天井は別の人の床」。でも歌詞を読んでると、「お前の天井は俺の床」とか「俺の天井はお前の床」にしてもいいような気もしてくる。

1973年リリース, ソロ3作目・S&G解散後2作目のアルバム "There Goes Rhymin' Simon"(ほら, サイモンがまた韻踏んでるよ; 公式邦題「ひとりごと」)に収録

アルバムは以前, 以下の note で取り上げていた。というわけで, これまでにこのアルバムの収録曲10曲(オリジナル・アルバム, LPリリース時, 曲のリストは以下の note リンクの下)のうち "Kodachrome", "Take Me to the Mardi Gras", "Something So Right", "American Tune" の計4曲の歌詞を和訳していたので, 今日の "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" の歌詞和訳は 同アルバム収録曲の歌詞和訳 5作目。

1. Kodachrome
2. Tenderness
3. Take Me to the Mardi Gras
4. Something So Right
5. One Man's Ceiling Is Another Man's Floor
6. American Tune
7. Was a Sunny Day
8. Learn How to Fall
9. St. Judy's Comet
10. Loves Me Like a Rock

11-14 は後年の CDリリースの際のボーナス・トラック。

11. Let Me Live In Your City
12. Take Me To The Mardi Gras (Acoustic Demo)
13. American Tune (Unfinished Demo)  
14. Loves Me Like A Rock (Acoustic Demo)

ではでは,

One Man's Ceiling Is Another Man's Floor 〜 歌詞和訳

筆者はリリースされた当時の中学1年の時に買ったレコードで聴いてきた。その後 CD でも。懐かしのレコード LP は, いま自分の兄が持っていると思う。

以下, この曲の音源と, 筆者による歌詞和訳。

音源は 3つ載せた。一番上は YouTube の Music Premium Member でないと聴けない。筆者は違うので聴けない。その他に聴けるものとしては, この曲(1973年リリースのオリジナル・ヴァージョン)の音源, YouTube 上に上がったり消えたりしている。2番目に置いたものは少なくとも今現在はある。Premium Member でない人はとりあえずこれで。

3番目に載せたのは Paul Simon が 2018年9月7日にリリースした "In the Blue Light" というタイトルのアルバムのオープニングを飾っている, テンポを落としてアレンジを変えた同曲の音源(歌詞は細かい表現を除いてほぼ同じ)。これは Paul Simon の公式アカウントによるものなのでまず消えることはなく, かつ Premium Member でなくても聴ける。

因みに, 筆者はこの曲に関してはオリジナルの方, つまり 1941年10月13日生まれの Paul Simon が 31歳の時にリリースしたアルバム「ひとりごと」いや「ほら, サイモンがまた韻踏んでるよ」収録のヴァージョンのアレンジの方が好きだ。

以下は, "In the Blue Light" 収録ヴァージョン。

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.9.2 加筆/削除/編集)。

..............................

ここには恨み辛みや悪感情が澱んでる
ここで話されている幾つかの言葉のことだよ
気分悪くてうんざりするけど, それだけじゃないんだぜ
紫色に染まった鼻血面
紫色に染まった血塗れの服
そいつがロビーの床をめちゃくちゃにしていたのさ

アパートではこれが当たり前のこと
だからアパートに住む愚かな連中は

覚えておくことだ, お前らの部屋の天井は他人にとって床だってことをね
お前らの天井は他人の床なんだぜ

奇妙なことが繰り返し起きて
何人かの人間が行ったり来たり (*1)
エレベーターの係員はもう働かないとか
廊下からバカ騒ぎの声が聞こえてきて (*2)
誰かが倒れた音が聞こえたような気がした (*3)
だけど俺はドアを決して開けなかった

アパートではそれが分別ってもの (*4)
それが アパートの家賃みたいなものさ

覚えておくことだ, お前の部屋の天井は他人にとって床だってことをね
言っておくが, お前の天井は他人の床なんだぜ

俺のアパートの建物の裏には路地があって
そこには人間たちが恥を晒して集まったりする
俺は 俺の飼い犬を連れて歩いていた
煙霧で真っ暗になった夜の路地をね (*5)
そのとき 誰かが俺の名前を呼んだような気がしたよ

ああ...
忘れないことだ, 俺の天井は他人の床だってことを
くそっ
天井は他人の床なんだぜ

...............................

*1 come and gone だけど, 日本語では「行ったり来たり」の順で。

*2 racket には, テニスやバドミントンのラケット以外に, 「バカ騒ぎ」「大騒ぎ」「騒音」といった意味もある。

*3 fall は call にも聞こえるが, 一応 Paul Simon の Official Website で確認したら fall になっていた。call だったら 叫び声の意になるから, call でも文脈上通る。

*4 sense には「正気」「平常心」「分別」といった意味もあって, どれも和訳に使えそうだが, ここでは「分別」を使ってみた。

*5 smog は「スモッグ」だけど, カタカナ書きするとつい「光化学スモッグ」を思い出してしまうので, ここではあえて漢字で「煙霧」。日本語の「煙霧」の意味は文字通り「煙と霧」, もしくは「靄(もや)や霞(かすみ)」。

One Man's Ceiling Is Another Man's Floor 〜 Robben Ford and Susan Tedeschi ♫

だいぶ趣が違うカヴァー。オリジナルの方が好きだけど, これもクール。

ところで,

この曲の殺伐とした雰囲気, 何処となく同じ Paul Simon のあの曲に似ている 〜 Paranoia Blues ♫

この歌です。

さてさて, 話を今日のお題, "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" に戻して, いや, 以下の見出しで戻すんだけど, でもそこからやはり別の曲に飛ぶ。

It's just apartment house sense, it's like apartment house rents 〜 these apartment walls are cheap, "One Man's Wall Is Another Man's Wall", まぁ色々あります(笑)

筆者が遥か昔の学生時代に経験した「アパート(安アパート)での分別」「アパートの家賃みたいなもの」については, 以下リンク先 note の第4章「安宿の壁、安アパートの壁」にて。

Paul Simon の Simon & Garfunkel 解散後の第1作, 自身の名を冠したアルバム "Paul Simon" に収録された曲 "Duncan" の歌詞和訳 note, その目次は,

1. 聖霊降臨と "I'm coming", 「いく、逝く」と輪廻転生
2. 歌詞の話に戻ろう
3. 実は2番の歌詞、「漁師」や「ニューイングランド」にも、聖書やキリスト教の匂いが
4. 安宿の壁、安アパートの壁
5. 要するに、この歌は
6. Duncan ー 歌詞和訳
付録 1: 「聖書」の彼女、その翌朝
付録 2: "Duncan" オリジナル、スタジオ・ヴァージョン(歌詞和訳 付き)
付録 3: "Duncan" 収録アルバム、レヴューもどき
付録 4: 恋人と別れる50の方法 (歌詞和訳)
付録 5: 清教徒とニューイングランドと「アメリカの歌」
付録 6: この投稿テキストの最後が Duncan だった
付録 7: Blasphemy is NOT a crime.
付録 8: From Salman Rushdie


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