Daiki

ジャーナリスト、物書き

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最近の記事

ドイツで分断について考える①

■包摂の対にあるもの これまでベルリンの難民支援の現場で多様性の理解を試みてきた。 ただ、それはドイツ、しかも首都の持つ一面的な顔にすぎない。 物事を考える時には複合的な視点が必要だ。 一面的に何かを決めつけたり紋切り型の表現を使ったりすることはできれば避けたい。単純化ほど危ういものはないのだが、対になる「二項」でさえ説明できないことがほとんどではないだろうか。 とはいえ、ドイツの多様性を描く中で、やはり避けられないテーマがある。排外主義だ。 どの国や社会でも同じではあ

    • 多様性は社会を強くする②

      *2023年に下書き、保存していたものを公開します。 ■時間通りに運ばない 10月25日も前日に引き続き、Give Something Back to Berlinが主催するイベントに参加してみた。 こちらは毎週開かれる料理教室「Social Cooking」。教室というよりは、用意された複数のレシピをグループに分かれて作るだけのシンプルな催しだ。 午後5時からと聞いていたので時間通りに行ってみたが、やはり誰もいない。私もヨーロッパでの生活経験があるのでわかる。南欧を中

      • 多様性は社会を強くする

        ■あるカフェの存在 私が滞在するノイケルン地区は、人口の約半数が移民のバックグラウンドを持つとされる。トルコ系やアラブ系といった飲食店や小売店の数々がそれを裏付けるように並ぶ。 自宅近くの裏通りの一角に、少し風変わりなカフェがある。その名は「REFUGIO」。カフェに限らずイベントスペースなども併設し、新旧ベルリン市民が共に生活しながら働ける場所を目指しているという。南アフリカのシェアハウスから着想を得てつくられたとあり、6F建ての上の複数フロアは居住スペースとなっている

        • 極右が伸長するドイツ

          ■政治の地殻変動 ドイツで極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が勢力を伸ばしている。反移民、反EU、反イスラムといった枠組みで語られる政党だ。今年に入って各種世論調査で顕著な伸びを記録しており、動向から目が離せなくなっている。 調査機関Infratest Dimapによると、2023年10月13日時点で、AfDの支持率は22%となり、中道右派「キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)」の28%に次ぐ2位に付けている。17%だったショルツ首相率いる与党・中道左派「社会

        ドイツで分断について考える①

          ガザとイスラエル、そしてドイツ

          ■西洋の民主主義国で とても面白い時期にベルリンに来たものだと思う。 私は中東情勢に明るいわけではないが、目の前で起きていることだけは記録しておきたい。 イスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃して以来、ドイツ国内で反ユダヤ的な事件が増えているとして、ショルツ首相は12日、親パレスチナのデモを禁止すると発表した。私がベルリンに到着した日のことだ。 私はイスラム系住民が集住するノイケルン地区、ハーマンプラッツ駅の近くにアパートを借りている。まさに「反ユダヤ」(皮肉を込めてあえ

          ガザとイスラエル、そしてドイツ