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金曜日のあれこれ

一週間最後の勤務日である金曜日は戦いだ。
金曜日は大抵が行事日だからだ。

 
まず、朝の送迎から戦いは始まる。
金曜日の私の送迎担当である利用者は非常に不穏になりやすい。

 
送迎車に乗り込むまでに私、利用者、保護者で三人の戦いになり
乗り込んでからも場面切り替えができず
ギャーギャーと騒ぎ、落ち着くまで車からは降ろせない。

その日は落ち着くまで時間がかかり
お互いに心身疲れた。

「施設なんか、行きたくない!家に帰りたい!」と暴れられるたび
じゃあ来るなよ、と思うし
「施設なんか、辞めてやる!」と暴れられるたび
ご自由にどうぞ、と思う。

油断すると病院送りにされるし
利用者は障害者故罪に問われない。
泣き寝入りになる。
気は抜けない。

 
 
午後は音楽の時間だった。

朝不穏だった利用者が楽器の貸し借りができなかったり、周りが楽しそうな様子が気に入らずに再び不穏になった。
更に、トイレに入りたい時に他の利用者が使っていたのが気に入らず、扉や壁を叩いたり蹴ったりして暴れた。

 
その様子を見て他の利用者が泣いた。

その騒ぎを見て他の利用者が叫んだ。

その騒ぎの隙に他の利用者が他害した。

その騒ぎとは関係なく、他の利用者が不穏になった。

同時進行だ。
どうしようもないとはこのことだ。

そのタイミングで前施設長が私用で早退した。

 
 
今までの私ならば、「ここにリーダーがいたら。」と思っただろう。
リーダーは一週間休んでいた。

 
だけどリーダーはどうせいなくなる。
これが春から待ち構えている現実だ。
「リーダーが今日いたら。」とは思わなかった。
みんなで協力して乗り切るしかない、としか思わなかった。

 
 
とりあえずは、誰も怪我なく仕事が終わってよかった。

 
 
利用者が同時に不穏になり、大変といえば大変だったが
それよりも私は新施設長に言われたあれこれの方が心に引っかかった。

 
上に分かってもらえない。
上と価値観が合わない。

それは、利用者の不穏以上に辛い。






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