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佐賀バルーナーズ〜B1で戦えることを証明するために〜 vol.2 宮永雄太HCインタビュー後編

 昨シーズンB2優勝、B1昇格を果たし、B1初シーズンを迎えた佐賀バルーナーズ。ここまでの戦いは多くのバスケットファンに驚きを与えた。しかし、彼らの挑戦はまだ4分の1が終わったに過ぎない。佐賀バルナーズがさらなるインパクトを残し、B1で戦えることを証明するためには何が必要か。今回は宮永雄太HCとこれまでを振り返り、ここからの戦いのポイントを聞いていく。(インタビュー:宮本將廣/写真:本永創太)

佐賀バルーナーズ〜B1で戦えることを証明するために〜 vol.1 宮永雄太HCインタビュー前編はこちら

オフボールの動きを増やした中でシュートを狙っていく

宮本 ハレルソン選手(ジョシュ・ハレルソン)が加入したことで起点がひとつ増えました。彼のアウトサイドのシュート力は脅威なので、5アウトのバランスになれば相手のビッグマンは出てこざるをえない。その中で、僕は狩野選手とハレルソン選手のバランスが気になっています。ハレルソン選手が外に出てきて、5アウトになった時にうまくバランスが取れず、ガードに戻してからクロックギリギリでピックアンドロールを使ってこじ開けるというシーンもよくあります。ハレルソン選手は佐賀にとって新しい強みでありつつ、その中でのボールフローだったり、狩野選手が消えてしまう場面がある気がしています。
宮永 そうですね。先ほどの話にも繋がるんですが、実はこれまでは狩野のプレーを入れてなかったんですよ。
宮本 あ、そうなんですね!
宮永 はい。タイムアウト明けにやるぐらいだったんです。そこに関しては共存できると思っていて、このバイウィークで着手しています。ただ、そこにレイナルド(ガルシア)が絡むとまたバランスが難しくなるというか……。
宮本 あー、なるほど。
宮永 レイナルドとジョシュ(ハレルソン)が一緒に出ている場面でサイドチェンジがうまくいかない時があるので、そこは改善が必要ですね。狩野を活かすこと、レイナルドとジョシュがいる時のボールフローが今後の我々のオフェンスのキーポイントです。シュート自体は割といいシュートが打てています。確率に関しては気にしていないので、もう少しオフボールの動きを増やした中でシュートを狙っていければ、他の選手も活きるかなと考えています。

バイウィーク明けのガルシア選手とハレルソン選手のバランスに注目(撮影:本永創太)

リーグで一番フリースローを獲得しているチームという自信

宮本 ディフェンススタッツに関しては、B2時代と変わらないスタッツを残せています。相手のレベルが上がった中で同じような数字を残せていることは本当に素晴らしいことで、プラスしてオフェンスのスタッツが上がってくれば勝てる試合が増えるはずです。14試合を振り返ると一桁点差での敗戦が4試合ありましたが、単純計算でシュート確率をもうちょっとでも上げることができれば勝てた試合でした。たらればを言うわけではないですが、そうすると10勝前後まで行けたなと。先ほどの修正を入れて、そこが上向けばという感じですね。
宮永 そうですね。プラスしてフリースローが入れば(笑)。
宮永・宮本 ハハハハハ。
宮本 話が脱線しますけど、チャイルズ選手(ヨーリ・チャイルズ)のフリースローをあんなに祈って見てくれる会場って、僕はあんまり見たことがないというか。「いい加減、決めろよ!」みたいな空気になってもおかしくはないと思うんですけど、11月4日の秋田戦で佐賀アリーナに行かせてもらった時も、みんなが祈ってフリースローを見つめているアリーナの空気感。一体感がというか、ちょっと表現が難しんですが、めちゃくちゃポジティブな空間で(笑)! 昨シーズン、昇格を決めた試合でも感じたんですが、改めて「佐賀はみんなでB1に上がってきたチームなんだな」って思いました。
宮永 そうですね。佐賀県民の皆さんは本当に優しいです。みんなで祈ってくれて、入ったら、「おめでとう!」っていう感じで盛り上がってくれるので。
宮本 フリースローが1本入るだけで、試合に勝ったかのような空気感で盛り上がりますもんね(笑)。
宮永 本当にありがたいです。ただ、我々はリーグで一番フリースローを獲得しているチームなので、そこは自信を持っていいと思っていますし、いいオフェンスに繋がっている証拠であると感じています。ネガティブにならずにステップアップしていきたいですね。

チャイルズ選手ので生まれるフリースロー佐賀の一体感はもはや強み(撮影:本永創太)

宮本 いい流れから5アウトのバランスになることで、やはりペイントが使いやすくなる。いいボールフローからアタックができれば、ファウルを誘発することもできますよね。ハレルソン選手やチャイルズ選手のオフェンスリバウンドから、混戦の中でファウルがコールされてエンドワンという展開もよく見ます。その中でこれまでもそうですが、チャイルズ選手に対して意図的にファウルをして、彼にフリースローを打たせようとする場面も見受けられました。そこに対するカウンターというんでしょうか。チャイルズ選手で作って、ディフェンスを寄せて展開したところで仕掛けるみたいなことも考えたりしているんですか?
宮永 そうですね。確かに彼はフリースローに苦しんでいますが、そもそもファウルをしてくれて、相手のファウルが早い段階でファウルがたまれば、他の選手のところでフリースローを得られるチャンスも出てきます。そのためにはいいボールフローが必要だと思うので、オフボールのアクションを増やすべきだなと。ヨーリに対してバックスクリーンをかけてからそのあととか、ヨーリがスクリーンをかけたそのあととか。そういうものを織り交ぜていって、変化を出していきたいなと考えています。
宮本 なるほど。だからオフボールの動きが鍵ということですね。オフボールの動きに関しては、シーズンの最初から段階を踏んでいってバイウィークでアップデートさせようと考えていたんですか? それとも14試合を戦ってからプラスした方がいいなと感じたんですか?
宮永 狩野のところは想定内で、このバイウィークでアップデートさせようと思っていました。今のシステムで土台を作った上で、狩野の動きをプラスしていくことがより効果的かなと。他に関しては14試合を分析する中で、もうちょっと入れたほうがいいなと感じましたね。

指示を出す宮永HC(撮影:本永創太)

佐賀がやるべきことをやって成長していくこと

宮本 バイウィーク明けは大阪、そして同じ昇格組の長崎と続きます。同じ地区で好調の大阪はここでしっかりと倒しておきたい相手だと思いますし、昨シーズンまで佐賀に所属していた西川選手もいるので、僕も注目しています。長崎は九州ダービーということで、ビッグゲームになる。バイウィーク明けはどんな佐賀を見せていきたいですか?
宮永 ディフェンスのクオリティはまだまだ精度を上げられると思っているので、バイウィークで詰めていきながら、1シーズン継続してやっていきたいと考えています。オフェンスに関してはここまでに出た課題を修正しながら、新しいシステムを導入してどのような変化が生まれるのかを見ながらやっていきたいと考えています。バイウィーク明けの大阪戦でどれぐらいできるかが大事になってくると思うので、いい形で入れるように準備していきたいと思います。長崎さんは本当にテンポが速いので、我々がどうやってゲームをコントロールできるかが重要になってくる。皆さんには試合を楽しいんで欲しいと思いますが、本当にどのクラブと対戦してもタフな試合ばかりなので、相手がどことかは気にせずに目の前の試合に集中して、佐賀がやるべきことやって成長していくことにフォーカスしていきます。本音を言えば、自分たちのことでいっぱいいっぱいなので(笑)。
宮永・宮本 ハハハハハ。
宮本 わかりました、ありがとうございます(笑)! バイウィーク明けも楽しみにしています。

試合前の宮永HC(撮影:本永創太)

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