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カウンセラーになりたいあなたへの手紙③どんな練習が効果的か


基礎練のたいせつさ


僕は金メダルアスリートやシルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマーたちなどとも一緒に仕事をしてきました。

彼らは、例外なく、トップになってからも基礎練をやってます。

野球で言えばキャッチボールみたいなことです。もちろん筋トレもやってます。

ベースになる部分を大切にしているのです。

うちのスクールの卒業生に誰もが知ってる有名アナウンサーがいますが、彼女もいまだに毎日滑舌練習してると行ってました。使っているのは外郎売でした。アナウンス学校でも、芝居でも最初に学ぶような基本的なものです。

やっぱりベースって大切なのですね。繰り返しの基礎練で作られたベースが、その上で展開されるスキルを支えてくれるのです。そして基礎練の積み上げは揺るぎない自信の根拠にもなります。

では、そもそもカウンセラーの基礎力って何でしょう?

・よい心の状態でいること
・相手の話を受容的にきけていること
・話の内容をしっかり理解できること
などなど

ぜひあなたの目指すカウンセラー像をイメージして、その基礎を作ってる部分は何なのかを明らかにしてください。そしてその部分を鍛える基礎練習をしてみてください。

わからなければ、あなたの先生に聞いてみてもいいと思います。

僕は未だに「自分の表情をモニターに映しながら、よい心の状態で話を聴く」練習もしてますし、「高校現代文の参考書などで、自分の読解力を高める」練習もしています。

ネットなどで人生相談のケースの中から、かなり難しいもの探して、そのクライアントを目の前にイメージしながら、それを冷静かつ受容的にきく練習とかもしていました。

②で書いたマッサージも基礎練として良いですね。相手の身体が変化していくような関わりがなんなのか、自分の身体で体験してみる。そこで培われた感性は、かならずカウンセリングに有効です。一流のコーチカウンセラーの多くはマッサージさせても上手だと思います。

そういった点では、(質問などせず)相槌を打つだけで話をききながら、相手の心の状態をよくしていく練習などもとても効果的ですね。

以下、いくつか基礎練の例をあげてみますので参考にして取り組んでみてください

ゆっくり歩いてみよう

ぜんぜん練習に思えないかもしれませんけど、ゆっくり歩くは大切です。

ゆっくり歩く。ゆっくり食べる。ゆっくりお風呂に入る。ゆっくり語り合う。ゆっくり文章を綴る。。。

なんでもゆっくりやってみるのです。マインドフルネスですね。外側の世界と内側の世界。自分の行動とその結果起こっていること。それをしっかり感じながら、時間をすごすのです。

こうすることで、思考の世界ではなく現実の世界をしっかりと体験、理解しながら生きていくことができます。これはカウンセラーとして生きていくには大切なことです。

焦って動くような行動もやめてみる。信号が変わる前に急いで渡る。電車に飛び乗る。とか

そうすると常に堂々と、生きている感じになります。コーチ、カウンセラーには堂々としてる感じも大切なんです。

偉そうな「堂々」ではありません。

落ち着いてる。どっしりしてる。寄らば大樹の陰ではないですけど、ここにいたいと思えるような安心感を生み出せる「堂々」とした感じ。

クライアントは「動じない人」に関わってもらいたいのです。

あなたがもし動じない人になりたければ、普段からゆっくり動くこと。ゆっくり話すこと。ゆっくり考えること。です。

べつに波乱万丈な体験などしなくても、普段から落ち着いて行動することで、自分の中に落ち着きができてきます。

ぜひ普段から、ゆっくりと歩いて、堂々とした感じを自分のものにしてください。

さらに、このゆっくり動くにプラスして、はっきり断る、しっかりお願いする、などしてみるのも良いです。非言語と言語を一致させてメッセージを出す練習になります。

言行一致

一般の意味での言行一致もカウンセラーには大切ですが、言語と非言語が一致するという意味での言行一致も大切です。

朗読をするときって、一つ一つの言葉に感情を込めたりするじゃないですか。歌も心を込めて歌うなら歌詞の一言一言を大切に感じながら歌いますよね。

それみたいに、自分の話す全ての単語に、ふさわしい感情を込めて話す練習をするのです。

目指すのは「一致している話し方」です。言葉の内容と、話し声のトーン。そして姿勢や表情、身振り手振り。それらが自然と一致しているような話し方を心がけるのです。

人は言語よりも非言語に影響を受けます。そして言語と非言語が一致しているときに、あなたの話していることが相手にしっかりと届くのです。

普段から、心や身体を感じながら丁寧にはなす。このことも大切な練習になります。

映画を見るように話をきく

傾聴の聴くには、耳だけでなく、目も(横になってますが)、心も入っています。

しっかり観察しながら、心で感じながら、耳でもきくのが傾聴です。

初めての映画を見るとき、とくに最初の部分などは「これはなんのシーンなんだろう」「この人はだれだろう」などわからないながらも、理解しようとして全集中で見ていることありますよね。

コーチカウンセラーはああいった感じで話をきけるといいのでは、と思っています。全身で聴く。何の話かしっかり理解しようとして聴く。

そういった練習もいいと思います。

傾聴の練習だと思って、五感をつかって映画を見る。言わんとすることを理解しようとしっかり集中して本を読む。

相手の表情、息遣い。身体の使い方。そういったものを五感で感じながら話を聴く。べつにインタビューやドキュメンタリーなどの映像素材を見るのでもいいのです。全身で聴いてみようとすることも練習になるのではないでしょうか。

非言語でコミュニケーション

赤ちゃん、哺乳類、言葉の通じない外国人。。。。そういった人たち(動物たち)とコミュニケーションを取るのも有効です。

人は2つのチャンネルでコミュニケーションをとっています。

1つは言語
もう1つは非言語

あえて非言語だけでコミュニケーション取らざるを得ない状態に自分を置くことで、非言語チャンネルでのコミュニケーションを鍛えられます。

言葉が通じない相手とのコミュニケーションで、相手と仲良くなる。意思疎通を図る。そういった努力をすると、クライアントの身体や無意識と仲良くなるコツが掴めます。

僕が知る限り、一流のコーチカウンセラーは、小さな子どもと仲良くなったり、動物と仲良くなることが上手な人が多いです。

ぜひ、言葉が通じない存在と、一緒にいる、仲良くなる。ともに何かをしてみる。などの練習もしてみてください。

その能力が身につくと、クライアントの身体や無意識と仲良くなることができるようになります。クライアントの身体に心を許してもらう。クライアントの無意識に心を許してもらう。そのことをイメージして練習をしてみてください。

相槌だけで20分

それをもう少し、カウンセリングの練習につなげるのが、相槌を打つだけで、相手に延々と話してもらうという練習です。

相手の話をきいていて「この人あんまり話してくれないタイプだな」と感じることありませんか?

そのとき「相手が話さないタイプ」と思うのではなく、「自分の聴き方では、あまり乗り気になって話さないだけ」と考えてみるのです。

あなたの聴き方が変わったら、相手の話し方が変わる。そう信じて、相槌の工夫だけで、延々と話してもらうことを目指して練習しましょう。

これは僕が修行時代にカウンセリングの先生に出された課題なのですが、相槌しか打たずに、誰にでも20分以上話してもらえるように練習するというものがありました。

もちろん、難しいケースもたくさんあるのですが、工夫しながら練習すると、相手が話してくれる時間はどんどん長くなりますし、いろんなことを話してくれるようになります。

コーチングでもカウンセリングでも、相手がどんどんと心の内を話してくれるような聴き方ができるのは大切です。それがなければ、どんな質問をしても相手は真剣に話してはくれないのですから。

ということで、凄腕のインタビューアーの前では話す気がなかったことまでうっかり話してしまうように、凄腕刑事「落としの山さん」の前では犯人がなぜか自供してしまうように、なぜかあなたの前では何でも気持ちよく話してしまう。そんな聴き手を目指して、相槌のみ練習をしてください。

大切なのは◯◯だけ練習のように、使うスキルを絞ることなのです。相槌しか使えないという縛りがあるから、相槌でなんとかしようとして、相槌のスキルが上がるのです。ぜひチャレンジしてみてください

カウンセリングの練習を超えて、一生の宝になると思います


ひとこと勇気づけ

アドラー心理学で言う勇気づけとは、相手をその気にさせることです。なにかやってみたい。やれそうな気がする。そんな気持ちになってもらうことが勇気づけです。

この「勇気づけ」の練習もとても役に立つはずです。

あなたが話をきくだけで、どうしたら相手は元気になるだろう?
あなたがどんなひとことをどう伝えたら相手は元気になるだろう?
あなたが相手に何をしたら、その気になって行動を取るだろう?

そんなことを考えて、いろんなことを試してくだあい。

数秒以内でかけられるようなひとことで、相手のエネルギーがグンとあがることを目指して、声がけするのです。

・わたしもできるかも
・やってみたい

と相手が思えるような関わりを探求してください。

日々そんな練習をしていたら、あなたと触れ合うひとは、高確率でなにかをやってみるようになります。そうなったら、あなたは別にカウンセリングをしなくても、相手が自らどんどん変わっていくことになるのです。

世の中には勇気づけ声掛けの達人がいますので、そういう人を探して観察してみるのもよいでしょう。


あなたがどのようなコーチングカウンセリングをするにしても、役立つ基礎力を養えそうな練習をいくつか提案してみました。

コーチング、カウンセリングのスキル練習も大切です。実戦経験も大切です。それらもぜひいろいろ試してください。

ただ、それとは別に、スキルを支える基礎となるものは何なのか?それを問いかけて、その部分を鍛える練習も取り入れてみてください。きっとクライアントに対する影響力が変わります。そうなればベーシックなスキルで関わるだけでも、ちゃんと効果を生むようなカウンセラーになっているはずです

続く






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