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⑥クラウドサービスの運用コスト(AWS)

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はじめに

今回のシステムでは、クラウドサーバーにAWSを使用しています。
無料枠などが設定されていますが、使用していくと、当然コストが発生します。
本章では、今回作成するシステムを運用していったときに、どの程度のコストが発生するかの目安を説明します。

最も運用コストが大きいのがクラウドストレージのAWS S3になります。

S3では、大きく以下の運用コストが発生します。

  • ストレージ料金

    • S3に保存しているデータの総容量にかかる料金

  • リクエスト料金

    • S3に対して行うHTTPアクション(GETやPOSTなど)にかかる料金

  • データ転送料金

    • S3から出ていくデータの転送料金

    • ちなみにS3に保存する際のデータ転送料金は無料

では、実際に今回のシステムを運用していく上で、どのくらいのAWS運用コストがかかるかを試算してみます。

使用する料金は、2023年7月現在の情報です

S3ストレージ料金

まず、一日でどのくらいの容量のデータがS3上に保存されるかを試算してみます。

RTSP対応のネットワークカメラの、IO-DATA QWatch TS-WRLP/Eの場合、ホームページの情報では以下のような映像ビットレートです。

  • 最高画質 [1080p(1920×1080)30fps]

    • 2.6Mbps

  • 高画質 [720p(1280×720)25fps]

    • 1.3Mbps

  • 中画質 [400p(720×400)20fps]

    • 0.9Mbps

  • 低画質 [200p(352×200)15fps]

    • 0.3Mbps

  • 最高画質(低負荷)[1080p(1920×1080)5fps]

    • 0.9Mbps

最高画質のビットレートは2.6Mbpsとあります。
これは、1秒間に2.6メガビットの容量、という意味になります。

単位がビット なので、バイト に変換するには、この値を8で割ります。(1バイト=8ビット)

そうすると、このカメラの最高画質では、1秒間に3,250バイトのデータ容量ということになります。

ここから計算すると、1日(24時間)連続稼働させると、合計で約28GBの容量になります。

S3のストレージ料金は0.025USD/GBとあります。
これは、1GBのデータを1ヶ月保存しておくと、0.025USDの料金がかかる、という意味です。

ここから、2.6Mbpsの映像を配信するカメラの映像を3日間保存する設定で稼働させると、1ヶ月のS3のストレージコストは

1日28GB x 3日 x 0.025USD = 2.1USD

となります。

1$=140円で計算すると、1ヶ月で約294円の請求が発生します。

S3リクエスト料金

リクエスト料金とは、S3に対して行ったHTTPリクエストの回数によってかかる料金です。

通常のストレージクラス(S3標準ストレージ)の場合は、以下の2種類に分かれます。

  • PUT,COPY,POST,LIST

    • 0.0047USD

  • GET,SELECT,他のすべてのリクエスト

    • 0.00037USD

ちなみに、上記の料金は1,000リクエスト当たりの料金です。

今回作成するクラウドレコーダは、30秒毎にMPEG2-TSをS3にアップロード(POST)しますので、1日に2,880回のPUTリクエストを行います。
そうすると30日で、86,400回のPUTリクエストを行うことになりますので、30日のアクション料金は

86,400回 / 1,000回 * 0.0047USD = 約0.4USD

となります。
1$=140円で計算すると、30日で約56円の請求が発生します。

S3データ転送料金

データ転送料金は、S3に出入りするデータの容量に対する料金です。

しかし、入ってくるデータに関しては無料となっていますので、MPEG2-TSをアップロードする際には、データ転送量はかかりません。

ただ、S3から出ていくデータ容量に対しては、1GBあたり0.114USDが課金されます。

つまり、動画再生プレイヤーや簡易ライブビューの視聴時間が長いと増えていきます。

まとめ

以上より、今回のシステムを24時間常時稼働させた場合、動画を3日間保存する設定にした場合は、概算で、だいたい毎月300~400円という感じだと思います。

ただし、動画保存日数を伸ばしたり、カメラのビットレートを上げる、動画再生を頻繁に行う、などの利用条件によってはこれよりも大きくなる可能性はあります。

これはあくまで目安なので、今現在、どの程度のコストがかかっているかを、請求ダッシュボードで定期的に確認してください。

請求ダッシュボードは、現時点でのコストがいくらかかっているか、また、今月の予想はいくらくらいになるか、など、AWS運用コストを確認できます。

AWS今ソースログイン後、右上のユーザIDの部分をクリックすると表示されるメニューから開くことができます。

請求ダッシュボード

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