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【決算分析】Sansanの事業創造力の凄さとは?

こんにちは。キャリアコンサルタントの黒岡です。

今回はSansanの決算内容について見ていきましょう。

2024年5月期 第3四半期(2024年2月末まで)の決算資料を参考として見ていきます。

1.事業内容

営業DXサービス「Sansan」やインボイス管理サービス「Bill One」、契約データベース「Contract One」等を展開するSansan/Bill One事業と、名刺アプリ「Eight」、ログミー株式会社による書き起こしメディアのサービスを展開するEight事業を運営。

* Sansan 決算説明資料より

2.事業成長の軌跡

* Sansan 決算説明資料より

2008年に創業。2013年から2019年にかけて大型資金調達を実施し、有名なTV CM等を含めたマーケティングを実行。

事業の急成長を経て、マザーズ上場。そして現在sansan社の中でも特に成長事業の「Billone」を提供開始。

スピーディーに一部に鞍替え。と日本を代表するSaaS成長企業の一社ですね。

2023年3月時点で、国内SaaS企業のARRランキングでも1位となっていました。

国内SaaS企業のARRランキングトップは? UBベンチャーズがリポート発行

3.業績推移

* Sansan 決算説明資料より

Sansanの会社全体のARRは前年同期比33.4%増加し、310億90百万円に到達したとのこと。この規模でこの成長は凄まじいですね。

特に、急成長を続けるBill Oneの売上高は前年同期比「176.6%」
ARR68億円の規模でこれだけの成長を続けているのは本当にすごいですね。

4-1.事業ごとの進捗(sansan)

主力事業の「sansan」のストック売上高は前年同期比14.8%
直近12ヶ月平均月次解約率は「0.44%」と驚異的な低さです。

* Sansan 決算説明資料より

これだけの解約率を維持できている理由として、sansan尾花様の下記記事がとても参考になりました。

「アナデジ(アナログ から デジタル)」がsansanのキーワードの一つの様で。実際、新規事業開発室 アナデジプロダクトグループという部署もあるそう。

確かにsansanの事業は一貫して。

名刺のデータ化 = sansan
請求書のデータ化 = Bill one
契約書のデータ化 = Contract ne

とアナログに紙等で管理されていた情報をデータ化する事業を展開されていますよね。

そしてこのビジネスモデルの特徴として、「顧客がデータを貯めれば貯めるほど解約しづらくなる」と書かれていてまさにそうだなと。

さらに、sansanでは、そのデータをリッチ化させる機能開発等を積極的にされており、ただ管理するだけでなく、ビジネスにアクティブに活用できるプロダクトになっているからこそ、欠かせないサービスになるのですね。

4-1.事業ごとの進捗(Bill one)

そして、sansan社において急激な成長を遂げている事業が「Biilone」

2024年2月末のARRは68億にまで登ったとの事。そしてこちらも平均月次解約率「0.33%」と驚異的な低さを維持しています。

* Sansan 決算説明資料より

既に日本を代表する成功プロダクトがある中で、新規事業を急成長をさせるのは、並大抵のことではないと思います。

まさに、sansan社としての「事業創造力」がこのBilloneの成長に現れているのではないかと。

Billone事業統括「大西 勝也 氏」のインタビューでは、そもそも請求書受領SaaS市場自体がCAGR「76.2%」の驚異的成長市場である。

そして、電子請求書の市場において「発行型」には、ラクスの「楽楽明細」やインフォマートの「BtoBプラットフォーム 請求書」がある中で、「受領型」には、目新しいサービスがなかった。

【直撃取材】ローンチから2年半でARR21億円 Bill Oneの急成長を解き明かす より

これにより、経理部門では、受け取った紙やPDFの請求書を一件一件、手入力で会計システムに打ち込む作業が毎月のように発生し、業務に忙殺されてきた。

* Sansan 決算説明資料より

これを、Billoneによりワンストップで受領でき、データ化し、一元管理できる様なった事で、経理業務を圧倒的に効率化することに成功したというストーリー。

【直撃取材】ローンチから2年半でARR21億円 Bill Oneの急成長を解き明かす より

このストーリーを裏付ける3つの背景が上記。

* Sansan 決算説明資料より

やはり、アナログ情報をデジタル化する仕組みとテクノロジーがsansanの根幹にあり、その時の法改正や市況を読みながら、最適なタイミングでビジネスを展開し続ける力が、sansanの持続的成長を支えているのですね。

5.今後の事業展望

* Sansan 決算説明資料より

sansan自体がまだまだ日本国内における潜在市場規模を残している。特に「利用従業者カバー率」で見ると「4.9%」となっており、この利用従業者数をいかに増やしていけるか?がsansan事業の成長戦略の肝になるとの事。

また、Billone自体はsansanの強固な顧客基盤に支えられ、まだまだ成長余地がある。

* Sansan 決算説明資料より

そこに近年盛り上がりを見せている「法人カード市場」に参画し、FIntech領域で拡大していく。

* Sansan 決算説明資料より

成長が続くBillone事業に目が離せないですね。

まとめ

今回は、sansan社の決算について、主にsansan事業とBillone事業を中心として分析してきました。

会社として持っているテクノロジーと仕組みづくりのアセットと、急成長市場を見分ける先見の明、その市場に対してしっかりとミートしていく組織力の強さが、sansanの強みなのだなと改めて理解しました。

ぜひこういったビジネスに関する雑談は大好きなので、カジュアルにビジネスやキャリアについてお話をしたいという方がいればご連絡をください。


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