入院26日目:姉への不満
母が今後車椅子か杖の予定のため、庭の砂利をコンクリートにする予定だ。
先日見積もりを出してもらったら210万円かかるらしい。
なかなかの金額だ。
土曜日の朝はゆっくり過ごせるからホッとする。
仕事がないって素晴らしい。
桜が散り始めているため、花見に行くなら今日と明日がチャンスだ。
花粉症の症状が三日前からひどくなったため、急遽朝一で病院に行き、注射をしてきた。
今年の春はこれで注射が終わりだといい。
病院後、花見を楽しんだ。
桜吹雪がきれいだった。
晴れのため、たくさん人が来ていた。
車椅子の人もいた。
来年は母と楽しめるといい。
花見後は母の面会の差し入れを購入し、帰宅した。
姉や甥っ子が来るまであと一時間ある、と思ったら姉らが来た。
早く来るという連絡もなく、だ。
先日来た時は一時間遅く来て、今日は一時間早く来た。
それがどれだけこちらに負担をかけているか分からないのだろうか。
姉は子育てが忙しいのは分かるし、旦那さんが家事や育児に非協力的なのは分かるが
母の入院前、朝早く来て夜遅くまで実家に子どもの面倒を見させがちだった。
昼食や夕食はこちらのおごりだ。
だが、母は入院したし、私も父も疲れているし
昼食や夕食の用意は無理だし、長居はしないよう事前に伝えていた。
「早く来るなら連絡くらいしてよ!」
思わず声を荒げた。
事前にLINEしたのに。一時間早く来ることの重大さが分かっていない。
私はまだ買い物をしてきたものを整理もしていなかった。
姉や甥っ子は我が家に来てYouTubeやゲームをしてグダグダし、母の面会時間になったら私と姉で病院へ行った。
姉は私や父にお母さんはワガママを言いすぎだと面会で母を見るなり怒ったけど
怒るほど姉も立派じゃない。
母が入院して何を手伝ってくれたというんだ。
先日も我が家でグダグダして早く帰らないし、甥っ子は家をお菓子の食べカスだらけで汚して掃除の手間をむしろ増やすし、夕飯(外食)はおごりだったじゃないか。
我が家も収入は減り、支出は増える一方なのに。
面会時間は15分しかない。
姉が怒り続けるため、「まぁまぁせっかくの面会だし、そろそろやめろよ。私やお父さんも昨日LINEでお母さんには無理なもんは無理だって伝えたから。」と言った。
姉がそばにいるから、話は姉中心だし、お母さんは姉や甥の様子ばかり尋ねて、私はろくに話せない。
挙げ句にお母さんは、姉や甥に夕飯はお寿司をおごってやれと言う。
そんなに長女や孫はかわいいか。
面白くない気持ちが募る。
こっちは家計を気にし、節約しているというのに。
入院中家を守っているのは私なのに。
姉は仕事の愚痴や家の愚痴をずっと話している。
大変なのは分かるが、私は私で大変なんだよ。
「ともかやお父さんに迷惑をかけないように、これからは洗濯を頑張るよ。」と母は言う。
確かに両手が使えるなら、洗濯もできるかもしれない。
病院からの帰り道、近隣に桜がキレイな場所があった。
姉と甥っ子は早く帰ると言いながらやはりグダグダしていたので、私や父はほっといて家事をした。
そしてササッと桜がキレイな場所に一人で行って見に行った。
明日はスケジュールの都合上行けそうにないから。
姉や甥っ子は結局6時間滞在した。
入院家族がいる人を労う気がサラサラない。
イライラした。
またGWに来るという。
また長居するのだろうか。
言っても伝わらない。
イライラする。
桜はキレイなのに、私の心はささくれだっている。
そういえば、姉は母に差し入れ一つ買ってない。
二回面会したのに一つも買っていない。
姉のことは好きだけど
母の入院について言えば
姉より従姉妹の方が頼もしく、力になっている。
姉とは幼稚園以来ケンカはしていないけど
このままでは、ケンカが勃発するかもしれない。
それくらい私は苛立っている。
夕方、父から家のことを色々聞いた。
引っ越しをしてから、家のハイテクな機能のことを私は把握しておらず、親に任せきりだった。
母親がこんな状態になった以上、今後は私や父が行っていく必要があるだろう。
覚えることがいっぱいでパンクしそうだ。
「そんなに頑張って夕飯作らなくてもいいよ。たまには外食でも行こう。」
父が言う。
私と父は食事の好みが合わないから、父に合わせなきゃいけない。
父は21:00前に寝るから、外食に行くなら17:00くらいに行かなきゃいけない。
私は胃があんまり強くないため、いつもとは異なる時間に食べに行くとあまり食べられない。
外食は量が多くて食べられない。今までは食の好みが合う母とシェアできたけど、お父さんとは好みが違うからシェアできない。
正直、外食に行くのが乗り気ではない。
だけど、父の希望だ。
たまには付き合おうと思う。
母から夜LINEが入る。
「忙しい中差し入れありがとう。早速食べたよ、おいしかった。靴下がかわいくて嬉しい。」
そんなことが書いてあった。
姉はすごいよ。
私やお父さんはもう、お母さんに面と向かって今までみたいには怒れない。
昨日は多少感情的になったけど、でも基本的にはもう、怒れない。
お母さんもかなり無理してる。きっとかなり不満を言わないようにしてる。
私やお父さんもお母さんには言わないようにしている。
家族みんなで気を遣っている。
病気はお母さんのせいじゃない。
それは分かっていても
やり場のない思いを私達は抱えている。
夜、親戚から連絡が入った。
母の調子を尋ねる連絡だ。
仕事で疲れた父は20時には寝てしまい、かわりに私が答えた。
私は父親と比べたら、案外あっけらかんとしている。
親戚の方が深刻そうで言葉を選びながら言っていたくらいだった。
私は仕事柄、もっと重い障害の人もたくさん見てきたし、リハビリでよりよくなっている例も知っている。
ただ、親戚は治ると思っていたようなので、「もう元には戻れないですね。」とはキッパリ伝えた。
リハビリをして、杖や車椅子でどこまでできるようになるかは分からない、と。
本当、こればかりは分からないのだ。
それを知っているのは、未来のお母さんや私だ。
「今日はお姉ちゃんに怒られて悲しかったよ。ともかも疲れているのに無理ばかりさせてごめん。ぬいぐるみに癒やされる。明日はゆっくり休んでね。」(要約)とお母さんよりLINEが入る。
私はそれを読んで泣いた。
お母さん、ごめん。
悲しくさせてごめん。
せっかくの、一週間ぶりの面会だったのに。
だけど、お母さんはこう続ける。
「お姉ちゃんはパパやともかを気遣って怒った。パパやともかに甘えすぎてごめんね。
お姉ちゃんも実家で息抜きしていたのに、お母さんがこんな風になったせいで十分に休めなくて、孫にも可哀想な思いばかりさせる。
少しでもよくなって、孫孝行しなきゃ。」(要約)
病気はお母さんのせいじゃないのに。
一番辛いのはお母さんなのに。
母の愛、祖母の愛だな、と思う。
お母さんは今、病院で一人泣いていないだろうか。
LINEでは遠い。
そばにいられないのが辛い。
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