入院20日目:夢と100点

先日、お父さんが嘔吐して救急搬送される夢を見た。夢の中で、二人の介護は厳しいと強く思った。

また、お母さんが離婚して再婚して生まれた子（私の妹に当たる）と、スタジオツアー東京に行き、この前までお母さんはあんなに元気だったのに、と二人で話す夢を見た。

ハッとして目が覚めた。
普段家族の夢はあまり見ないのに、相当疲れているのかもしれない。

　
　
母が入院した時、冷蔵庫にも食料庫にも野菜がたくさんあって、もちろんその中には腐ったものやカビたものもあって、大量に捨てることになった。

自分で一週間分の献立を立ててからは腐らせないよう気をつけていた。

だけど、野菜類は痛みが早かった。

今まで私がたまに料理する時は調理する当日に食材調達か冷蔵庫の野菜を使う時が多く
一週間分野菜を日持ちさせ、献立を組み立てるには知識が足りなかった。

　
昨日、エノキがやられて悔しかった。
歯磨きをしたり、髪を乾かしながら、スマホで料理レシピや野菜等の冷蔵、冷凍保存について夜な夜な調べる毎日だ。

夏場は食べ物がいたみやすい。
それまでに準備しなければ。

今までは時短でカット野菜を活用していたが、次のステップで冷凍保存活用を学ばなければ。

今まで冷凍庫がいっぱいで、私は冷凍保存活用ができなかった。
冷凍庫にある物はいつの肉かなにか分からず、使えなかった。

今こそ活用のタイミングだ。

　
　
週はじめの月曜日。
今日から支援がたくさん必要な方が利用開始だ。
にも関わらず、職員は足りず、急な休みもあり、トイレに行く暇もないほど一日忙しかった。

疲れた。
仕事辞めたい。

そんなこと、誰にも言えず、今日もこうしてnoteに書くだけだ。

　
　
創立記念パーティーのDVDができて、利用者に配布され、未だに保護者からあの日の私の司会を褒められる。

創立記念パーティーが懐かしい。

あの日、いつか私もソロウェディングをしたいと夢を見られたのは
リーダーがいたから。母が元気だったから。

　
夢は余裕がないと見られない。
現実と向き合うだけで精一杯だ。

　　
一億円宝くじで当たったら、仕事を辞めて家のことや母の介護に専念したい。
そんな、現実逃避のようなありえない願いがぼんやり浮かぶ。

　
　
夜、お母さんからLINEが返ってきた。

・今日は若いイケメンがリハビリをしてくれたこと。
・明日は体を吊って歩行訓練をすること。
・補装具が合わず、お母さん専用のものを作らないといけないかもしれないこと。もし作るなら20万円くらいかかるが、介護保険が使えるかもしれないこと。

　
体を吊って歩行訓練、とは初めて聞いた。
リハビリにも色々あるものだ。

　
お母さんから、病院のご飯の写真が送られてきた。
さすが病院、質素だなぁと思ったら、「まぁまぁでしょ？」と文章が添えられた。

これでまぁまぁとは………。

お母さんが不憫になった。
退院したらおいしいものをたくさん食べさせてあげたい。　

　
お母さんは食事制限がかかっていた頃、「料理の写真を見るのが辛い。」と、親戚からの差し入れの雑誌を私に渡した。
だから私は手料理の写真を送ったり、食事の話題はしないようにしていた。

だけど今は制限がないらしいし、転院してご飯がおいしくなったらしいし、今日ならいいのかなぁと思い、写真を送った。

100点……
全然凝った料理じゃないのに、お母さんは私に100点をくれて、一人泣いた。

　
今夜はレシピを見ながら料理をしたら失敗した。
味が悪くはないが、良くはないのだ。
お父さんは美味しいと言ってくれたが、自炊するようになって今日の料理の出来が一番納得いかなかった。

そんな時だからこそ、お母さんの言葉に泣けてきた。

　　
お母さんは「お父さんに料理を色々作ってあげてね。お父さん、ともかの料理に大満足だよ。」「お父さんは○○や○○や○○が好きだよ（料理名）」とLINEに書いていたけど（これは入院してから何回か言われた言葉だ）
私はお母さんが退院したらお母さんに作りたいよ。
それまでに料理の腕を上げたい。

そしてまた家族みんなでご飯を食べたい。

　
あぁそうか。
今の私の夢はそれなんだ。

また家族みんなでご飯が食べたい。
お母さんとご飯が食べたいんだ。