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シン・ウルトラマンの外星人達は人間に敗れ去ったと見る、というお話

2周年記念、ということでネット上でシン・ウルトラマンの思い出語りが色々と聞かれるのが嬉しくなった、ウルトラフリークの諸星だりあです。
私も先日、久しぶりに観返して色々と当時に思いを馳せていました。

この映画の人気のポイントに、津田健次郎氏がCVを務めるザラブ、山本耕史氏のメフィラスの2大外星人がそれぞれ強烈な個性を持っており印象的だったことが挙げられると思います。

令和版ザラブはデザインから威圧感は増していましたが、その計画は
ほぼ昭和版と同じで、昭和と同じ破綻の仕方をします

ガボラ戦までは現れた禍威獣を倒す、というだけの展開でしたがザラブからは明確に「侵略」への対抗戦になり、物語としても本題に入っていく格好です。

実は、昭和で提示された「未来」のイメージへのアンサー

私自身がこのシン・ウルトラマンを何度も観て思った事ですが、やはり
「今の時代も悪くない」と感じられるところに、ある種の胸がすく思いがあるという事なんですね。

ウルトラセブン第8話「狙われた街」のラストナレーションで、
「我々は宇宙人に狙われるほど、お互いを信頼してはいない」
と強烈な皮肉があったことは有名です。
そしてこれもよくいわれる、半世紀以上経った今も結局人間は成長しておらず、未だにメトロン星人の計画は始まらなさそうだという現代への悲観的な意見ですね。それはウルトラセブンの時代、将来的には人同士のコミュニケーションはもっと恒久的な平和を築くものであって欲しいとの願いが叶っていない現状から来ているのだと思います。そしてそれはその通りでもあり、まだまだ美しい未来、には程遠い現実があります。

しかしこのシン・ウルトラマンのザラブ編、メフィラス編、最後のゼットン編と、全て地球人とウルトラマンの共同戦線によって地球を守る、という物語が描かれています。どちらかがどちらかを補助する、のではなく互いの能力が等しく作用している戦いなのがポイントです。


・ザラブ編では、ベーターカプセルを一時避難させ届けてもらう、という浅見さんとの連係プレー。神永を信頼し機を待った禍特対、何もしてないようで実は「待つ」が重要な場面

・メフィラス編、ベーターボックス奪取のための共同作戦。メフィラスの邪悪な真意を知るからこそ取れる作戦であり、手掛かりがかつて利用された浅見さんの匂いであり、奪取役ウルトラマンも含め互いの存在がどうしても必要

・ゼットン編、言うまでもなく倒せたのは滝くんの研究によるもの

浅見君がこんなキャラだったとは、などと言っていた神永ですが、
彼女はかなりの行動派ですし別に意外には見えませんよね

50年前に想像されていた、こうあって欲しいという未来の人間の在り様を描いている映画、それがこのシン・ウルトラマンだとは言えないでしょうか。
人間社会に入り込み、政治家に取り入って暗躍する外星人の恐ろしさと、それを知略によって阻止する人間とウルトラマンの物語。そんな物語を描きながら、最後の戦いは完全に力押しで破壊して終わる…こんなギャップも、色とりどりなエピソードが並んでいたウルトラマンの魅力を再現している気がします。

映像の進歩を感じるに適切な、「そのまま」

ザラブとの戦いは、ニセウルトラマンの正体を暴き空中戦に移行の後、八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ、がどうもしっくりきません)でフィニッシュという流れでしたが、大筋はオリジナルと同じながら、動きが大きく迫力のあるものになっていました。飛んだニセウルトラマンをスペシウム133で撃墜する場面ですが、昭和版より高さがあって、より、落下が痛そうでしたね(笑)。

昭和版ではエフェクトが無かったので、ウルトラマンがただノイズに苦しんでいる
ように見えていたこれも、ハッキリ可視化されました
どうにも、嫌がらせレベルのしょっぱい光線みたいですが

チョップで痛がるウルトラマンなど、オリジナルをトレースした部分も多いこのザラブ戦、「同じ」だからこそ、映像表現が凄くなったんですよ、というのを如実に感じる事が出来ます。BGMも含め、この映画屈指の名場面ですよね。
メフィラス戦も後ろにジャンプ→光線の流れに感動したものです。

冷静に見ると体型的に不気味なカットなんですよね
しかし観ているときはカッコいいと思ってました
これも、BGMの効果ではないかと思います

そんな感じで、面白い場面がふんだんにあるこのシン・ウルトラマン。
今、思うのはこれが完全に初見のウルトラマンだった、という人の感想をちょっと聞いてみたいな~ということですね。そういう人にはどう映った映画だったのでしょうね。


繰り返し、改めて2周年を祝いたいと思います。
また、映画館でも観たいなぁ。


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