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彩花へ「生きる力」をありがとう・他/山下京子

号泣。
涙なくして読めない。

 
神戸連続児童殺傷事件関連本の中で一番おすすめで、たくさんの人に読んでもらいたいのはこの本です。

 
彩花ちゃんがどんなに家族に愛されて生まれたか、育ってきたか
そのエピソードだけで涙が止まりません。
もうすぐ殺されてしまう……
それを知っているからなお
一つ一つのささやかな思い出の美しさや尊さが切ない。

 
驚いたことに、家族全員、彩花ちゃんが亡くなる少し前に彼女が亡くなる夢を見ます。
そして亡くなる少し前から
彼女は母親にやたら甘えん坊になっていたそうです。
まるで死を分かっていたように。
結末は分かっていたものの、彼女が頭を叩かれる瞬間、そして亡くなるまでの時間の描写は涙が止まらない。

 
最後は微笑んで亡くなったという彩花ちゃん。
この事件を通し
自分の娘だけでなく、他の子(人)、犯人にさえ暖かな眼差しを向け、優しく抱きしめるように接してくれる山下さん。

 
娘をこんな形で亡くしても、人はここまでたおやかな心を持つことができるのだろうか?
父親とお兄さんもまた、とても心が美しく、人間らしくあろうとすることをやめない人のような印象を受ける。
どれだけ山下さん達に生きる力を分けて貰ったか。
私もこんな風に生きたいと思わされたか。
正直、少年Aの親とこうも違うのか…と、かなり比較してしまった。

 
「この親にしてこの子あり」
山下さん親子のあり方はとても素晴らしく感じた。

 
もしも山下さんが少年Aの母親ならこんなことにはならなかったろう。
そして彩花ちゃんならもしかしたら少年Aの友だちになり、優しさを分けることができる存在であったかもしれない。
それがまた切ない。

 
辛くても苦しくても、現実を受け入れようと、希望を忘れずに生きようと頑張っている
山下さん
そしてご家族の皆様には頭が下がる思いです。

 
彩花ちゃんのご冥福を、お祈りします。

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