見出し画像

利用者の反応

リーダーが退職を発表した際
想像以上に利用者は不安定にならなかった。

多少泣いたり、落ち込んだ人はいたが
ほとんどの人は実感がわからないのか、大きな変化はなかった。

 
保護者にしてもそうだ。
一部の方が落ち込んだりはしたが、想像以上にサラッとしたものだった。

 
私は驚いた。

リーダーが辞めるというのに、利用者も保護者もなんと割り切っているのだろうか。
私以上にリーダーと長い付き合いなのに
そんなにアッサリと割り切れるものなのだろうか。

寂しい職場だと思った。

アットホームをうたっていて、小規模の施設なのに
こんなに別れはアッサリなのか。
一番別れを悲しんでいるのが同僚だとは。

 
リーダーでこれでは、私が辞める時もさぞかしアッサリなのだろう。
前々から淡泊な職場だとは思っていたが
前の職場とは大違いだ。

みんなで泣いて泣いて泣きまくった、職員の退職。

でも、もうあんな思いをしたくない私にとっては
これくらいの方が退職しやすくて楽かもしれない。
引きずらずに次にいきやすそうだ。

 
はたまた、リーダーの最終勤務日はみんな泣いて泣いて泣くのだろうか。

 
 
そんな中、某利用者だけはとても悲しんでいた。

退職の発表があった時にぽかんとした顔をした後
「辞めちゃうの?辞めちゃうの?」とリーダーに抱きつき
帰宅後も家で話題にし
退職発表した次の日も、リーダーの名前を呼び、姿をよく探していた。

 
「やめないでよ!いかないでよ!お願いだからそばにいてよ!」

日中、リーダーにしがみついてワンワン泣いた。

 
リーダーは軽くかわしていたけれど
私はそういって激しく泣く人が一人でもいてよかったと思った。

そうではないと
リーダーってなんだったんだろうってなってしまいそうだ。

 
何年も何年も施設や利用者のために尽くして頑張ってきたのに
別れを惜しまれなさすぎるなんて寂しすぎる。

 
 
やめないで、いかないで、そばにいて、かぁ。
 
私は言えなかった言葉。
これからも言えない言葉。

リーダーの前では泣いてはいけないから
リーダーのいないところでたくさん泣いた。

職員にはできないけれど
利用者は思い切り悲しんでいいんだよ。

 






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?