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本との遭遇覚書・星の海のミッキー

人は知っているものに反応する。
古本屋の棚を見て「これ知っている!」と反応する人が多い。
知っているなら、わざわざ反応しなくともいいのではないか。世の中には知らないものの方が大量にあるのだから。と思うのだが「普通の人」たちはそうではないらしい。

大吉堂に並んでいる本は、ネットで検索すればどの本もネットショップに見つけることはできるだろう。
でも。
何もなく、その本に出会うことはできただろうか。
ネットには何でもある。でもそこで出会えるのは「知っているもの」ばかりではないのか。知らないものに偶然出会えることはあるのだろうか。
それはネットの利用方法が下手なだけ?
そうかもしれない。
でも下手だろうが何だろうが、実店舗の棚を見れば嫌が応にも知らない本が目に飛び込んでくるのだ。知らない本に偶然出会えるのだ。
その出会いを生み出すことこそ、実店舗の強みであり存在意義であろう。

『星の海のミッキー』(ヴォンダ・N・マッキンタイア、森のぞみ・訳)との遭遇。
偶然でした。たまたまでした。
タイトルに惹かれて表紙絵に惹かれてあらすじに惹かれて、読み始める。
偶然たまたま出会ったから読み始める。その楽しさと幸せ。
猫をこっそり宇宙ステーションへと連れ込んだことから起こる騒動。猫は猫として行動しているだけで、周りの人間を巻き込みどんどん物語が展開するのが面白い。
少女が新世界へと進む物語であり、それが異星人とのファーストコンタクトのラストに結びつくのも面白い。

大吉堂の棚に並べてある本は、あなたの代わりに探し出して並べています。
あなたが偶然たまたま出会えるように準備しています。
どうぞ覗きに来てください。
どうぞ出会ってください。
本もあなたを待っています。

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