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櫻井敦司さんと、BUCK-TICKの好きな曲について語ります

話題にするべきか否か迷ったのですが、90年代のV系バンド好きとしてやはり触れずにはいられなかったのでBUCK-TICKについて書きます。

「バンド」の理想形にして、孤高の存在

もう一週間前になりますが、BUCK-TICKのボーカル櫻井敦司さんがライブ中に体調不良を訴え、病院に搬送されるもそのまま亡くなられるという痛ましい出来事がありました。80年代から活動している唯一無二のロックバンド、「ビジュアル系」という言葉が生まれる前から存在し、その始祖とも呼べるバンドであったBUCK-TICKが、唐突にフロントマンを失ってしまったのです。

個人的なBUCK-TICKとの出会いは高校時代、XやLUNA SEAから入り所謂ビジュアル系にハマっていた頃でした。どういう経緯だったかは曖昧ですが、シングルCDを4枚買ったのを覚えています。

「悪の華」「ドレス」「スピード」「M・A・D」の4枚でした。

まさに厨二病真っ盛りだった私にとって、ビジュアル系バンドが持つ世界観は快楽をもたらしてくれるものだったんですね。そんな中でもXの「紅」、LUNA SEAの「ROSIER」のようなキャッチーなアップテンポのロックナンバーは好物でした。
ですが、BUCK-TICKのこの4曲、B面も併せて8曲聴いてみて、そういう「わかりやすい格好良さ」はありませんでした。加えて、当時まだ未成年だった私は「シングルCDのA面にはキャッチーな曲」という固定観念があった為、これまで聴いてきたバンドとは明らかに違う音楽性に衝撃を受けたものです。

この曲がシングルなのか…!?と驚いたのがM・A・Dです。
XやLUNA SEAの「格好良さ」を期待していた私にとって最初は拍子抜け感もあったBUCK-TICKでしたが、

この「ドレス」にドハマリしました。
妖しい空気感、切ない歌詞、スッと心に入り込んでくる美しい旋律。それを情感たっぷりに伝えてくるボーカル。今、ネットでファンの声を拾ってみても相当人気の高い曲なのが伝わってきて、納得です。

このように、明確な売れ線とは違いながら高い音楽性を持ち確固たるファンを掴んでいるのがBUCK-TICKというバンドだったんですね。何より87年にデビューし同じメンバーで36年間、解散をする事もなく活動を続けていた物凄いグループです。メンバーの仲が良いのは勿論、音楽性においてもガッチリ結束出来ている証しだと思います。
バンドはやはり、有名になったり長年やっていると全員が同じ方向は向けなくなってくるものです。サザンの様な国民的グループも、メンバーの脱退や活動休止がありました。

世界中に星の数ほどバンドは存在すると思いますが、みんな同じ音楽を通じて仲間になり、高みを目指したいという目的は同じではないでしょうか。そう考えると、やはりBUCK-TICKこそがバンドの理想形であり憧れられる存在だったのでは、と感じます。

圧倒的な存在感

とにかく櫻井さんはビジュアル系のボーカリストかくあるべし、と言わしめるビジュアルと、存在感を持っていました。
スキャンダル、不祥事も無く、音楽関係以外でメディアに出ることもほぼありませんでした。ソロ活動をやっていた時期も少しありましたが基本的にBUCK-TICKのボーカルだけで在り続けた人です。カリスマという言葉はこの人の為にあるのでは…と思える程の「生きる伝説」でしたね。

髪を立てていた初期の頃。美形なのが存分に解ります
どの瞬間の写真でも、美が崩れないって凄いですよね

長年活動しているバンドだと、必ず「昔の方が良かった」「あの頃のが好きだった」という声が聞こえてくるものですが、BUCK-TICKは不思議なほどそう言われることがなく、音楽的にも新曲が常に一番良い、と親しまれていたのが凄いところです。それはバンドとして進歩し続けていたこともさることながら、櫻井さんのルックスが衰えることがなかったのも大きいと思います。そこも含めて、代えの利かない「魔王」だったと言えます。

ギターの今井さんがバンドの継続を宣言してくれています。おそらく今後は櫻井さんの映像を使ってのライブ…等にシフトしていくのではと予想していますが、新しい曲で新しい歌声が聴けなくなるのは寂しさが募りますね…。

近年の推し曲

「エリーゼのために」

「獣たちの夜」

「無限LOOP」

近年と言っていいのか、というのも混ざってますがこの3曲もお気に入りです。
「エリーゼのために」はイントロからメロディーラインから、頭から離れなくなる「クセになる」曲なのが推しポイントです。「獣たちの夜」は「残骸」を思い出させる激しめの曲、言葉のセンスも櫻井節炸裂って感じで格好良いですね。「無限LOOP」は心の清涼剤になるような曲で、ハイトーンの部分がとても気持ち良い。
何より、どの曲もBUCK-TICKらしさを持ちながらまるで違う色なのが素晴らしい。「無限LOOP」は櫻井さん参加のラストシングルになってしまいましたが、BUCK-TICKの世界観はこれからも無限ループしていくのだと思います。


ゆっくりとお休みください、櫻井さん。
素敵な歌声をありがとうございました。

本当に、異世界の人のようでしたね

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