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スザンヌ・ヴェガ "Luka" ♫ 〜 歌詞和訳

この歌は Suzanne Vega が 1987年4月にリリースした2枚目のアルバム "Solitude Standing" に収められた曲(同アルバムのオープニングを飾る "Tom's Diner" に続いて収録された)。当時, 筆者はカセットテープであのアルバムを買っている(第1章)。以来ずっと好きな曲だけど, この歌の歌詞を和訳してみたいと思ったのは, 5-6年前に Paul Simon の "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" の歌の中身とこの Suzanne Vega の "Luka" のそれに一部被るところがあると感じたことがあって, その "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" の歌詞和訳を先日やってみたから(最終章)。

因みに "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" の方は Paul Simon が 1973年5月にリリースしたソロ3作目・S&G解散後2作目のアルバム "There Goes Rhymin' Simon" に収められた曲。Suzanne Vega は間違いなく聴いていると思うけれど, 歌の主題が「完全に」重なるわけではないし, 彼女がその影響を多少なりとも受けて "Luka" を書いたとまでは思わない。ただ, とにかく, 歌の中で言ってることに具体的に重なる部分はある。

当時, CD/カセット兼用のラジカセを持っていたと思うけれど, なぜ カセットテープ で買ったのかな

と何となく見出しに書いたものの, 分からない。まぁ大した意味はないんだろうけど(笑)。

いま我が家にはレコード・プレイヤーがなくて(1960年911, とつい911書いてしまうけれど兎に角1960年生まれの筆者, もちろんガキの頃は音楽はレコードで聴いてた, あれはいいよ, また欲しい!), CD/MD/カセットデッキ/ラジオのマルチ・プレイヤーを持ってるんだけど, 2-3年前に壊れたままにしてしまっていて, ラジオは聴けるものの, もはやラジオは大抵スマホで radiko 利用して聴き, 今使ってるパソコンは別売り買わないと CD 聴けない MacBook なので CD を聴けるのはクルマの中だけで, そのほか音楽は YouTube 等を利用して聴いている。

ところで MD って懐かしいよね。もう流石にないのかな。しかし カセットテープ は勿論もっと懐かしい(現時点の若者世代はどちらも知らないかも, ぐらいの昔話になってしまうくらいで)。高校の時までは田舎の自宅にあった(今もその後に買ったものがある)レコード・プレイヤーで音楽を聴いていて, 大学入学以降はカセットテープで買ったり, 借りてきてカセットテープに録音したり, その後, 徐々に CD を買うようになり, そんなわけで, 今の我が家の居間には沢山(やっぱ枚数はそこそこ多いな)の CD と沢山のカセットテープがある。しかし上に書いた通りで, 前者はクルマでしか聴けず, 後者はもはや.. 。

この時代にカセットはともかく, CD ぐらい自宅で聴けるように何とかしろよ, と「ひとりごと」(本 note の前説で触れた Paul Simon 1973年のアルバム "There Goes Rhymin' Simon" の邦題は「ひとりごと」だったけれど, あれは「ほら, サイモンがまた韻踏んでるよ」って感じでほぼ直球勝負の邦題にした方が良かったよなぁと「ひとりごと」)。話, 脱線した(笑)。

そういうわけで, 懐かしのカセットテープの Suzanne Vega "Solitude Standing" を今の我が家の居間(これって韻?)の片隅に飾ってある(カセットデッキさえあれば聴けるのに今はもう聴けないから文字通り「飾ってある」ようなもん)カセットテープ群から引っ張り出し, 写真を撮ってみた。

ただ, 中を開けるのは控えた。もう記憶にないけれど, 中にはライナーノーツが入っていて収録曲の歌詞の和訳が併載されているかもしれない。それ見てしまって今からやる自分の歌詞和訳に多少とも影響を与えたりするのは嫌なので。そこはまぁ頑固な意地も含めて ♫ 

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なっつかしいね。ところで「0・5・21」ってどういう意味だっけ? 買ったのは 1987年初夏だけど, そもそも 2000年だと音楽は CD の時代でカセットテープ買うのは有り得なくて, あれって 2000年5月21日 が何かの期限って意味だった, ということかな。いや, 2000年なら「0」じゃなくて「00」だろ。

妙に気になって, 今, ほかのカセットテープを見てみたら, それで分かったのは「0・5・21」ではなくて「O・5・21」だってこと。冒頭は O の他にも I とか H とかあって, これは数字でなくてアルファベットなのだった。そのアルファベットが何を意味しているのか。それはまぁいいや, 今日の note のお題とは関係ない。たぶん(笑)。

Luka 歌詞和訳

今やってみた和訳は, 本章の後半(若干の意訳混じり)。

この歌も, "Tom's Diner" やこの歌が収められているアルバム "Solitude Standing" も 35年前に買って聴いてからずっと好きだけど, この歌が 児童虐待 について歌った歌であることを知ったのは, わりと後年になってからだと思う。いやライナーノーツ辺りにはそういうことが書いてあったのかな。もう流石に憶えてない。

児童虐待 がテーマの歌。だから実は深刻なトピックを扱っている。いや, 「実は」と言わずとも, そもそもが, 一見(一聴)ポップな雰囲気のメロディや歌い方や(そのテーマをたとえ知らなくても)歌詞の中身から, 何処か孤独感が伝わってくる歌ではあるのだけれど。元々, この歌が収録されたアルバムのタイトルにしても "Solitude Standing", Solitude と言えば「孤独」とか「ひとりぼっち」。

因みに Wikipedia にはこう記されている。

The song deals with the issue of child abuse. On a 1987 Swedish television special, Vega revealed her inspiration for Luka:
A few years ago, I used to see this group of children playing in front of my building, and there was one of them, whose name was Luka, who seemed a little bit distinctive from the other children. I always remembered his name, and I always remembered his face, and I didn't know much about him, but he just seemed set apart from these other children that I would see playing. And his character is what I based the song Luka on. In the song, the boy Luka is an abused child—in real life I don't think he was. I think he was just different.
In a Dutch video documentary by "Top 2000 à gogo" in December 2018, Vega spoke about the meaning of the song:
I wanted to write about child abuse… I had to think of how to write about a subject that no-one talks about.

Luka 〜 from Suzanne Vega's second studio album "Solitude Standing", released on April 1, 1987 ♫

*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識によりここに掲載していた英語歌詞を削除しました。英語歌詞・原詞は公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.9.2 加筆/削除/編集)。

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僕の名前はルカ
2階に住んでるんだ
君の家の上の階だよ
うん, 僕を見かけたことがあると思うよ

もしも 夜遅く何かが聞こえてきたら
それってある種の揉め事, ある種の闘いなんだけど
でもそれが何だったのかは僕に尋ねないでね
何だったのかは僕に訊いてほしくないんだ
何だったのか, 訊いてほしくないんだよ

それは僕が不器用だからだと思うよ
あまり大きな声で話さないようにはしてるんだけど
たぶん, 僕はどうかしてるからかな
あまり偉そうにしないようにはしてるんだけれど

彼らは君(や僕)が泣くまで ぶつんだ
でもその後, 君はその理由を訊かない
君はただ, もう反論はしない
ただ, もう反論なんてしない
言い争うのはやめてしまうんだ

うん, 僕は大丈夫だと思う
また家に戻っちゃったんだけどね
そう, 君が尋ねてくるのなら, そう言うだけだよ
どうせ 君には何も関係ないことなんだ

僕は一人でいたいんだ, ほんとはね
何も壊されないし, 何も投げつけられないように
ただ, 僕が元気かどうかなんて尋ねないでね
ただ, 僕が元気かどうかなんて尋ねないで
僕が大丈夫かどうかなんて, 訊かないでほしいんだ

僕の名前はルカ
2階に住んでるんだ
君の家の上の階だよ
うん, 僕を見かけたことがあると思うよ

もしも 夜遅く何かが聞こえてきたら
それってある種の揉め事, ある種の闘いなんだけど
でもそれが何だったのかは僕に尋ねないでね
何だったのかは僕に訊いてほしくないんだ
何だったのか, 訊いてほしくないんだよ

彼らは君(や僕)が泣くまで ぶつんだ
でもその後, 君はその理由を訊かない
君はただ, もう反論はしない
ただ, もう反論なんてしない
言い争うのはやめてしまうんだ

Luka という名前は ..

Luka という名前はキリスト教, 新約聖書の中の「ルカによる福音書」を想起させたりもして, 無神論者ながら宗教そのものには(その問題を含めて)関心がある自分としては, そのことが Suzanne Vega が Luka という名前をこの歌の主人公の名前に選んだことと何か関係でもあるのかなと, 以前はやや深読み気味に気になったりもしてたんだけど, 本 note 第2章 Luka 歌詞和訳 のところで Wikipedia から引用した Suzanne Vega 本人の話からしたら, そういうことではなさそうだ。

もう一度 引いておくと,

The song deals with the issue of child abuse. On a 1987 Swedish television special, Vega revealed her inspiration for Luka:
A few years ago, I used to see this group of children playing in front of my building, and there was one of them, whose name was Luka, who seemed a little bit distinctive from the other children. I always remembered his name, and I always remembered his face, and I didn't know much about him, but he just seemed set apart from these other children that I would see playing. And his character is what I based the song Luka on. In the song, the boy Luka is an abused childin real life I don't think he was. I think he was just different.
In a Dutch video documentary by "Top 2000 à gogo" in December 2018, Vega spoke about the meaning of the song:
I wanted to write about child abuse… I had to think of how to write about a subject that no-one talks about.

因みに, Luka という名前は, どちらかというと Luca という綴りの方が多いかもしれない。

Luca is a given name used predominantly for males, mainly in Latin America, Italy, Spain, Portugal, Romania, Russia, Serbia, Slovenia, Croatia, Bulgaria, Greece, and Georgia. It is derived from the Latin name Lucas (Greek Loukas) which is in turn a contraction of "Lucanus" meaning "of Lucania," the home of the Lucani. It may also come from the Latin word "lucus" meaning "sacred wood" (a cognate of lucere). The name is common among Christians as a result of Luke the Evangelist. Similarly, the name Luka is also commonly found as a male given name in Eastern Europe and particularly the Balkans with the name sharing the same origin.
Luca is also a Hungarian and Croatian female given name. It is equivalent to Lucy in English, but pronounced differently as [ˈlutsa].

話がどんどん逸れるけど, Luke the Evangelist というのは, 「ルカによる福音書」の ルカ おじさん(笑)。

話が Suzanne Vega の歌 "Luka" からどんどん離れてしまった。無神論者なのにやや「宗教オタク」?(笑)。

Luka という名前は .. その 2

前章で書いたように, この名前は Luka よりも Luca という綴りの方が多いようで, また, Wikipedia からの引用にあるように, 主に男性のファーストネームとして使われる名前であるものの, 比較少数ながら, 女性の名前(ファーストネーム)としても使われるらしい。

例えばこの人は オランダ人ファッションモデル, Luca Lasseur さん。ちょっとボーイッシュだし, Suzanne Vega の歌 "Luka" の「モデル」にもなれそう。

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Luca Lasseur さんと  Luka の作者 Suzanne Vega さん, 雰囲気が似てたりして。

Luca Lasseur さん。

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カラーはこちら。

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こちらは Luka の作者 Suzanne Vega さん。今世紀に入ってからの "Luka" by Suzanne Vega ♫

なんというか, またまた, 

前章に続いて 本章も, 

話が Suzanne Vega の歌 "Luka" から離れてしまった。いや, でも彼女の歌 "Luka" は, ここではスタジオ・ヴァージョンとライヴ・ヴァージョンの2つを掲載 ♫

歌詞の一部が被る, Paul Simon 1973年5月リリースの "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" 〜 歌詞和訳

本 note の前説に書いた通りで, Suzanne Vega の "Luka" の歌詞を和訳してみたいと思ったのは, 

5-6年前に Paul Simon の "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" の歌の中身とこの Suzanne Vega の "Luka" のそれに一部被るところがあると感じたことがあって, その "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" の歌詞和訳を先日やってみたから。

何しろ, 邦題は「君の天井は僕の床」だったし, "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" を思いきりストレートに訳すなら「ある人の天井は別の人の床」。

で, Suzanne Vega の "Luka" では例えば, 

My name is Luka. I live on the second floor. I live upstairs from you. Yes, I think you've seen me before. 僕の名前はルカ。2階に住んでるんだ。君の家の上の階だよ。うん, 僕を見かけたことがあると思うよ。

If you hear something late at night, some kind of trouble, some kind of fight. Just don't ask me what it was. Just don't ask me what it was. Just don't ask me what it was. もしも 夜遅く何かが聞こえてきたら, それってある種の揉め事, ある種の闘いなんだけど, でもそれが何だったのかは僕に尋ねないでね。何だったのかは僕に訊いてほしくないんだ。何だったのか, 訊いてほしくないんだよ。

Yes, I think I'm okay. Walked into the door again. Well, if you ask, that's what I'll say. And it's not your business anyway. うん, 僕は大丈夫だと思う。また家に戻っちゃったんだけどね。そう, 君が尋ねてくるのなら, そう言うだけだよ。どうせ 君には何も関係ないことなんだ

一方, Paul Simon の "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" では, 

There's been some strange goin's on, and some folks have come and gone, like the elevator man don't work no more. I heard a racket in the hall, and I thought I heard a fall, but I never opened up my door. It's just apartment house sense, it's like apartment house rents. Remember one man's ceiling is another man's floor, I'll tell you one man's ceiling is another man's floor. 奇妙なことが繰り返し起きて, 何人かの人間が行ったり来たり, エレベーターの係員はもう働かないとか。廊下からバカ騒ぎの声が聞こえてきて誰かが倒れた音が聞こえたような気がした, だけど俺はドアを決して開けなかった。アパートではそれが分別ってもの, それが アパートの家賃みたいなものさ。覚えておくことだ, お前の部屋の天井は他人にとって床だってことをね, 言っておくが, お前の天井は他人の床なんだぜ。

メロディも歌詞の中身もヘビーなこの歌を聴いていると, 「お前の天井は俺の床」とか, 逆に「俺の天井はお前の床」っていうような邦題にしてもいいんじゃないかって気がしてくる。


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