台本番長

園田英樹といいます。作家・脚本家・演出家・ときどき脚本を教えたりしています。アニメ、舞…

台本番長

園田英樹といいます。作家・脚本家・演出家・ときどき脚本を教えたりしています。アニメ、舞台の脚本が多いです。

最近の記事

必殺仕掛人

1972年のドラマ『必殺仕掛人』の一話をユーネクストで観ました。 原作・池波正太郎、脚本・池上金男、監督・深作欣二 主演・林与一、緒方拳、山村聡 江戸の町を舞台に、極悪人を成敗する殺し屋たちを描いた群像劇。 ドラマの中に描かれる江戸の町人たちの生活感も楽しみの一つです。 オーディブルで『仕掛人・藤枝梅安』を通しで最後まで聴いてしまい、ラストが未完の池波さんの絶筆であったことを知りました。 藤枝梅安が、どうなったのかを知りたくて、漫画版まで読みました。 しかし梅安ロスって

    • ハイバイワークショップ『手を読む』を見学

      ハイバイワークショップ『手を読む』を見学してきました。 これは一般の人向けに脚本家で演出家の岩井秀人さんがやっているワークショップの一つです。 彼の代表作の一つでもる『手』の本読みをやるというもの。 参加者は、SNSなどで応募してきた人たち。 俳優、教師、看護士、学生、ニート、大学講師、娘の代理の主婦、など職業も年齢もさまざまな人たち10人。 男女比はちょっと女性が多い感じでした。 演劇経験がある人もいれば、そうでない人もいます。 最初は自己紹介から始まりました。 僕

      • 脚本家は何を考えているのか?

        『涙の女王』脚本分析 の続きです。 前回では、ワンラインはこうだろうというのを書きました。 『一人の男が運命的に出会った女を、愛し、命をかけて守り抜く、女は愛されていることを知り、男を愛する話』 脚本家は、これを書いたら、次にやるのは、主人公のキャラクター作りです。 まずは主人公の男を作ります。 視聴者の人たち(多くは女性)の誰もが好感を持つような人物にしなければなりません。脚本家は、まずここにエネルギーを注ぎます。 このとき、主演をする俳優が、もう決まっていたりする

        • 『涙の女王』とワンライン

          韓国ドラマ『涙の女王』をNetflixで見ました。 それについて少し書いてみたいと思います。 ネタバレも含まれるかもしれないので、ドラマを見ていない人はこの先は読まない方がいいかもしれませんが、できるだけネタバレしないように書きます。 脚本家は『愛の不時着』と同じ人、パク・ジウンさん。 恋愛ドラマのまさにプロフェッショナル。 今回も楽しませていただきました。 脚本テクニックを分析しながら見ていたのですが、脚本構成以外の演出のテクニックも相当高いと感じました。 カット割

        必殺仕掛人

          ズームでいきなり本読みについての感想まとめ

          五月三日の深夜に行った『ズームでいきなり本読み』について感想をまとめます。 劇団ハイバイの岩井秀人さんが始めた『いきなり本読み』は、稽古場でやっていることを、お客さんにも見せたら面白いかもという発想から始まったのではないかと思います。 確かに脚本家は自分が書いた物語が、初めて俳優の声を借りて、この世界に立ち上がってくる瞬間は、とても面白い体験です。 この体験を稽古場にいる人間だけでなく、一般の人たちにも味わってもらおう、それはまた演劇の裾野を広げることになるのではないか。 さ

          ズームでいきなり本読みについての感想まとめ

          ズームで『いきなり本読み』

          本日五月三日の22時より、『ズームでいきなり本読み』というものを開催します。 出演は、登ゆみ(劇団帰燕)、チャーリー板垣(吉本興行)、かえる、秋桜天丸、森安奈 作・演出、園田英樹です。 いきなり本読みは、劇団ハイバイの岩井秀人さんが始めた企画です。 稽古場で俳優さんたちが本読みしているのを、いきなりお客さんの前でやってみようというチャレンジングなものですが、岩井さんの演出で、とてもユニークで面白いパフォーマンスとして演劇のすそ野を広げることに貢献しているものです。 それを今

          ズームで『いきなり本読み』

          実は映画『PERFECT DAYS』はミステリー!?

           映画『PERFECT DAYS』に感じた違和感の理由を考えていたら、ヴィム・ヴェンダース監督がしかけたかもしれない物が見えてきたので、みなさんにも話したくなりました。  きっとこんな観かたをしている人は、ほとんどいないと思うので、あくまでも個人的な視点だと思って読んでいただければ幸いです。 ○『実は、この映画はミステリーなのかもしれない』  そう思ったのは、映画の途中で違和感を感じるところが所々にあって、あるときそれがふとつながって、『ああっ!』てなったのです。  その

          実は映画『PERFECT DAYS』はミステリー!?

          井上ひさし作『夢の泪』を観劇して、長い感想を書きました。

          井上ひさし生誕90周年記念として、紀伊国屋サザンシアターで上演されているこまつ座の公演『夢の泪』を観劇してきました。 夢の泪は、東京裁判三部作と呼ばれている作品の一つです。 僕は井上ひさし作品のファンを公言していましたが、実はその偉大な作品群を網羅しているわけではありません。 東京裁判三部作、全部観たことありませんでした。 というわけで、今回、その一本を観ることができたわけです。 僕が出会った最初の井上作品は、子供の時にテレビで観ていた『ひょっこりひょうたん島』でし

          井上ひさし作『夢の泪』を観劇して、長い感想を書きました。

          公演が近づいてきました

          劇団帰燕『ミュージカル版・五色ロケットえんぴつ』の公演が近づいてきました。 4月3日に初日を迎えます。 これに向かってこの三ヶ月間、僕としてはハードワークをしてきました。 このことについて、少し書きます。 劇団というものを再開するにあたって、さまざまなことを考えました。 なぜ今、劇団をやるのかということです。 モチベーション、目的です。 『自分がこれまでつちかってきたものを、できるだけ多く若い人たちに伝えたい』 『自分の書いたものを、もっといろんな人に観てもらいたい』

          公演が近づいてきました

          下北沢寄席を観てきました。

          おやじダンサーズのジュテーム中島さんのお誘いで、オオタスセリさん企画の下北沢寄席4を観に行って来ました。 声優のクジラさんがMC。 オオタスセリさんの、OLの内臓が会話するファンタジー落語、秀逸でした。 内臓の擬人化で、OLの生活が描かれていくのには、なんだか深いものも感じました。 続いてアレスさんのマジック。 久しぶりに生でマジック見させてもらいました。 話術も楽しくて、大満足。 さらに、グレート義太夫さんの落語。 義太夫さんて、多才なんですねぇ。 そして、山本光洋

          下北沢寄席を観てきました。

          『恋するマリッジセンター』脚本ができるまで

          『恋するマリッジセンター』の脚本の打ち明け話。  2024年2月13日から18日まで新宿スターフィールドで上演されておりました、恋するマリッジセンターの脚本がどうやって出来上がったかについて少しお話をさせていただきたいと思います。 ○オファー  プロデューサーであり主演女優でもある四宮由佳さんからオファーがあったのは昨年2023年の秋でした。  数年前から何か手伝えることがあったらやりますとお伝えしていたので、四宮さんは声をかけてくれたんだろうと思います。  しかし僕

          『恋するマリッジセンター』脚本ができるまで

          ワレモロWSに参加してきました

          劇団ハイバイの岩井秀人さんがファシリテートする、『ワレワレのモロモロ』の一般向けのワークショップに参加してきました。 見学だけしようと思っていたのですが、急遽、参加することになったのです。 参加者の人たちが輪になって、岩井さんの司会でゆるゆると最近気になったことなどを話していく中から、酷い目にあったエピソードや、酷いことをしてしまったエピソードを語ったりしていきます。 岩井さんが、『じゃぁ、そのシーンをやってみましょうか』という導きで、椅子を片付けたりして、その場に演技

          ワレモロWSに参加してきました

          AIと企画を考えてみました。

          AIにアシストしてもらって、ミステリー物の企画を考えてみました。 最初の僕のアイディアは、主人公についてだけ。 僕。 『17歳の日本人の高校生で、父親は元アメリカ特殊部隊員でCIAの工作員だった。その父親から、あらゆる戦闘訓練を受けて育った。そしてその父親が謎の死を遂げたことで、その犯人を突き止めようと動き出すことになる。』 そうしたら、こんな感じで提案してくれました。 AI。 『その設定は非常に魅力的ですね。主人公の特異なバックグラウンドや父親の死という動機は、読者

          AIと企画を考えてみました。

          四月公演のキャスト募集要項です。

          劇団帰燕旗揚げプレ公演 第一弾 『五色ロケットえんぴつ ~気がつけば恋の話~』 脚本・演出:園田英樹 園田英樹です。 みなさんがご存知の僕はポケモン映画などの脚本を書いている脚本家だと思います。 それ以外にも演出家や小説家としても今まで活動してきました。 二十代は劇団を主宰して活動していました。 その後フリーとしての活動が主になっていたのですが、人生が終わりに向かっていくのを意識す るようになった今、自分を作ってくれた演劇に恩返しをしたいと思ったのです。 僕がさま

          四月公演のキャスト募集要項です。

          ワレワレのモロモロ名古屋編の感想

           メニコンシアターAoiで『ワレワレのモロモロ名古屋編』を観てきました。 構成・演出・岩井秀人(ハイバイ) 台本と出演、宮璃アリ、寺田華佳、野崎詩乃、水谷悟子。 出演・板垣雄亮、川面千晶、朝倉真琴、飯嶋光春、重美紗果、土屋康平、中川大喜、みきを、森夏音。  なぜ僕はわざわざ名古屋まで行ったのか?  メニコンシアターAoiという素晴らしい劇場で芝居が上演されているのを観たかったからです。  今年2023年にオープンされたこの劇場は、客席は300ほどの小劇場にもかかわらず

          ワレワレのモロモロ名古屋編の感想

          『舞台アクセル!!』の上演を終えて。

          『舞台アクセル!!』の上演を終えて。 2023年8月27日に、『舞台アクセル!!』は無事に終演しました。 キャストが一人も欠けることなく、10ステージを走り抜けられました。 作者としては、すべてのスタッフキャストに感謝しかありません。 僕にとってもバイクレースを題材に物語を作るのは、初めてのことでした。 脚本家としてさまざまなジャンルの物語を作って来ましたが、バイクレース物は書いたことがありませんでした。 書き上げることができて、本当に幸せです。 バイクレースのドラマを書

          『舞台アクセル!!』の上演を終えて。