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佐賀バルーナーズ〜B1で戦えることを証明するために〜 vol.1 宮永雄太HCインタビュー前編

 昨シーズンB2優勝、B1昇格を果たし、B1初シーズンを迎えた佐賀バルーナーズ。ここまでの戦いは多くのバスケットファンに驚きを与えた。しかし、彼らの挑戦はまだ4分の1が終わったに過ぎない。佐賀バルナーズがさらなるインパクトを残し、B1で戦えることを証明するためには何が必要か。今回は宮永雄太HCとこれまでを振り返り、ここからの戦いのポイントを聞いていく。(インタビュー:宮本將廣 / 写真:本永創太)

B1で戦えることを証明するためにスタンダードを上げる

宮本 14試合を終えて6勝8敗。西地区では7位ですが、他地区であれば中位ぐらいに位置しています。ここまでの結果はどのように捉えていますか?
宮永 上位チーム、経験のあるチームとの対戦が多かったので、非常に収穫が多かったです。琉球さん、広島さん、島根さんと紙一重の勝負ができたことは本当にプラスになりましたし、自分たちの課題も見えて残りの試合を戦うためのポイントを見つけることができたので良かったですね。
宮本 おそらく今シーズンの佐賀はいわゆる強豪と言われるようなクラブよりも早くチームがスタートしたと思います。9月に千葉で行われたHOTEL FLORA PRESEASON CUPで優勝しましたが、その時すでにチームのイメージがある程度は見えていました。
宮永 おっしゃる通りで今シーズンは早い段階でチームの活動をスタートさせました。序盤の完成度はシーズンを戦う上で重要だと考えていたので、千葉でプレシーズンをやらせていただいた時にはある程度はチームが出来上がっていましたね。
宮本 結果的にいいスタートがきれたということですね。ここまでの自己評価はどんな感じですか?
宮永 14試合を振り返るとまずまずですね。ただ、もっとできたなというところもありました。リーグ自体がかなりのスピードで成長しているので、正直、シーズン前はどのぐらい通用するのかなと思っていました。僕も戦っていく中で掴めた部分があるので、ここからは自分たちのクオリティをさらに上げていきたいと思っています。

TIP OFF前のBAL-VENUSも佐賀バルーナーズの魅力のひとつ (撮影:本永創太)

宮本 リーグの成長スピードは1つのキーワードになると思います。以前、試合後のヘッドコーチ会見でも、そこについて宮永さんに質問をされた方がいました。レバンガ北海道でヘッドコーチをされていた当時とはおそらく全く違う。チームの規模感、プレースタイル、コーチのアプローチなどもどんどん変わっていると思います。正直、選手もコーチもどれだけ意識をしても試合をしてみないとわからないことがあるじゃないですか。宮永さん自身もB2で戦っていたし、角田選手もダブドリVol.18でインタビューをさせてもらった時に、「自分がどれぐらいできれば、B1で戦えるのかも全くわからない」と話していました。もちろん、そのために狩野選手、満原選手、山下選手などのB1経験豊富な選手がいると思いますが、メンタル部分での持って行き方で何か意識したことはあったんですか?
宮永 特別意識したことはないですね。そもそも今シーズンの僕らはチャレンジャーなので、「何勝しようが何敗しようがあまり関係ない。まずは我々がB1で戦えることを証明するためにスタンダードを上げること。そして最後まで諦めないでしっかりと食らいついて行くことが、佐賀のバスケットだよね」という話をしました。あとは角田や井上、岸田などの若い選手が今のB1でどれぐらいできるのかと少し不安になっているのは僕も感じていたので、失敗も多いだろうけど、チャレンジしてほしいということも伝えましたね。先ほどの3人は壁にぶち当たって、それをどうやってぶち壊していこうかという最中だと思います。非常に楽しみですし、成長の多いシーズンになるんじゃないかなと思っています。

佐賀でもそのシュート力を存分に見せる狩野 (撮影:本永創太)

もう少しメリハリをつけていこうと思っています

宮本 井上選手に関しては第5節の渋谷戦、岸田選手は第6節の秋田戦できっかけが掴めたのかなと感じました。角田選手に関しては、まだまだ頑張ってもがいてくれって感じですね(笑)!
宮永 ハハハ。そうですね。
宮本 どのぐらい言えるかわかりませんが、プレシーズンを見ていた時は、アレックス選手(相原アレクサンダー学)がもうちょっと試合に絡んでくるんじゃないか、狩野選手に委ねる時間が多いのではないかとイメージしていました。それこそ狩野選手に関しては、佐賀が求めるスタンダードに答えてくれる選手だと思います。シーズンが始まって僕の目線では、葛原選手とアレックス選手がまだチームの波に乗り切れず、井上選手と岸田選手が素晴らしいステップアップをしてくれたと捉えています。ヘッドコーチとしてはどう見ていますか?
宮永 狩野に関してはおっしゃる通りある程度の計算はできるので、彼の活躍や取り組みには満足しています。むしろ僕の起用の仕方の問題だと捉えています。彼を気持ちよくプレーをさせるためにはどうすればいいか。バイウィーク明けは角田、レイナルド(レイナルド・ガルシア)の時間なのか、狩野の時間なのか、もう少しメリハリをつけていこうと思っています。昨シーズンの西川(西川貴之/大阪エヴェッサ)をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。そこがうまくいけば、彼はもっとやってくれると思います。葛原とアレックスに関してはもっともっと頑張ってほしいですね。
宮本 彼らのステップアップはこれからの佐賀にとって大事ですよね。
宮永 そうですね。はっきり言ってしまうと、ディフェンスの部分はもちろんなんですが、オフェンスも正しいポジションや判断など、佐賀の求めるレベルに追いついていません。そこに関しては岸田、井上の方が何をするべきかを理解してくれていますし、そこに対して全力でやろうとしてくれています。前半戦は勝負の試合が多かったので、必然的に彼らに託す時間が多くなりましたね。

ステップアップを続ける岸田、井上 (撮影:本永創太)

いいものを持っていることは間違いない

宮本 僕の印象論ですけど、葛原選手、アレックス選手はもうちょっとシンプルに考える必要性があるのかなと感じています。彼らの魅力のひとつはもちろんアタックだと思いますが、少しこねすぎてしまったり、タイミングがそこじゃないよっていうことがあったり。宮永さんも彼らをこういう風に使っていきたい、このタイミングで良さを活かしてほしいというイメージがあると思いますし、彼ら自身もどうすれば自分の良さが最大限に活きるのかを考えていると思います。ただそこがなかなかマッチしない。それはリーグの成長スピードや彼のアジャスト能力というところなんですかね?
宮永 そうですね。おっしゃる通りでリーグの成長スピードに追いついてない部分や自分が理想としているものとチームでやるべきことがマッチしきれていないんだと思います。こちらとしてもアプローチをしていますが、どうしてもシュートを決めなきゃとか、何かやらなきゃというマインドで入ってしまっています。でも、求めているのはそこじゃないんですね。まず彼らがやるべきことはディフェンスのトーンセットをして、トランジションで先頭を走って、いいシュートをしっかりと打ち切る。そういうシンプルなことなので、しっかりとそこをやりきって欲しい。アレックスに関してはもっといい準備をしないとダメですね。まだちょっと若さがあるので。
宮本 ハハハ。なるほど。
宮永 プロ選手だということ、B1とB2は違うということをしっかりと日々の練習から意識して、トライし続けないとプロ選手として生き残ること自体が難しい。いいものを持っていることは間違いないので、ここからに期待しています。

佐賀アリーナの演出はぜひ体感してほしいアリーナのひとつ(撮影:本永創太)

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